気が付けば情緒不安定 1
新緑が目にしみる。
エメラルドグリーンの絨毯を敷き詰めたような芝生の上に赤いタータンチェックのフワフワのブランケットが敷かれた上に座りながら、私はどこまでも続く水平線を眺めていた。
紺碧の大海原が、太陽の光を反射してキラキラと輝き、大きな船が港に停泊している。
膝の上には、半分食べられたサンドイッチが置かれ、ピクニックバスケットにはベリー類、チーズにバターやハムとサラミやジュースがカトラリーと共にがたたずんでいる。
さわやかな風が、近くの女性の髪をなびかせ、カモメが鳴き声をあげながら空を飛んでいる。空は、どこまでも澄み渡り、綿菓子のような雲が浮かんでいる。
とても美しい情景にボーッしながら膝の上にある食べかけのサンドイッチを手に取りもう一度かじる。
「美味しい…。」
夢かな?夢なのかなと思いながらサンドイッチを食べきり手元にあった飲みものを飲む。
リンゴジュースだ…。
と思いながら横になり目を閉じる。
麗らかな天気と景色に満足し眠ることにした。
うとうとと穏やかな眠りに飲み込まれ私の意識はふわりと消えた。
高級感のある4色ペンを購入し今月最後の出張からの帰り道、ウキウキしていたいい歳の女がいた。
宝くじが当たったかもしれない!
家に帰ったらもう一度確認しよう!
アナログな手帳を鞄から引っ張り出して、新しく買ったペンににんまりしながら今後の予定を確認する。
そこまで、そこまでの記憶はあった。
確かに、覚えている。
でも、その後芝生の上でピクニック宜しく大海原を眺めるに至るまでの記憶がない。
宝くじが当たったのか…。
いや、わからない。
そんなことを考えながらひとまず目を閉じてこれは夢かもしれない。目が覚めたらいつもの日常と言い聞かせポカポカ陽気に身を任せ眠りについたはずだった…。
次に目が覚めても同じ場所だった。
美しい海を眺めながら芝生の上に敷かれた赤いタータンチェックのブランケットの上に転がっていた。
なんなら、起こされた。夢の中なのに。
これ以上お昼寝すると夜眠れなくなりますからね。と言いながら出されたブルーベリーを無心でひたすら食べているのが今。
フレッシュなブルーベリー美味しいなー。
リンゴジュースも美味しいなー。
なんて思いながらピンクに染まり始めた空を視界にいれながら、またひたすらブルーベリーを頬張ってた。
どう見ても自分の爪がとても小さい。
子供の手としか思えない。
そして、私を起こした赤毛にオレンジの瞳をした女性は私のことをお嬢様と呼ぶ。
え?本当にどういうことかな?
変な発言をしないようにおねむな子供を装いひたすらブルーベリーを食べている。