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零れ落ちた才能と魔法のスティック 2

アナスタシアは興味津々で色々な作業を見て回っている時に魔法の杖からキラキラと砂時計の砂のように魔法の光が作業台の机から下へと零れ続けているのを見つけた。


キラキラキラ……  キラキラキラ……



「何これ? 凄く綺麗なんだけど」



アナスタシアの呟きにドナは驚いて振り向く。




「ア…アナスタシア様  こちらは失敗作でして…」



「どこが失敗なの?」



「このキラキラが流れ出るだけで魔法が発動できない杖なんです……」



「え?すごく綺麗で可愛いよ!」



「ありがとうございます。でも、魔法が発動しないただの発光するだけの棒になってしまっているので使えない只のガラクタみたいなものなんです」



暗い表情で答えるドナにアナスタシアは意外にも興味を惹かれているようだ。



「この光はずっと出たままなの?」



「いえ、魔石の力が切れれば止まります」



「魔石を使って光ったり、光らなくしたりも出来る?」



「は…はい。 調整次第で出来ますが意味ありませんよ?」



「可愛い! いらないならほしい! もっと可愛く出来たりする?」




ドナはアナスタシア様が喜んでくれているのならお渡ししようと思い、どのようなものが欲しいか確認をする。

アナスタシアのこんなのでーあんなのでーと夢いっぱいの可愛い思い付きを聞くや否やドナはアナスタシアのリクエストに応えて昔の散髪屋のサインポールのような斜めのストライプが入った淡いピンクと藤色の可愛い色のストロー位の太さの棒を用意して先端に星形のクリスタルを取り付けて作成をしてくれた。


持ちやすさや長さなどの調整、どのような時にキラキラ光るエフェクトが起こるようにするかの設定の希望を聞いてすぐさま作業を行い手渡してくれる。


アナスタシアが指揮棒のようにフワリとふると星形のクリスタルからキラキラと光りの帯が広がる。


「これー!こんなの欲しかったの! いかにも魔法少女!」


ドナと後ろにひかえていたコンラッドには何が魔法少女なのかよくわからなかったが、アナスタシアが喜んで少し跳ねているのが可愛いなと二人で見守っていた。


アナスタシアは新しいおもちゃを手に入れて大満足で魔導具工房を去っていったのであった。



その後、アナスタシアはマジカルスティックと名付けた棒を至る所で振り回し大人達には可愛いと褒められ、子供達の間では人気者になる。


ドナはその噂を聞き、自分では失敗作だと思っていても、誰かの目に留まれば喜んで貰えるものになることを知り、失敗で終わるのではなく、それを使って新たな何かになる可能性を探る必要性も学ぶのであった。



工房の主任技師であるアルフレッドも才能は人並み以上にあるものの上手く活かせず落ちこぼれだと自分を責めていたドナに明るい未来の兆しを感じて少しだけほっとしながら、一生懸命作業を続けるドナを自分の席から眺める。



「ドナー!この石を使ってマジカルスティックを追加で作ってー!」



「アナスタシア様 お久しぶりです。この石?これは魔法の残渣(ざんさ)ですね。」



「そうなの!いっぱい落ちてるから何かに使えないかとずっと思ってたの」



「この小さい粒を幾つかまとめれば魔石には劣りますが一定期間はあのキラキラを出すことは可能かもしれませんね」



「本当!? ちょっと試しに作ってみてよ! 私のお友達もあのスティックが欲しいって言ってるの」



「う…嬉しいです。頑張ってみます!」





元気よくアナスタシアが魔導具工房に入ってくるのを見て、将来はアナスタシア様の専属になるかもしれないな…。とアルフレッドは人員の配置についてアナスタシアの引率となったコンラッドと今後についての話し合いを進めるのであった。





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