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禁じられた破壊魔法使いの私は、呪われた辺境公爵へ嫁がされましたが、私には何が呪いなのかよくわかりません。  作者: 秋名はる
第2章:妹編

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失踪から3日

フェンネルが失踪してから、早くも三日が経過した。

だが――相変わらず彼女の行方は掴めない。


ユリウスは目に見えて意気消沈しており、落ち着かない様子で屋敷の中を歩き回ることが多くなった。


(自分が……何かしてしまったのだろうか)


胸に重くのしかかる思いがある。


確かに、これまで自分は“婚約者らしいこと”をフェンネルにしてやれていなかった。彼女のために贅沢をさせてあげることも、気遣いを示すことも――ほとんどできなかった。


後悔だけが、日に日に大きくなっていく。


そんな中、フェンネルが姿を消してからというもの、妹のエルミールは“励ますため”だと言って、以前よりずっと積極的にユリウスに接近してくるようになっていた。


治癒魔法の相談をする、と理由をつけては、彼の私室へ押しかけてくることも増えた。


ユリウスは一刻も早くフェンネルを探したい。だが、その時間さえもエルミールの我儘に奪われがちだった。


ある時、エルミールがこんなことを言い出した。


「きっとお姉様は、今頃どこか別の男のところにでも身を寄せているのですわ」


「…なんだと?」


「だって……今までもそうでしたもの。」


エルミールはこともなげにいう。


「男性たちを顧みずに、何度も縁談を破談させてきたのですわ。エドワード様の時もそうでしたでしょう?

 わたくしが看護して差し上げなければ、あのままどうなっていたことか」


「……ああ。確かにフェンネルは、時折破天荒なところがある」


洞窟での出来事をほとんど覚えていないエドワードは、その言葉に同意した。


「妹の私から、はっきり申し上げますわ。もう、こんな無責任な姉のことは放っておかれてはいかがですか?そして、いっそ婚約破棄なさってくださいまし」


「……婚約破棄、だと?」


エルミールはさらに畳みかける。


「ユリウス様が、これ以上姉のことで気をもむのは見ていられませんもの。お父様には、わたくしからよく事情を説明しておきますわ。」


まるで当然のように微笑むエルミール。


「姉の身辺整理なども、わたくしが引き受けます。

ユリウス様はご無理をなさらず、もう愚姉のことは忘れてしまわれれば良いのに…。」


彼女の甘い声に、ユリウスもエドワードも――反論の言葉を見つけられなかった。


* * *


一方その頃。フェンネルはこの日も掘削労働に精を出していた。


岸壁を破壊して見せた“あの一件”以来、奴隷頭の男は明らかに態度を変え、まるで宝の山でも見つけたかのような目つきで、フェンネルにどんどん仕事を回すようになった。


(お嬢さんが“能力持ち”だとは知らなかったぜ。

 これだけの魔力があれば、この洞窟の宝石を全部掘り尽くすことも夢じゃねえ)


男は完全に金に目がくらんでいた。


フェンネルも、この時まではまだまんざらではなかった。彼に言われるがまま、どんどん岩壁を破壊し、掘り進めていく。


一緒に連れてこられた他の使用人たちも、フェンネルを“先頭”にして採掘をお願いし、自分たちは瓦礫運びや宝石の選別作業に徹する。驚くべきスピードで採掘が進んでいた。



しかし――作業開始から早三日。

フェンネルをはじめ、他の労働者たちもほとんど休みなく働かされ続け、さすがのフェンネルも疲れが出てきていた。


与えられる食事も休憩場所も質素で、とても十分に休めるものではない。汗に濡れた身体は休む間もなく、衰弱の色が濃くなっていく。


さすがに限界を感じた私は、あるとき奴隷頭に訴えた。


「あの……できれば、このあたりで一度外へ出て休憩しませんか?こんな薄暗い洞窟に三日も閉じ込めきりでは、さすがに私も、他のみんなも疲れてしまいます」


一日だけでも休ませてほしい。そのつもりで提案したのだが、男は冷たく突っぱねた。


「だめだ。ようやく深部まで掘り進めてきたんだぞ。

 噂では、この先の大きな岸壁の向こうに“宝石の巣窟”があると言われてる。それを見つけるまで、お前たちに休みをやる気はねぇ」


「でも、それでは身体がもちませんよ!」


他の労働者たちも口々に訴える。


「それに、この先の岩肌はもろくて危険です。一度戻って計画を立て直したほうが…。」


しかし、男は耳を貸さなかった。


「わかりました。では、この先にある“大きな岩盤”を破壊したら、一度外に出て休憩することを許可してください。そう約束してくださるなら、もう一度破壊の魔力を使います。

 でなければ……これ以上は力を使いません」


凄みのある目で言い切ると、奴隷頭は、彼女の力に頼らざるを得ないため、渋々うなずいた。


確かに私自身、最初こそ張り切っていたものの、今は明らかに消耗していた。頭がくらくらし、正常な思考が難しい。


(……労働って、案外大変なのね)


今さらながら、身に染みていた。


だが――これを終えれば一度休める。そう思い、いつものように洞窟の先端へと進んでいった。


そこには、これまでよりもはるかに固く分厚い岩の層が露出していた。周囲は脆い土壁なのに、そこだけは鋼鉄のような黒い岩がめり込んでいる。


奴隷頭によれば、この先に“宝石の群生する層”があるという。


深呼吸し、破壊の魔力を放とうと力を込めた。

突然、それは起こった。

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