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禁じられた破壊魔法使いの私は、呪われた辺境公爵へ嫁がされましたが、私には何が呪いなのかよくわかりません。  作者: 秋名はる
第2章:妹編

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結婚式

それから月日は経ち、ある春の日に、ユリウス様とフェンネルの結婚式が執り行われることになった。 式にはもちろんエルミールも招待されている。


式の前日、親族として結婚式に前乗りで会場までやってきていたエルミールはある行動に出ていた。 夜分に、ユリウスの滞在している部屋を密かに訪れる。


「ユリウス様……私、あなたにお話がありますの。」


目をうるませ、エルミールはユリウスにすがるように近づく。


「実は……ずっとユリウス様にお伝えしなければと思っていたことがあるのです。

 明日はお姉様との結婚式……その前に、お耳に入れておきたいのです。」


「一体どうしたんだ?」


ユリウスが心配そうに顔を覗き込んだその瞬間、エルミールは突然、彼に抱きついた。


「ずっと前から……あなたのことをお慕いしておりました。

 お姉様との婚約が決まってからも、あなたへの思いは変わりませんでした。

 ずっと心に秘めておくつもりでしたが……このままあなたがお姉様と結婚してしまわれるのを、黙って見ているのが辛くて……思いを伝えずにはいられなかったのです。」


エルミールは哀愁たっぷりな様子でユリウスにしがみついた。 ユリウスが本気でお姉様を好いているはずがない。こうして結婚式の前日に、他でもない妹の私から言い寄られたら、必ず動揺して心が揺らぐと確信していた。だから、エルミールは彼にすり寄って畳み掛けた。


「エルミール……君は一体何を言っているんだ。

 君にはすでにエドワードという伴侶がいるだろう。」


ユリウスはそう言って、エルミールを引き剥がそうとしたが、エルミールは取り合わない。


「いいえ……私の心は最初からユリウス様のもの。自分の気持ちに嘘なんてつけませんわ。

 でも――後はユリウス様次第。ユリウス様がこのままお姉様と一緒になるご決意があるのなら、私はこれ以上申しませんわ。ただ……私の思いが変わらないということだけ、知っておいていただきたいのです。」


そう言ってユリウスの方を仰ぎ見れば、彼は動揺しているように見える。


「こんなことを式の前日に告白して……あなたを困らせてしまってごめんなさい。

 明日の式、楽しみにしておりますわね。」


エルミールは、ユリウスが呼び止めるのも無視して、そのまま部屋を去った。


(これで、うまくいけばユリウス様の心は自分のもの_。)


そう確信して、エルミールはほくそ笑んだ。

それに、たとえユリウス様が思い切れず、式をそのまま進めたとしても

エルミールはには姉を陥れるための、もう一つの“秘策”があった。


(明日の結婚式が楽しみですわ…。)


* * *

次の日。空はよく晴れ、澄んだ青空が広がっていた。


国王陛下への謁見を終え、陛下から直々に立会人として結婚の許しを得た私とユリウス様は、そのまま教会へと向かった。教会内にはたくさんの親族や貴族たちが詰めかけ、私たちを祝福してくれていた。


その中には、密かにユリウス様を狙っていた貴族令嬢たちが、悔しそうに唇を噛みしめている姿もあった。けれど私は、自分の大舞台が滞りなく進むかどうかで頭がいっぱいで、そんな視線には気づく余裕もなかった。


式は無事に終わり、私たちは教会の外へ出て参列者から祝福の言葉を受け取っていた。

その時――それは突然起こった。


「エポワール男爵家の令嬢、フェンネル。

 貴様を国家への反逆罪の疑いで逮捕する。」


鋭い怒号が響き渡り、近衛兵たちが一斉になだれ込んで私を取り囲んだ。

辺りは一瞬にして騒然となる。


「一体何のつもりだ。

 他でもない私の結婚式に乗り込んでくるとは、無礼にも程がある!」


ユリウスは怒気を含んだ声で怒鳴ったが、近衛兵たちは一歩も退かない。


「公爵様。そちらのご令嬢には正式な逮捕状が出ております。大人しく彼女をお渡しください。」


「彼女が? 一体何の罪だ。

 我々は先ほど国王陛下より直々に結婚の許しを賜ったところなのだぞ。これは陛下への不敬と捉えるが良いか?」


ユリウスは信じられないと言わんばかりの表情だった。


「失礼ながら申し上げます。フェンネル嬢は、先のドラゴン討伐の際に近隣の村々を破壊したとの訴えがございます。その件で、住民から通報が上がっているのです。」


「……はあ?」


あの時、確かにドラゴンは私が討伐した。

だが、住民への被害は最小限で、倒壊した建物も僅かだったはずだ。


「通報によれば――

 “討伐前から、町の商人の武器や食料を漁り、迷惑行為を繰り返していた”。

 “ドラゴン討伐の罠だと言ってダイナマイトを仕掛けたものが誤爆し、建物が破壊された”。

 “ドラゴンを倒したのも本当は別のハンターで、フェンネル嬢は嘘をついている”……と。」


兵隊長は次々と突拍子もないことを口にした。


「そんなわけがないだろう!

 討伐時の様子は、そこにいた村人もハンターたちも見ていたはずだ。ここにいるエドワード伯爵夫妻だって、その証人だ!」


ユリウスの反論に、兵隊長は困ったように眉を寄せた。


「ええ、私もフェンネル嬢がドラゴンを討伐したという噂は耳にしておりました。

 しかし……この通報を信じ、私に逮捕を命じられたのは、他でもない、そちらのエドワード伯爵夫人です。」


エドワード伯爵夫人と指差されて、エルミールはびくりと肩を震わせた。


「えっ? ええ、そうですわ。私が直々に指示を致しました。」


エルミールは声を張り上げた。


「だって、夫の所領の村人から訴えがあっては、無視できませんもの。それに……彼らの言っていることが本当であれば、他でもない私の姉の愚行を見逃すわけにはいかないと思いまして。」


エルミールが宣言すると、エドワードや他の貴族たちからどよめきが起こった。

次話で完結予定です‼︎

ここまでお読みくださり、ありがとうございました‼︎

完結話は18時ごろ配信予定です!

最後までよろしくお願いします


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