47:王太子様との会話は、緊張します
「リラ嬢」
突然、王太子様に声をかけられ、驚いてしまいます。
「は、はいっ、何でしょうか」と、なんとか返事をしました。話し慣れない王太子様との会話は、緊張します。
「昨日の騒動を受け、フランチェスカは、わたしと同じクラスになる。つまり、リラ嬢、君ともクラスメイトになる。代わりにデュ・プレシ公爵令嬢は、フランチェスカがいたクラスに変更となる。だからこれからは、フランチェスカとも仲良くしてやってほしい」
「!! か、かしこまりました。こちらこそ、フランチェスカ様とクラスメイトになれるのは、光栄です」
そこでペコリと頭を下げ、話を続けます。
「……その、昨日、あの男達に取り囲まれた時。私はお金目当ての誘拐だと思い、金貨を渡すので、リビオ様を解放するよう、交渉を持ちかけました。するとお金が目当てではなく、さらうことが重要だと言われ、金貨を奪われそうになったのです。
金貨は、ドレスのスカートのポケットにいれていたのですが、男の一人が何を勘違いしたのか、私の胸元に手を伸ばしまして……。その瞬間、フランチェスカ様の顔を思い出し、『おやめなさい!』と、凛とした声で言うことができました。『金貨を渡すと言っているのです。手をはなしなさいっ!』と、腹の底から声を出すことができたのです。おかげで金貨をばらまいて、その場から逃げることができました。
でも運動不足で転んでしまって、捕まってしまうのですが、そこはクロード様達に助けていただけて」
そこでチラリと横に座るクロード様を見ると。
サファイアのような瞳が燃えるように輝き、こちらを見ていらっしゃいます。思わず息を飲むと、すぐに我に返ったクロード様は、私から視線を逸らされましたが……。なんだか心臓がドキドキしてしまいました。でも話が途中でしたので、再開します。
「あの時、私がちゃんと声を出せたのは、フランチェスカ様のおかげです。フランチェスカ様は、どんな時でも凜とされ、ご自分の考えを述べられていました。私もそれを真似して、声を出すことができたと思います。これからもフランチェスカ様から、いろいろなことを学びたいです。ですからこちらこそ、仲良くしてください」
そこまで言って再びペコリと頭を下げると。
沈黙されてしまいました。
私は俯いたまま、何かまずいことを言ったのでしょうかと心配になります。
「チェスカ、感動するのは分かるけど、ここは何か言わないと」
王太子様の言葉で、悪役令嬢さんが怒っているわけではないと分かり、思わず安堵します。それに「分かっているわよ、リュシー」という悪役令嬢さんの声が聞こえ、さらに安心感が増しました。
「ねえ、リラ、顔をあげて」
私が顔をあげると……。
悪役令嬢さんは、ルビー色の綺麗な目でこちらを見ています。しかも、頬を赤く染めているのです……!
「私はただ、自分がこうと思うことを、ズバズバ言っているだけよ。とてもあなたの手本になるような人間ではないわ。それでも何かリラ、あなたの役に立つ部分があるなら、好きなだけ真似るといい。私は……あなたのその奥ゆかしさを学びたいわ」
照れるように悪役令嬢さんが言うと、王太子様がクスクスと笑みをこぼします。「もう、リュシー、笑わないで!」そう言って王太子様の胸をぽかぽかと叩く悪役令嬢さんは……子供みたいに可愛らしいです。
お二人は同い年で幼馴染み。もう完全に気心が知れていると分かりますし、この二人の仲を裂こうなんて、とても思えません。
ヒロインさんも早くこのことに気づけばいいのに。
そんなことを思っていると、学校に到着しました。
お読みいただき、ありがとうございます!
次回は明日、8時頃に「驚くほど変わりました‥・*・‥」を公開します♪
























































