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プロローグ 少女とぬいぐるみ(?)
「お前は大天使アリエルの生まれ変わりなんだよ‼」
獅子野羽衣は、自分に向かって懸命に訴えかけてくる不思議な生物に首を傾げていた。その表情は、目の前の生物の言葉は一切届いていないことを物語っている。
不思議な生物は可愛らしいピンク色の毛皮に覆われた身体をワナワナと震わせ、少々苛立った様子で「だーかーらー‼」と声を荒げた。羽衣の背丈の半分ほどもないぬいぐるみのようなその姿で声を荒げたところで、まったく怖さは感じない。
すると、羽衣は唐突にパッと表情を輝かせ、不思議な生物のことを抱き上げた。不思議な生物は唐突なことに面食らって言葉をなくす。
「すごい! 最近のぬいぐるみって喋るんだねぇ!」
キラキラと目を輝かせながら羽衣が放った一言に、不思議な生物は大きなため息をついた。