魔法少女誕生
アナスタシアとしてこの世界での生活にも慣れ、遂に魔法アイテムまで手に入れた!!
とはいえ魔法が当たり前の世界の大人たちには魔導具という認識にもならない、子供騙しのような玩具扱いの物ではある。
私としては熱くない淡い花火のような光が棒の先からキラキラ出るなんて、絵本やアニメなんかで見たことがあるやつだよ!
ま、この世界の大人から見たらピコピコ光ってるだけなのに子供が大喜びしてて可愛いねーって感覚なんだろうね。
でも、これで魔法少女どころか魔法淑女があふれる世界で魔法少女ごっこをしようとしている私としては大満足なんです。
元の世界の記憶があるせいで一人だけツボにはまる形になったのかと思いきや、子供達の前で披露したら、たちまち人気者よ。
「私も、私も貸して欲しいです!」
「私も使ってみたいです。どこで手に入るのですか?」
「キラキラ! キラキラが綺麗ですの!」
皆も貸して欲しい!使ってみたい!と熱烈な眼差し。
これはイケる!!と私は確信したわ。
魔石は高いらしいので、以前キラキラブームの時に集めた小さな魔石の粒をドナに見せて、これを使ってマジカルスティックを作って欲しいと頼んでみた。
やっぱりドナは凄いわ。私の無茶なお願いを叶えてくれたの。
ドナは本当に出来る女よね。凄いわ。
こうして、私は子供たちを集めて、キラキラの粒集めを始めた。
私が住んでる城のそばにある円環周辺は私以外の子供たちは立ち入ることができない。そこで、砦の内側に軍関連の魔法攻撃などの訓練に使われる運動競技場にも魔石の残骸があると聞きつけ、子供たちと一緒に遠足に出かけたのだ。
皆で巡回馬車に乗り、訓練の邪魔にならない安全な場所で、一生懸命に魔石の粒を集めた。
「この容器いっぱいに集めたら、マジカルスティックと交換します!」
そう約束すると、子供たちは目を輝かせて集め始めた。
実際には、容器一杯分の魔石の粒があれば、『マジカルスティック』がドナ曰く30本は作れるらしいのだが、私はずる賢い大人の心を隠し持ち、子供たちをせっせと働かせた。
まあ、これは棒の部分の材料費みたいなものだろうから許してね。労働の対価だよ。
ふっふっふー!
このマジカルステッキブーム!子供達の熱量が凄かった。
ここに住む大人たちは全員魔法が使える魔法紳士と魔法淑女なのではあるが、まだ魔法を教えて貰えない子供達には未知なるカッコイイ魔法だったのだ。
大人たちの使う魔法には無駄なキラキラエフェクト無いからね。
毎回、キラキラしたら面倒くさいもんね。わかるよ。
魔法少女、魔法少年希望者を増産し子供達に人気になりすぎてドナの手が回らなくなってきたあたりで、出来る男コンラッドがお父様に報告。
我が娘凄い!ビジネスにして量産してしまおう!
城外の裕福な子供達にも人気間違いなし!
他の領地の子供達や国外の人にも我が子のお土産に人気が出る!
と話が大きくなって私の玩具店が出来ることになった。
魔導具工房への引率をしていたコンラッドがこの動きをいち早くお父様に報告していたので玩具店用の空き店舗も街の一等地でお父様が所有している店舗を改装が始まり、簡単な魔術を使用した子供が喜ぶ商品やアナスタシアが欲しい物を開発する事になった。
さすがお金持ちは凄いのね。
お父様がドナを玩具開発の専属魔導具技師として指名をしたので、私は大喜びでドナに色々と製作をお願いする事になった。
「ドナー!今度はブーツを作って!いくら歩いても足が疲れなくて早く走れるのがいいの!」
「まぁ!アナスタシア様。 それは鬼ごっこにも探検にも最適でございますね!」
と『素敵ブーツ』が作られ
「あとね!色々と物がいっぱい入る可愛いポシェットでしょー」
「小さくて可愛いのに魔法のステッキとお菓子と水筒と、ハンカチが入るものでしょうか」
「あと、ぬいぐるみとスケッチブックも入るといいなぁ」
『いっぱい入る不思議ポシェット』
も頭を悩ませながらドナは頑張った。
可愛いポシェットを作成する為に被服部門の担当者を呼びたして可愛いポシェットに魔術を付与してみたりと大忙し。
可愛いポシェットに付与が出来るならと調子に乗ってしまった私は被服部門の担当者に可愛いキラキラの星の形をしたカットガラスビーズを縫い付けたパフスリーブのワンピースも制作して貰い、そのビーズを中心に転んでもふんわり守ってくれる術式などが組み込まれたワンピースドレスも完成したのであった。
これらの完成アイテムである、『ふんわりワンピース』『素敵ブーツ』『いっぱい入る不思議ポシェット』、『キラキラマジカルスティック』の4点を装備した魔法少女アナスタシアが誕生した。
特に、キラキラマジカルスティックと素敵ブーツの人気が凄く、男の子用も追加で制作の話も出てるようでとっても満足。これがインフルエンサーね!などと悦にはいるのであった。




