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オルサポルタから始まった  作者: 泰藤
新しい人生は突然に
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リンゴとキャラメル


アナスタシアとピピロッテが帰りの馬車でどんなお菓子を作って貰うかの話をしているうちに気が付けば砦を通り抜けお城のキッチンに到着していた。



「とれたてとリンゴでおやつを作りましょうね。」



大人たちは、摘み取ったリンゴを使って、いろいろな種類のリンゴのおやつを作るところを仲良く大人しく見学する約束で厨房に椅子を用意して見せてくれる事になった。


リンゴのパイ、リンゴのタルト、リンゴのジャム。


ピピロッテとアナスタシアは、大人たちの作業を大人しく見学しながら、わくわくした気持ちで出来上がりを待つ。


大人しくしていたのでご褒美にキャラメルソースのお手伝いをさせてもらえることになった。


グツグツと茶色く煮詰まった砂糖に生クリームを流し込み、綺麗に出来上がったキャラメルを木製の大きなスプーンでゆっくりと丁寧にかき混ぜるお手伝いをさせて貰う。

トロトロのキャラメルソースが完成すると2人で火傷に気をつけてココットにキャラメルを掬い入れる。


ココットにたっぷり入れられたとろーり、蕩けるキャラメルソースをリンゴにつけてがぶり。



「お、おいしー!」



ほっぺたがギュッとなって痛いので手で頬を押さえる。


ピピロッテと2人で力を合わせて作ったので特別美味しく感じる。

ピピロッテもニンマリ笑顔でキャラメルソースたっぷりのリンゴを頬張っている。



「もうすぐ、リンゴのパイもできますからね!食べ過ぎないで下さいよ~」



パティシエとコミシェフ(見習い料理人)が笑顔で我慢ですよ~と声をかける。



「わぁ、美味しそう!」



オーブンから出てきたリンゴのパイは、こんがりと焼きあがっていて、部屋中に甘い香りが広がる。



「いただきまーす!」



二人は、熱々のリンゴのパイを一口食べると、幸せそうに目を閉じた。



「美味しい!」



ピピロッテとアナスタシアは、夢中でリンゴのパイを食べる。



「リンゴのジャムも美味しいね!」



アナスタシアは、バゲットにたっぷりのリンゴのジャムを塗って、幸せそうに頬張る。



「ええ、全部美味しいですわ!」



ピピロッテも、リンゴのタルトを一口食べると、満足そうに頷いた。


リンゴのタルトには二人でお手伝いをしたキャラメルソースがたっぷりと使われていて、剝いたリンゴにキャラメルソースをつけるのとは違った美味しさがある。

ゴージャス!バターたっぷりでとっても美味しい。



「そういえば、さっきのいただきまーす!って何ですの?」



やば!無意識怖い!とピピロッテの質問に焦る。



「あ……あれは、今から食べまーす!っていうのをお上品に宣言してみたの!」



「せんげん……?」



「宣言ね!私が今から食べるよ、こっち見て!って感じ!」



なかなか無理な内容だな!とアナスタシアは内心汗だくでピピロッテを見つめる。



「食べるを頂くってお母様も言いますね!」



なるほど~と納得したピピロッテ。

あぶねぇ、あぶねぇ!こりゃ他でも無意識に私言ってるわ。とちょっぴり反省。


二人は、お腹いっぱいリンゴのおやつを食べ、楽しい時間を過ごした。

本当はリンゴのパイにバニライアスのトッピングもしたかったけど、この世界アイスがあるか分からない。とりあえずは慎重に今生を楽しむ予定なので、出されたお菓子だけでも大満足である。


今度ゆっくり時間があるときにアイスクリームについても確認するぞ!と心のメモを残すアナスタシアであった。



「あ!今度、朝食にリンゴバターも出して欲しいの!」



今日は食べきれないが朝のリンゴジャムとは別に前の世界で生きていた時の大好物のリクエストも忘れない。あの味を是非とも再現してほしいものである。



食べ物にどこまでも貪欲なアナスタシアを横目にピピロッテはエプロンのポケットを撫でてムフムフしている。



「ピッピ、どうしたの?」



「え!?な、なんでもありませんよ!!」



「ふーん」



なんか、いいことあったんだろうな。と嬉しそうなピピロッテを眺める。

ピピロッテは一生懸命続きのリンゴタルトを美味しそうに頬張っている。



二人でお腹がはち切れそうなほど食べて、お土産にリンゴのパイとリンゴジャムを持ち帰るピピロッテ。



「今日で私はリンゴ博士になった気分ですわ!」



エッヘン!と胸を張るピピロッテはお家に帰って両親に今日学んだことを話すのを楽しみにしている。

デザートはリンゴのパイ!とルンルンとスキップをしながら帰って行く赤毛の可愛い少女を見送り、アナスタシアも両親にどんな話をするかちょっと楽しみだったりする。


子供の手に収まる小さなリンゴをコロコロと転がしながら、リンゴバター以外にどんなお菓子を作ってもらうか考える。



そういえば、キラキラマジカルスティックの生産など子供向けの魔法道具を作ってくれるドナ達が最近とっても忙しいと聞いたので、魔道具技師の所にも差し入れを持って行ってあげようと考える。



パティシエにリンゴのお菓子の差し入れをリクエストして、翌日に魔導具工房へ持っていくと、最近皆忙しくてなかなかランチやお茶の時間が取れなかったので大変喜ばれるのであった。


中には涙を流しながらお菓子を頬張る人達がいて、今度から遊びに行く時には食べ物の差し入れを使用とちょっとだけ反省をする。




リンゴの季節の間は朝食に皮をむいてもらったリンゴにとろりととろけるキャラメルソースをたっぷり付けて食べるのがマイブームになる。

しみしみバターのトーストを半熟卵に付けては食べ、リンゴもキャラメルソースに付けては食べ。



朝から元気いっぱいのアナスタシアは今日も新しい発見を探して外へと飛び出す。



某地域にてセロリにピーナッツバター、りんごにキャラメルディップという感じの食べ方を好む人達がおりますが、私はこのりんごにキャラメルソースの食べ方に出会ってしまい、一時期よく食べていました。

とっても好きです。ちょっとだけ贅沢な気分になれました。

簡単ですので、機会があればお試しください。


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