アナスタシアとピピロッテ
行動範囲が広がったアナスタシアは両親の仕事の許す範囲で同行を認めてもらえたので、最近公式のお城と私が勝手に呼んでる場所で自由に遊んでいる。
馬車から降りたらお父様とお母さまとはお別れして、勤めている人たちの子供とランダムに遊ぶことにしている。
皆素朴でいい子が多いのよね。
凄くカワイイ。
この前なんかは皆がお勉強をしている部屋に連れてきてもらって一緒に文字の勉強や数字を数える歌とか歌って楽しくこちらの情報を集めている。
大人になってからわかる勉強の大切さ。
今度こそ!頑張るんだ。
そんな日々を過ごしているうちに誕生日のお菓子が皆に振舞われ、四歳になった。
年齢の近い子供たちと一緒に遊んだりしてると特に仲良くなったのがピピロッテ。
一緒にピクニックしたり、ブランコで遊んだり、勉強したりと過ごしている。
品の良いお嬢さんですよ。ちょっと前の私のように叫びながら走り回ったりしない。
かなり仲良しで二人だけの時は特別に
「アーシャ」
「ピッピ」
なんて呼び合う時もある。
私の髪が好きなのか暇があったら髪の毛もブラッシングしてくれる。
なんか、私専用のブラシをポケットに入れているところが可愛い。
私の髪、異世界なのかメルヘン仕様なのか淡い金髪に薄くプリズムカラー。
シャボン玉みたいな光沢がある。
凄く謎なんだけど、ピピロッテも同じ謎に興味津々でずっとブラッシングして
「いいなー。」
夢見る少女の顔で言ってる。
でも、私はピピロッテの赤毛が毛先まで編み込まれててピーンとしてるのめっちゃ可愛いくて好き。
子供の頃に読んでいた絵本の女の子みたいで勝手に胸がキュンキュンしてしまう。
そばかすもすごくキュート。子供の頃そばかすに憧れてたんだよね…。
成長して、日焼けに怯えてシミか肝斑かって同世代の友人とレーザーの話で盛り上がるとも知らずにね。
懐かしいな。
皆元気かな。私はピチピチになったよ。
もう少し大きくなったら街とか港のほうにも連れて行って貰えるみたいなので早く行ってみたい。
まだ海外の観光気分が抜けないけど、せっかくお金持ちのお家に生まれたので満喫したい所存。
まずは自分の領内を回ってグルメ旅でしょ。
その後は国内を巡ってグルメ旅。外国とかもチャンスがあれば行ってみたい。
美味しいグルメが私を待っている気がする。
そんな妄想をしながら今日のランチのサンドイッチを食べている。
本当においしい。
お城の食堂の人気メニューなんだって。
本当にわかる!って声を大にして言いたい。とってもおいしい。
このトゥーキーって鳥のサンドイッチが抜群においしい。
口に入れると、まずトゥーキーの柔らかさとジューシーさが広がって、丁寧にローストされた鳥の肉は、あっさりとしていながらも、肉本来の旨味が凝縮されてる。
そこに、赤い実のジャムの甘酸っぱさとグレイビーソースの旨味がが加わり、もう最高!
赤い実のジャムは、甘さだけでなく、程よい酸味とほのかな苦味があり、これがトゥーキーの風味と絶妙に調和してまるで、トゥーキーと赤い実のジャムが互いを引き立てあうように、口の中で一体となりさらに、グレイビーソースが加わることで、サンドイッチ全体の味わいがより深みが増す。
トゥーキーをローストした際にできる肉汁をベースに作られたグレイビーソースは、濃厚なコクと芳醇な香りを持ち、トゥーキーの旨味をさらに引き出すとともに、赤い実のジャムの甘酸っぱさを包み込むの。
サンドイッチに使われたパンも美味しさを引き立てる要素の一つで、ふっくらとしたパンは、トゥーキー、赤い実のジャム、そしてグレイビーソースを優しく包み込み、口の中で幸せが爆発してる!
「ねぇ、ピピロッテ。 このサンドイッチ本当に美味しいよね!」
「えぇ!今日のサンドイッチはもう売り切れなんですって!」
「くぅー。わかるぅ。食べれてよかったー」
二人とも大人用のサイズなのにぺろりだよ。
私にグルメ旅を決断させるだけの美味しいものが間違いなくここにはある。