70:明日のヒロインは私……・゜* ♡ *・゜
エントランスで王太子様の馬車を迎えたお母様と二人の弟、バトラー他召使い一同は、本当によく頑張ったと思います。前回は登校時でしたが、今回は学校帰り。遠慮する王太子様と悪役令嬢さんを応接室に案内すると、我が家自慢のミルフィーユと紅茶が用意されました。紅茶は、貴重なゴールデンチップス入りのアッサムティーです。
ミルフィーユはおそらく、今日の夕食のデザートに用意したもの。紅茶は、オペラ観劇からの帰りにお母様が購入したものでしょう。急な訪問ながら、我が家でできる精一杯のおもてなし。それは王太子様も悪役令嬢さんにも伝わったようで、喜んでミルフィーユを召し上がってくれています。
するとそこに。
あのドレスが到着しました。悪役令嬢さんからいただいた生地で仕立てたドレスです。せっかくなので、完成したドレスを見せると……。悪役令嬢さんは、とても喜んでくださいました。これを明日のクロード様との夕食会で着るつもりだと伝えたところ。
お二人は「間違いない。陥落だな」「多分、最初の30分は直視不可能かもしれませんわね」と、何やらヒソヒソ話をされています。
「リラ、とても素敵なドレスだ。一人の男性として、そのドレスを着たリラは、きっと魅力的になるだろうと想像できる」
王太子様から、お墨付きをいただけました。
男性側からの意見を聞けたのは、貴重に思えます。しかも王太子様から!
「シルク生地を生かした素晴らしいデザインだと思うわ。胸をはって、堂々と着こなすのよ、リラ。明日のヒロインはあなたなのだから」
明日のヒロインは私……!
この一言には、心を大きく揺さぶられます。モブの私でもヒロインになれるのですね。
「王太子様、フランチェスカ様、ありがとうございます! 胸をはって明日は、このドレスを着こなします」
私の言葉を笑顔で聞くと、王太子様と悪役令嬢さんは、お帰りになる準備をされます。帰り支度をされたお二人を、エントランスでお見送りしていると……。クロード様からの花束が届きました。白と紫のフリージア、ピンク色のイキシア、そしてグリーンを合わせた花束です。
「あどけなさ、憧れ……秘めた恋」
王太子様がサラリと、花言葉を口にされます。
さすが王太子様です。イキシアの花言葉なんて、私も覚えていませんでした。きっと悪役令嬢さんに、お花を沢山贈られているのでしょうね。一方の悪役令嬢さんは、王太子様から花言葉を聞いて、クスリと笑います。そして「クロードらしいわ。奥ゆかしい」と微笑まれました。
「リラ、明日の夕食会、クロードと楽しんでね」
悪役令嬢さんはそう言ってウィンクすると、王太子様にエスコートされながら、馬車へと向かって行きます。その姿は本当に王子様とお姫様という感じで、お似合いです。夢キスをプレイしていた時、この二人が結ばれる姿は想像できませんでしたが……。こうしてお二人を見ていると、これが正解だと思えるのですから、不思議なものですね。
二人は馬車に乗り込むと、窓から手を振ってくれます。
お母様と二人の弟、そして私と召使い一同で、馬車を見送りました。
このあともう1話公開します!
19時台に公開します。
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いつもと違う時間です
























































