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禁じられた破壊魔法使いの私は、呪われた辺境公爵へ嫁がされましたが、私には何が呪いなのかよくわかりません。  作者: 秋名はる
第2章:妹編

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33/50

エドワードの心情

新作、「後宮の亀仙女 -怪異解決簿- 」を

数日前から連載開始しました‼︎

中華謎解きファンタジーです!よろしければそちらも覗いてみてください

フェンネルは屋敷のバルコニーに出て、一人夜風に当たっていた。先ほど、エルミールがユリウス様の部屋へ入っていくのを――偶然、目にしてしまっていたのだ。


妹のエルミールが現れると、あまり良いことが起こらない。せっかく姉妹が再会できたというのに、なんだか胸がざわついて心の底から喜べない自分がいる。


ため息をつき、気分を変えようと手すりにもたれて夜空を仰いていると、不意に背後から物音がして

振り返れば、そこには意外な人物が現れた。


「エ、エドワード様……? どうされたのですか?」


現れたのは、妹の夫――エドワードだった。

いつもは必ずエルミールが傍にいるのに、今夜は一人きりのようだった。


_それもそのはずだ、エルミールは今、ユリウス様の部屋にいて話し込んでいるのだもの。

彼はそれを知ってか知らずか、当たり障りない話題を振る。


「いや、君が外へ出ていくのが見えたから、少し寄ってみただけだ。

 どうだ、北の新天地での暮らしは?


 エルミールは君のことをずいぶん心配していたようだが。ここでの君の様子を見ていると――案外うまくやっているようで、安心したよ」


エドワードは気さくにそういった。


「はい。確かに最初はなれないことも多くありましたが、ユリウス様は、私にとても親切にしてくださいます。」


「それもそのはずだろう。ユリウス様は幼いころから逸材として知られていた立派な方だ。」



「だが。」とエドワードは更に言葉を続けた。


「その裏で、彼には良くない噂も聞く。

 北の地平定に尽力するあまり、魔物による呪いを受けたとか_。


 そのせいで今まで何人もの婚約者候補が現れたそうだが、いづれも破談になったそうだ。

 ……君が、同じ運命を辿らなければよいが」


エドワードは表情を曇らせた。

彼が私を案じてくれるなんて、少し意外だった。


けれど、ユリウス様がすでにその呪いを解かれたことを、彼はまだ知らないようだったので、私は彼にその心配はもう必要なくなったことを伝えた。


「どうかご安心ください。

 私はうまくやっていけるような気がします」


そう言ったところ、エドワードはなぜか顔を曇らせた。


「本当に大丈夫なのか?」


「それに呪いといえば、君自身はどうなんだ。

 君はあれから、自分の力をちゃんと制御できているのか? いつまた力が暴走して――」


「それはっ……!」


思い出したくない話題を投げかけられ、思わず声を荒げてしまった。


「あれは、何度も説明したはずです。

 私はあなたに危害を加えたことなど、一度もありません」


胸の奥が痛んだ。家族や周囲の反応は、いつも同じだった。向こうで受けてきた非情な扱いが、思い出されて、私は思わずムキになってしまった。


「僕は……どうも同感できないな」


エドワードの声音が低くなる。


「公爵との婚約だって、うまくいくはずがない」


「あなたには関係のないことです。余計なお世話ではありませんか」


私はそう強く反論したが、エドワードは引き下がらなかった。


「フェンネル、考え直してくれ。

 悪いことは言わない。僕と一緒に南部へ戻ろう」


エドワードは、なぜか必死に言いすがってきた。


どうしてそこまで必死になるのだろうと、フェンネルは不安がよぎった。ここでの暮らしも、ユリウス様との関係も――彼には関係のないことのはずなのに。


「一体……どうされたのですか?」


私が訝しむと、エドワードは不意に私の手を取った。

その手の熱があまりに唐突で、思わず身を引きそうになる。


「実は……ずっと君に心惹かれていたんだ。

 エルミールに君の“呪い”のことを打ち明けられたとき、怖くなって突き放してしまった。

 けれど――君のことが、どうしても忘れられなかった。」


「は、はあ……!?」


「こんな怪しげな公爵のもとになどいないで……一緒に逃げよう」


一体何を言い出すかと思えば_突拍子もない発言に私は一瞬言葉を失う。


「エドワード様、あなた……一体何をおっしゃっているのですか!

 あなたには、エルミールという伴侶がすでにいらっしゃるはずです!」


一瞬思考が停止したが、私はすぐに気を取り直してピシャリと反論した。


「エルミール? ああ、確かに彼女は最初こそ愛らしく、魅力的だった。

 けれど、彼女は最近浪費ばかりで、わがままが過ぎるんだ。……こんなはずじゃなかった」


(――ああ、そういうことだったのね)


私は妙に納得してしまった。


「とにかく、お気を確かに。

 私のことは心配せずとも大丈夫なので、もう放っておいてください」


きっぱりとそう告げると、エドワードは黙り込んだ。


なんとか、窮地を逃れたように思い、私がほっと胸を撫で下ろそうとした――その瞬間。

背後から、聞き覚えのある低い声が響いた。


「フェンネル、エドワード……そこで一体、何をしているんだ」


恐る恐る振り返る。

そこには、怒りを押し殺したような表情のユリウス様が立っていた。


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