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オルサポルタから始まった  作者: 泰藤
新しい人生は突然に
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歴史博物館と精霊の話


マッケンジー夫人とのバレエ鑑賞の後、劇場内にあるレストランで簡単に軽食を食べ、午後からは歴史博物館とノバアルビオン連合理事会(国会議事堂)への訪問となる。



今日は連合理事会は見学日では無いこと、4歳には見学会の内容はまだ難しいので議事堂前まで行って簡単な説明のみで終わったが、中心街でもあり人通りも多い場所で観光客も多い。

せっかくなので、キラキラマジカルスティックの販売促進活動を行うべく、正門前でステックをふりふりしてキラキラエフェクトを振りまく。


あまりの可愛さに釣り上げられた人達にどこで手に入るのかを聞かれたアナスタシアは機嫌よく答える。




「オルサポルタのソナーシャで買えるよ!最近、開通した列車に乗ったらすぐだよ!」




父親がオーナーをしている列車利用も合わせて促す。

何て出来た娘でしょう!と一人自画自賛をする。



マッケンジー夫人にちょっと笑われながら、次の歴史博物館へと向かう。



歴史博物館ではアスポロスの成り立ちからノバアルビオンまでの歴史を学ぶことが出来る。

エントランスを進むとひんやりとした空気が肌を撫でた。

外の光が差し込むエントランスは、高い天井と磨き上げられた大理石の床が広がり、静かで荘厳な雰囲気に包まれていた。壁画が飾られ、初期時代のアスポロスの街並みが再現されていた。


奥へと進むと、展示室ごとに異なる表情を見せる内装に目を奪われる。古い木材が使われた床は、歩くたびに微かに軋み、壁の色は展示物の時代に合わせて落ち着いた色調で統一されていて、一つ一つの展示品に光が照らされ、その存在感を際立たせていた。


初期の住民の生活を再現したコーナーでは、質素な家具や生活道具が並び、当時の人々の暮らしぶりが目に浮かぶようだし、展示物の中には、古銭、使い込まれた道具などが大切に保管され、それぞれの品には、持ち主の人生の断片が宿っているように感じられる展示だった。




前回の授業でマッケンジー夫人が教えてくれた内容も、もう少し深く学べるようになっていた。

アスポロスの中心都市アトレータ。

古くは東部と西部を結ぶ毛皮交易の起点として発展し交通の要衝(ようしょう)となったことを知ることができた。

毛皮のコレクションも展示されていてた。毛皮はとても美しく寒い地域では必要不可欠なものでもある。

皆、この時代生き延びるのに必死だったんだろうな、と思いを馳せる。




精霊信仰についても絵画や彫刻などが展示されていて面白い。

さっき見たおどろおどろしい、亡霊達としか思えないヴィリス以外にもまともそうな精霊の紹介もあって安心した。




「怖い精霊以外もいるんだね!」



「そうですよ。さっきの精霊は確かに怖かったですね。ふふふ」



「凄く怖かったよぉ!」



「それは申し訳ありませんでした。ここには優しい精霊や可愛い精霊もおりますよ」



「優しい精霊は?」



「そうですね、氷河の湖の精霊グレイサーは湖の守り神として、漁師や船に乗る者達の安全を守ると信じられています。優しい精霊の一人ですね」



「安心したー」



「他にも、精霊の息吹という風がアスポロスでは良く出ます」



「精霊の息吹?」



「はい、精霊の息吹は火をかざすと息吹が吹き終わるまで炎が燃え続けます」



「炎がつくの?」



「はい、その炎を料理や夜の明かりに使用している地域もありますよ」



「へぇ~」




天然ガスみたいなものかな?とアナスタシアはイメージする。




「精霊には会えるの?」



「精霊と会うことが出来る者もごく一部ではいるそうですが一般的ではないですね」



「簡単には会いにいけないかぁ。見てみたかったなぁ。ヴィリスは嫌だけど」



「私も同じ思いです。残念ですね。」




マッケンジー夫人と精霊に関する展示室で話をしながら、暗い森の中で白いヴェールの姿で踊るヴィリスの絵や花が咲き乱れる湖畔(こはん)で釣り人を空から見守る精霊グレイサーの絵を楽しむ。


さっきのヴィリスがショッキングだっただけにグレイサーなど良い精霊の存在を知れて安心した。

バレエの後、歴史博物館に訪問して他の精霊を学ばなかったら精霊アレルギーを発症したかもしれないよ。


危ない、危ない。




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