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オルサポルタから始まった  作者: 泰藤
新しい人生は突然に
23/40

豪華客車でディナー


倒れ落ちそうなほど美味しかったランチを堪能し、もうディナーにも期待しかない!そんな嬉しい気持ちで部屋でゆっくりしていたが、ちょっとお(ねむ)になってきた。


今日は 鉄道開業式典の為に早起きだったのでウトウトし始めたところでエイダンが女性職員を呼んで部屋着に着替えさせてくれてベッドに促されたところまでは覚えている。


はっと目が覚めればいつものベッドの仲間たちである、ぬいぐるみに囲まれて、この子達も一緒に列車旅に乗せてこられたんだな。いらなくない?いや、一緒に不安な夜を過ごした仲間たちではないか!などと寝ぼけた事を考えている間にしっかりと頭も覚醒してきた。



遠くで良い匂いがする気がする。外も夕日が沈みそうでピンクとオレンジ色の空になっている。

晩御飯だ!どこまでも食い意地が張っているアナスタシアはがばっと起きてフカフカタオル地のスリッパに履き替える。


ディナーはまた、着替えるのかな。面倒くさいなぁ……。と思っていたら、女性の職員が起こしに来てくれた。簡単なワンピースに着替えたところで、エイダンが準備を整えてテーブルのセッティングに来てくれた。



席に座らせてもらい、大人しく待っていると前菜をサーブしてくれる。



「アナスタシア様、お待たせいたしました。前菜はチュアンブルとベリー、ハーブのミニタルトに季節の野菜のテリーヌでございます」



「チュアンブルってなに?」



「野生の牡牛(ブル)に似た魔獣の一種で大変珍しいお肉になります」



一口サイズのタルト生地に、細かく刻んだチュアンブルのタルタル、酸味のあるベリーにハーブが添えてある。

タルト生地はサクサクとした食感で、チュアンブルのタルタル、ベリーとハーブの組み合わせが美味しい。

旬の野菜を彩り豊かに層にして、テリーヌにアプリコットのソースが掛かっている。

意外な組み合わせだけれど、断面からは、色とりどりの野菜が層をなしていて美しい。

あっさりしているけどこれもとっても美味しい。


プチサイズの小さいカップに入ったコンソメスープとパンもサーブされ、メインディッシュを待つ。


「メインディッシュのチュアンブルのグリル、季節の野菜のローストに数種のベリーとバルサミコ酢のソースでございます」



色とりどりの季節の野菜が美しくローストされ、一センチほどにスライスをされて美味しく焼かれたお肉に、ベリーとバルサミコ酢で作られたソースが、艶やかな輝きを放っている。

とてもおいしそう。


もう、一人グルメレポをするのも苦しい位美味しそうである。

夢中になってメインディッシュを食べているといつの間にかお皿は空っぽに。

残ったソースにバターを塗ったパンを付けて食べるとこれまた美味しい。

 


「おいしいよ!もう無くなっちゃった!」



アナスタシアの素直な気持ちが口に出てしまうが、エイダンは喜んでくれている。



「満足頂けて良かったです。最後にデザートをお持ち致しますね。」



「デザートもとても楽しみだわ」



「ストロベリーとラズベリーのタルト、マスカルポーネチーズのクリーム添えでございます」


艶やかなストロベリーとラズベリーが、タルト生地の上に散りばめられ、その周りには、真っ白なマスカルポーネチーズのクリームが、まるでレースのように繊細に添えられている。


早速一口食べてみると、バターの効いたタルト生地はサクサクとした食感で、マスカルポーネチーズのクリームは、軽やかで口溶けが良く、ベリーのジューシーさ、そして酸味とマッチしていてとっても美味しい。

美味である。とっても美味でございます。


今日のディナーもとろけるような幸せを体験し、フワフワしている間に大人達のパーティから抜け出して様子を見に来てくれた侍女にお風呂に入るのを手伝ってもらい、気が付けばまた、ぬいぐるみ達に囲まれてベッドに入っていた。


食っちゃ寝、食っちゃ寝を繰り返すだけの至福の1日でした。

あー、本当に美味しかった。幸せで危うくお風呂で寝ちゃうところだったよ。


「明日はアスポロスに到着します。」なんちゃってー。むふふ、むっふふ。


異世界の車窓からは星が(きら)めき、夜は更けていくのであった。





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