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禁じられた破壊魔法使いの私は、呪われた辺境公爵へ嫁がされましたが、私には何が呪いなのかよくわかりません。  作者: 秋名はる
第2章:妹編

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炭鉱事故・二人のやり取り

気持ちよく眠りこけていたのに、急に誰かからゆすり動かされて、私はむにゃむにゃと薄めを開けた。

寝ぼけながら目を開けると、なんだか見覚えのある顔がこちらを覗き込んでいる。こういった場面は、今まで何度かあった_。


なので最初は気にもとめずに、もう一度眠り直そうと布団をかぶったとき_私は事態の異常性に気づき始めた。


「ん? ユリウス様?

 どうしてここに?」


私は眠気まじりに尋ねた。


「それはこちらのセリフだ。どうしてこんな山奥の廃坑にいる? 誰かに連れてこられたのか?」


「ああ、そうなんですよ。

数日前、屋敷の裏手で誘拐されて_。」


私は寝ぼけて気の抜けた返事をした。

ユリウスの顔から血の気が引いた。


「……それで、今までずっと強制労働をさせられていたということなのか?」


「はい。そう見たいですね。

 でも、炭鉱での作業は悪くなかったんですよ。探窟作業は私の魔力とすごく相性が良くて、この作業では大活躍でした。」


私はつい胸を張るように話してしまった。


「何を考えていたんだ。逃げようと思えば逃げられただろう。どうしてそこまで……?」


「自分も、何か手に職をつけなければって思ったんです。」


そうすれば、いつか屋敷を出ることになっても、自立して生きていけるかもしれないし_。


「そんな必要はないだろう。君は屋敷で、私のそばにいてくれるだけでいい。

 仮にも私の婚約者である君が、どうしてそんなことをしなければならない。

 ……それとも、私に何か不満があるのか?」


エルミールに言われた件もあり、次第にユリウスの声音は沈んでいく。私はだんだんと気がはっきりしてきた。


「いえ、とんでもありません。ユリウス様にはよくしていただいていますよ。でも……私、思ったんです。

 今までは呪いのせいで人と接することが難しかったかもしれませんが……今は、あなたはもう呪いが解けました。私は下級貴族ですし、だからこれからはユリウス様にもっとふさわしい人がたくさんいるはずとおもっったんです。」


「それが、君であってはならない理由があるのか?」


「いえ……でも、ユリウス様はそうしたいだろうと……。」


「フェンネル。君が本気で、自分がふさわしくないと思っているのなら、それは間違いだ。

 確かに初対面では辛く当たってしまった。だが、君と過ごす中でそれが誤りだったとわかった。

 今までの態度を謝る。……どこにも行かないでほしい。これは、我が儘な願いだろうか。」


真剣な眼差しで言われ、私は思わず困惑した。


「ユリウス様がそうおっしゃるなら……。でも、本当に、私なんかでよろしいのですか?」


破壊することしか取り柄のない私を?半信半疑だった。答えの代わりに、ユリウスはそっと唇を重ねた。ここ数日働き詰めで薄汚れた私なのに、ためらいもせず。


(わわわ…。)


私はだんだんと状況を理解して、顔がほてって赤く染まっていくのを感じていた。


「さあ――早く屋敷に戻ろう。」


私は、以前と同じようにユリウス様に抱きかかえられて、救護の天幕を後にした。

なんだか不思議な気分だ。自立してそのまま屋敷を去るはずだったのに、結局屋敷に戻ってしまうなんて。でも、ユリウス様にああ言われてしまっては、私も反論できない。私は大人しく彼の腕に収まっていた。


「ところで……君を攫っていったやつの目的は、一体なんだったのだろう。」


北の地において絶対的な存在である公爵家の屋敷から、人を意図的にさらうなど普通はありえない。

もし、あの奴隷商人が故意に私を狙って連れ去ったのだとしたら――必ず背後に指示した人物がいるはずだ。


「奴隷頭から詳しく話を聞いているところだが。

 君にも何か思い当たることはないか?」


ユリウス様はそう尋ねたが、私が誘拐されるような理由に心当たりなんてない。それに、あの奴隷頭も私のことを事前に知っていた様子はまったくなかった。


「そういえば……あの日、私は妹に“話がある”と言われて、屋敷の裏手に呼び出されていたんです。

 それで、約束の場所に向かったところ……そこで攫われました。」


妹から呼び出された場所で誘拐されるなんて、そんな偶然あるのだろうか_?でも、他でもない実の妹が、私を攫うように誰かへ指示をするとも思えない。


「因果関係は不明なのですが。ところで、妹とエドワード様はまだ屋敷にいらっしゃるのですか?」


まだ屋敷にいるのであれば、彼女から事情を聞くこともできるかもしれない。


「いや、エドワードとエルミールは他に用事があると言って、先に帰らせたよ。

 あの状況では、十分にもてなすこともできないからね。」


「そうですか……せっかく来ていただいたのに、こんな事になってしまい申し訳ありません_。」


「君は心配いらない。無事に見つかったことは伝えておくよ。向こうも気にかけていたようだったしね。まずは君の手当が必要だ。落ち着いたら、改めて屋敷に招待しよう。」


ユリウス様は私を安心させるように優しくそういった。


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