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オルサポルタから始まった  作者: 泰藤
寄宿学校生活の始まり

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寄宿学校での生活開始


新生活を心配する私を励まし、両親に抱きしめてもらってから挑んだ入学式も滞りなく終わり、人生初の寄宿学校生活が始まる。




「アナスタシア様、私達同じクラスですって! 嬉しいです」



クラス表を確認していたアナスタシアを呼ぶ声に振り返れば、ピピロッテがこちらに手を振りながら向かってきている。




「あら、本当?ピッピが一緒で嬉しいわ。制服もとても似合ってるわね」



「ありがとうございます!アナスタシア様も可愛いですね」




澄んだ空を映したようなゼニスブルー(明るい空色)のジャケットと、淡い夜を思わせる瑠璃(るり)色のボトムス。男の子は膝下丈のハーフパンツ。女の子はふんわりとしたプリーツスカートを揺らしている。男女共に厚手のお洒落な柄の入ったタイツを重ね、足元を包む茶色の革靴。

とっても手が込んでいて可愛い制服なのである。






地元の生徒達は入学式が終わった午後から入寮となる。

部屋は先に侍女達が準備を始めていてくれているので、私達は何も持たずに寄宿舎へと向かう。




「それでは、あとで」



「えぇ、アナスタシア様のお部屋の様子もあとで教えてくださいね」




ピピロッテと各自用意された部屋へと向かう。


前の人生で培った庶民感覚がベースにあるためか、複数人で1部屋ではなく、全員個室に驚く。

寄宿学校といえば、某紅茶の国の箒に乗る魔法少年が通う摩訶不思議な学校を想像してドキドキしていたけど、清潔で明るい環境に安心する。


お喋りな尖り帽子の、不気味な性格診断してくる奴もいないし、動く階段もなければ、トイレに幽霊もいない。


自室に関しては、必要な物は全て揃っていて充分である。


寝室、バスルーム、衣装室、勉強部屋には学習机以外に大きめのテーブルと4脚の椅子もある。

他の子よりもちょっといい部屋かもしれない。



昼食は部屋で軽食のブラダーン(サーモン)とホワイトソースのホットサンドイッチとリンゴジュースを楽しむ。

料理もとても美味しくて大満足。朝食と夕食は寮の食堂。お昼は購買部で購入か学校の食堂で食べる事になると聞いて、学校の食堂への期待が高まる。



昼食が終わると明日のオリエンテーションに関する冊子を確認して、銀行口座の手続きや学習要綱についての資料の確認をする。


必須科目のリストに、お坊ちゃまやお嬢様が学ぶとは思えない項目が混ざっているのが気になるところではある。語学や計算、通信はなんとなくわかる。裁縫、薬事、洗濯、救急はまだわかるけど、野営に野外炊飯って何?


キャンプでもするのだろうか。



その後は事前に配布されている教科書や参考書などをざっと見ているうちに時間は過ぎていく。

基礎魔法の教科書もあったので、喜び勇んで教科書を熟読し、魔法を唱えてみるも何も起こらない。

(いん)()んでみるか?魔法といえば詠唱(えいしょう)だもんね!と言い方や発音に問題があるかも!と試してみるも何も起こらない。


授業をしっかりと受けなければ魔法は使えない事が判明した。

もしくは、魔法に関する才能がないとか!?


と唸っていたら、ピピロッテが遊びに来てくれた。





「ねぇ、ピッピ!魔法が使えないんだけど」



「あぁ、それは授業の最初の時に魔法が使えるように儀式をするんですって」



「儀式があるの?」



「えぇ、それを済ませないと魔法が使えないんですって」



「知らなかったわ。早速華麗に魔法を使おうと思っていたのに」



「ふふ、そういう生徒が多いので授業まで使えないそうですよ。お姉さまから聞きました」



「な、なるほど。毎年、私みたいな生徒が沢山いるのね」



「さぁ、夕食の時間ですので、そろそろ食堂へ行きましょうよ」



「そうだね! そうしよう。お昼のサンドイッチ美味しかったから実は楽しみにしてるんだ!」




食堂はトレーを取って必要な物を取っていくスタイルだった。


シェパーズパイと滑らかなマッシュドポテトはとても美味しくて大満足だった。

ご飯が美味しいから心配していた事の一つは解決した。

食いしん坊にとって学校の料理の味はとても大事だからね。




こうして、アナスタシアはひとまずの安心感とともに、新しい学生生活の第一歩を踏み出した。





しかし、自室に戻り、ふかふかのベッドに身を沈めて今日一日の出来事を振り返っていると、ふと、ある「違和感」が頭をよぎる。



「……そういえば、あの資料にあった『野外炊飯』や『野営』って、一体どこでするんだろう」



改めて考えると、ここは貴族の子息が多く集まる学び舎だ。優雅な学園生活とはおよそ縁遠そうな、サバイバルを思わせる科目がなぜ必須となっているのだろう。 窓の外に目を向ければ、そこにあるのは豊かな自然ではなく、幾重もの巨大な防壁に囲まれた領都の夜景だ。この堅牢な砦都市の中に、キャンプができるような場所があるとは思えない。



「まさか、わざわざ砦の外へ出て、訓練をするっていうこと……?」



お坊ちゃまやお嬢様が集まる学び舎にしては、あまりに実戦的すぎるカリキュラム。魔法の「儀式」にしても、護身のためというよりは、何か別の目的があるような気がしてならない。


明日行われるという魔法の儀式。そして、高貴な身分にはおよそ不似合いな実戦的授業の数々。 銀行の手続きといった現実的なオリエンテーション。 期待と不安が入り混じるなか、アナスタシアの波乱に満ちた(?)寄宿学校生活が、静かに幕を開けようとしていた。



いつも読んで頂きありがとうございます!

今年もどうぞ宜しくお願い致します。

そして、皆様にとって穏やかな一年になりますように。

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