71:クロード様との夕食会
遂に土曜日を迎えました。
クロード様との夕食会です。
コックやキッチンメイドの皆さんは、朝から夜に備え、食器を磨き、食材の買い出しに向かい、準備を進めてくださっています。今日は天気もよいので、テラスでの夕食会にすることにしました。召使いの皆さんが、テラスや庭園にランタンを飾り、こちらも少しずつ準備を進めてくださっていました。
一方の私は。
昨日の夕方に届いた、クロード様の花に「秘めた恋」という花言葉があったことを思い出し、少々物思いに耽っています。ただ、イキシアの花言葉には「団結」や「誇り高き」という意味もあります。ですので、後者の意味の可能性も高いのです。王太子様は、悪役令嬢さんに花を贈る機会が多いと思います。よって花言葉も、つい恋愛にまつわるものを想起してしまうのではないでしょうか。
クロード様は、剣の騎士団の団長をされています。それを踏まえると、「団結」が妥当だと思います。むしろ、クロード様は恋愛とは無縁と言われている方。「秘めた恋」を選ぶとは……考えにくいと思います。そうです。やはり「団結」で正解でしょう!
物思いはあっさり終わり、私は宿題に取り込むことにしました。
◇
「いよいよですね、リラ様」
ココにそう言われ、お化粧をして、髪を整え、ドレスに着替えて。今はクロード様の到着を待つばかりです。
「そろそろエントランスへ移動されますか?」
「そうね」
私は立ち上がり、今一度、姿見で自分の姿を確認します。
髪は迷いに迷いましたが、サイドダウンにしました。
クロード様にいただいた髪飾りでまとめつつ、ジャスミンの生花とパールを飾っています。
メイクはドレスにあった青系です。
目元は、グラデーションになるよう、青系の色を瞼にのせ、さらにパール感のあるホワイトも加え、華やかさを出しました。チークは、クールなピンク色をふわりとのせ、口紅もチークに近い色をのせています。
サファイアブルーのドレスは、問題なく着こなすことができています。
胸元を中心に、大胆に配置されている、大小様々なグリッターで表現されたライラックの花。プリンセスラインのスカートのサイドには、美しいドレープを描く、サファイアブルーのガラスオーガンジーのチュール。ここにも、グリッターで表現されたライラックの花が、可憐に咲いています。
何度見ても美しいドレスです。これを着ているだけで、自分が何ランクも上の女性になった気分になれました。さらに、クロード様にいただいたペンダントとイヤリングを合わせることで……完璧です。
「問題ないですよ、リラ様。間違いなく、今夜のリラ様は、この世界で一番の美しさです」
ココの大仰すぎる褒め言葉も、今日に限っては「そうかもしれない」と思えるのが不思議です。
エントランスに降りていくと。
クロード様を迎えるため、両親と二人の弟が、既に待機していました。私を見ると二人の弟は「お姉様、綺麗~」「お姫様みたい~」と喜んでくれます。お父様は「リラ、自信を持ちなさい。今日のリラも本当に美しいよ」と言ってくださり、お母様も「料理も全て問題なく用意できていますから。クロード様と楽しく過ごすことを心掛け、余計な緊張はしなくていいのよ」とアドバイスしてくださいました。
大丈夫。
お母様の言う通りです。
クロード様が楽しく、私も楽しく過ごせるよう、心掛けましょう。
深呼吸を何度か繰り返していると。
クロード様が、いらっしゃいました。
馬車からクロード様から降りてきた瞬間。
いつもと違う雰囲気に、息を飲んでしまいました。
お読みいただき、ありがとうございます!
次回は明日、7時頃に「正面から直視は……厳しいです(><)」を公開します♪
いつもと違う時間です!