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夏の白夜と夜のカーテン 1

4歳になり初夏の雰囲気を感じ始めた頃、私はある変化に気が付く。

空に太陽が二つある?そしていつまでたっても明るく夜がくるのがとても遅い。

早く寝るように言われるがまだ外は明るいのだ。天蓋付きベッドにカーテンがついている本当の意味をここで理解する。


窓のカーテンを閉めても外の光が入ってくるので、更に天蓋付きベッドのカーテンも閉める。

子供の頃にちょっと憧れてて、今でもちょっと嬉しい。


もう少しすると白夜が訪れるという。


初夏のこの期間だけ現れるもう一つの光、太陽が地平線に沈むことなく、空は薄明かりに包まれる。


刻々と変化するその色彩は、パステル画のような柔らかなグラデーション。淡いピンク色から青へと移りゆく空の下、世界は静寂に包まれ、神秘的な雰囲気に満ちている。


あまりの美しさにボーっと見とれていると早く寝るように促される。

部屋から見る窓の外の風景は部屋の内装も含め美術品のように(きら)びやかで幻想的。



この期間は朝から晩までずっと、ずーっと日が沈まない。


人々はこの時だけ神秘の力が宿る朝露を集める大事な仕事があるという。


あぁ、ここは異世界なんだな。と空に月とは違い光輝くもう一つの太陽を見て実感した。

朝露集めもメルヘンだな!と思ったけど本当に何かの力が宿っているのかもしれない。


私はお寝坊さんなので、朝露を集めるイベントには出遅れたが、来年は参加したいと思う。

夜には湖や池の側、街の広場などで大きな炎が明々と燃え盛り皆お酒を飲んで踊り明かす。この期間は飲食店や屋台はずっと開いており大人達も楽しい時間を過ごすらしい。


「私も美味しいご飯食べたい! 屋台に行ってみたい!」


と子供らしくわがままを言ってみたが、お父様とお母様に


「もう少し大きくなってからね」


と言われてしまった。


しょんぼりしていたのをかわいそうに思ったのか、夕食に料理長が屋台でよく食べられるミシュマッシュという料理を出してくれた。この時期には必ず食べられる一皿ということでわくわくが止まらない。



浅いボウル型の食器に入っていたのはフライドポテトにグレイビーソースとチーズをのせたジャンクな食べ物だった。


久しぶりのジャンクな食べ物ごきげんよう!子供にこんなジャンクなもの食べさせていいの?



わくわくしながら一口パクリ。揚げたての熱々フライドポテトは外はカリッと、中はホクホク。

口に入れると、じゃがいもの優しい甘さが広がる。そこに、とろ〜りとしたチーズカが絡み合う。

モッツァレラチーズのようなミルキーなコクがありながら、キュッキュッとした独特の食感がアクセント。

さらに、全体を包み込むのは濃厚なグレイビーソース。肉や野菜の旨味が溶け込んだ奥深い味わいが、フライドポテトとチーズを一体化。

一見ジャンクフードのようだけど、その味わいはどこか上品さも感じる。

素材の良さ、調理法の工夫、そして何よりも作り手の愛情がこの一皿に込められている。

お城に勤める料理人達はジャンクな食べ物も極めてしまうので高級感漂う一皿にニンマリしてしまってもうほっぺが痛い。


ビールが飲みたい。


そんな大人の心が叫んでいるが、おとなしくりんごジュースを飲みながら白夜に食べる郷土料理に舌鼓を打つのであった。



この白夜の季節にはいろいろと乙女なイベントがあるらしく、お友達になったそばかすと赤毛で超絶可愛い、ピピロッテに教えてもらったところによると朝露集めと一緒に朝靄の中で草花を集め枕の下に敷いて寝ると素敵な夢が見れるらしい。


ピピロッテのお姉さまと早起き頑張って一緒にしたんだって!すごいカワイイ。子供の頃におまじないとか占いとか色々流行ったよね!


「来年は一緒にしましょうね。」なんて誘ってくれたりして可愛すぎてピピロッテを抱きしめてしまった。本当にカワイイ。



そんな日が沈まない太陽がふたつある季節を1週間弱ほど堪能しているとまたもや摩訶不思議な自然現象に驚かされるのであった。


本当、異世界凄い綺麗。



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