52:私の知らないクロード様
鴨のコンフィも、その後にいただいたデザートも。焼き菓子と紅茶も。
本当に、とても美味でした。
昼食の後は、屋敷まで送っていただき、その後は……。
家に来てくれた仕立屋さんと、ドレスについて打ち合わせをしました。
悪役令嬢さんがプレゼントしてくれたシルクの布を使い、ドレスを作ることにしたのです。シルクの布は、目にも鮮やかなサファイアブルー。イブニングドレスを作るのにピッタリです。
仕立屋さんは布を確認すると「間違いなく最高級のシルクです。通常はこのランクのシルクは、王室に献上するレベル。こんなシルクでドレスを仕立てるなんて。職人たちの腕が鳴りますよ」そう絶賛しています。
同席しているデザイナーさんと共に、その場でドレスのイメージをかため、他に使う布の種類なども絞りこみました。
今回仕立てるドレスは、来週の土曜日の、クロード様を招待しての夕食会で着るつもりです。あまり時間はないので、これであとはおまかせになります。そして木曜日の夕方に、仕立てたドレスを試着することになりました。あとは微調整の上、土曜日に完成したドレスを納品してもらう予定です。
身に着けるアクセサリーは、クロード様にいただいたものと決めていました。ペリドットの美しいイエローグリーンの色味は、ドレスにも取り入れてもらうことになっています。どんな仕上がりになるか、今から楽しみでなりません。
仕立屋さんとの打ち合わせを終えると、恒例作業に着手します。
クロード様への、御礼の手紙を書く時間です。今日はアンヌさんからも、手紙が届いていました。アンヌさんは手紙の中で、私の知らないクロード様について明かしてくださっています。それは夢キスでさえ明かされていない情報です。私は興味津々で、その手紙を読むことになりました。
クロード様は、子供の頃から運動神経がよかったのですが、公爵家の嫡男。運動よりも、将来必要となる学問を勉強することを、すすめられてしまいました。自身の立場を踏まえ、クロード様は勉学に励みつつ、それでも自身の体を鍛え続けます。そして自身の護衛につく騎士に頼みこみ、勉強の合間に、武術の訓練もつけてもらうようになりました。
学校の勉強、公爵家の嫡男としての勉強、時間を見つけて行う武術の訓練。それはもう、とんでもない忙しさで、同じ年頃の男子が女子と楽しく過ごすような時間を持つことなく、成長することになりました。
社交界に顔を出す年齢になっても、勉強と武術を優先させ、まさに文武両道を極めたクロード様は。お父君に相談しました。公爵家の跡を継ぐつもりであるが、お父君が健在である間は、自身の武術を生かしたいと伝えたのです。つまり騎士になりたいと。
もちろん、最初お父君は反対されていました。でもクロード様は、国内で開催されている剣術大会、弓術大会、槍術大会で、次々と優秀な成績を打ち立てます。その結果、騎士団から声がかかるまでになりました。
運命が決まることになったのは、トリコロール剣術祭。
以前のトリコロール剣術祭では、特別に優秀な見習い騎士による剣術披露が、一組だけ行われていました。クロード様は、当時の剣の騎士団の団長からの特別推薦で、剣術披露を行ったのです。そしてその姿を見た国王陛下から、クロード様は「良き騎士になるように」と、特別にお言葉を賜ることになりました。
国王陛下が直々に、そのような言葉をかけるのは異例なこと。さすがにクロード様のお父君も、国王陛下のお言葉を無視することはできません。クロード様が騎士の道に進むことを、お認めになったのです。
ただし、公爵家は必ず継ぐこと。自身はそう簡単に現役引退をするつもりはないが、退いた暁には、必ず公爵家を継ぐようにと。さらに後継ぎの役目があるのだから、体に傷を作ることは許さないと。
つまりは騎士として、クロード様は最強になることを、お父君から求められたのです。
クロード様は、お父君との約束通り、名実ともに武術を極め、最強の騎士へと成長しました。そして昨年の秋に、剣の騎士団の団長に就任したのです。クロード様が騎士としての頂点を極める一方で、お父君も大変健康でいらっしゃるとのこと。
これでめでたし、めでたしと思いきや。
アンヌさんによると、そうではないというのです。
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