キラキラ集めとお城
三才児のマイブーム。
それは、キラキラ集め。
そうなの。住んでるお城は断崖絶壁といっていいような場所にある。
落ちないようにはなっているらしいんだけど凄く怖い。そして、崖のギリギリの所に大きな円環が刺さってる。
二階建ての家位かな。いや、それ以上かな。今、私ちびっ子なんでサイズ感がちょっと狂ってるからなんとも言えないんだけど、とにかく大きい。
彫刻みたいなものが施してあり、その円環に向かって道が出来ている。
道なりに進めば円環を潜って海に落ちてしまうという謎の立体造形。
昔はこの先も崖ではなく土地があったのかもしれないけど、風化してしまったのか落ちてしまったのか何なのか。
さっぱりわからないけど、その周辺がキラキラ光っているのに気がついてから好奇心のままに見に行くとキラキラひかるガラスの破片が溶けたような物が沢山落ちていた。
気がついたら夢中になって集めてた。
普通に心も子供に戻ってしまっているのか、キラキラ光る破片に胸キュンしてた。
ガラス瓶まで用意して貰って詰めてる。このコルクで蓋するってもの良い。
昔の香り玉だったかにおい玉だったかカラフルなイチゴとかミントの香りのするビーズみたいなのを思い出してしまってずっとニマニマしてるよ。
文房具屋さんで売ってたのよー。本当に懐かしい。
綺麗なんだよねー。
もう少し大きくなって、手先が細かく動かせるようになったら雑貨とかに使えないかなとか妄想中。
ちなみにこのキラキラは何か聞いたのよ。
そしたら魔力の残渣、つまりは残りカス的なものらしい。
魔力だって。やっぱり違う世界だよ。
でも、ちょっとだけそんな環境にわくわくしている。
私の魔法コレクション。いつか魔法とか使えると嬉しいんだけど。
そんな中、今住んでるお城以外の所に行くことになった。
今住んでるところは片側は崖っぷち、もう片方は砦というか城壁に囲まれてるのよね。
その城壁外に出るということなんだけど、城壁から大きい建物が見えてはいるのよ。
遂に!その謎が明かされる!!
さ!馬車に乗って家族でレッツゴー!と浮かれていたんだけど、
なんかね、もっと大きい城がありましたよ。
今まで住んでるお城がお家と例えるならば、砦の外には更に大きい四角いお城がありました。
お父様に聞いてみたらね、職場だってさ。
馬車から降りたらたくさんのお迎えの人たちが待っていたよ。
重厚な扉を潜り抜けると、目に飛び込んできたのは、想像をはるかに超える壮大な空間だった。
クリスタルシャンデリアが煌煌と輝き、大理石の床は鏡のように光を反射する。
その広大な空間に、私はただ見とれるしかなかった。
「ふぁ……。すごーい」
頭上を仰ぎ見ると、ドーム型の天井が悠々と広がり、まるで自然の一部を切り取ったかのようなレリーフの壮観さ。
足元には、幾何学模様の絨毯が敷き詰められ、一歩踏み出す度に、吸い込まれそうなほどの深みを感じた。
ふわっふわ。子供の足だとこけそう。
危なっかしい私を抱えて颯爽とお父様は簡単に城内を見せてくれる。
柔らかな曲線を描く大階段を昇ると、そこにはさらに広大なホールが広がっている。
数えきれないほどの柱が林立し、その間を柔らかな光が満たす。
まるで古代の神殿に迷い込んだような、神秘的な雰囲気。
ヨーロッパの国会議事堂のような議会が開催される大きな部屋もある。
歴史の重みを感じさせる雰囲気が凄い。
ふと、窓の外に目を向けると、緑豊かな庭園や、噴水もある。
城だと思っていた家を上回る大きい職場がありました。
ま、普通の人ならそうだよね。自分の家より職場が小さい人ってあまり聞かないよね。
こんな異世界でも仕事とプライベートはしっかり分ける主義なのね。
すごく良いと思います。
是非とも見習いたいです。
と、口をあんぐり開けてお城を連れてまわってもらっているけど全部は全く見れそうにない。
本当に職場というか行政機関というか凄いわ。
うん。実家は小さいね。お城だけど小さいって何?感覚がバグるよ。
このとてつもなく大きいお城が公式のお城らしい。
街の人たちが思っているお城といえばここ。
一応、公式的には私たち家族もここに住んでることになっているので仮のお部屋もあるんだって。
パーティーとか公式イベントで皆が集まる時にはこちらで過ごすらしい。
私の部屋もあるらしい。
まぁ、落ち着かないよね。なんか分かる。
大人でも歩いて移動は日が暮れるので、お城の敷地内は巡回バスならぬ巡回馬車が走っているらしい。
この公式のお城にはたくさんの人達が勤めていて皆この城内か敷地内にある寮とかに住んでるんだって。
すごいわー。
他にも各行政機関の省庁や農業などの試験場や色々な研究所や、一部軍関係の練習場などがあると、お父様と一緒にいる偉い人が教えてくれた。
規模が大きすぎて本当にびっくりしかない。