36:ど、どうしたのでしょうか?
「お嬢様、このドレスは当家でお預かりさせていただきます。ペンダントとイヤリングなどの装飾品は、お帰りいただく時に、お持ち帰りいただけるよう、用意しておきます。足の包帯は、入浴の際には外すようになさってください。お着替えの前に、医者に診ていただきます」
髪をとかしながら、アンヌさんは優しく語り掛けてくださります。とても優しい侍女の方に、とても癒されました。
「あの、私はアルダン伯爵家の長女リラと申します。先ほどの言葉といい、いろいろ準備いただき、ありがとうございます」
私の言葉にアンヌさんは、一瞬手が止まりましたが、すぐに笑顔になります。
「リラ伯爵令嬢ですね。賜りました。これからも、お名前をお呼びする機会が増えそうですので、お聞き出来て良かったです」
「え?」
「では浴室へ、ご案内いたします」
「は、はいっ」
その後はお風呂に入り、体を綺麗に洗い、髪もきちんと洗って、ようやくさっぱりすることができました。脚の傷はしみましたが、これは名誉の負傷と思うことにします。バスローブを着て浴室を出ると、アンヌさんとお医者様が待っていました。すぐに脚の怪我の手当てもしてくださります。お医者様の見立てでは、きちんと応急処置もされているので、化膿したり、破傷風になったりする危険はないとのこと。一週間程度でかさぶたもでき、やがて傷はなくなるでしょうとおっしゃっていただけました。軟膏も用意くださり、入浴後と朝に、塗るようにとのことです。
「ではリラ伯爵令嬢、ドレスに着替えましょう」
用意されていたドレスは、とても素敵です。
生地は白いシルクで、上半身は明るいブルー。ウエストから裾にかけ、青やグリーン、黄色でプリントされているのは、ボタニカル模様です。さらにガラスの模造宝石が散りばめられ、陽の光を受け、キラキラと輝きを放っています。そしてウエストには濃紺のリボン。
髪は左右を編み込みにして、ハーフアップで束ね、リーフモチーフの髪留めで、まとめてくださいました。髪留めにはペリドットが使われていましたが、ペンダントとイヤリングにも、ペリドットが使われています。ペリドットはとても明るい黄緑色で、ドレスとの相性もバッチリでした。
ハイヒールは、ウエストリボンと同じ濃紺で、サイズもピッタリ。
「さあ、リラ伯爵令嬢。大変美しい蝶に、生まれ変わることができましたよ」
アンヌさんに言われ、姿見に映る自分を見て、自然と笑みがこぼれます。この部屋に入ってきた時とは、まるで別人。お化粧も、ドレスに合うように、アイシャドウは淡い黄緑色、睫毛も綺麗にカールさせ、チークは桜色です。ルージュはチェリーピンク。
「では、アフタヌーンティーの席へ、ご案内します」
案内されたのは、サンルーム。
出入り口以外は全てガラス窓で、窓枠は白。天井もガラス張りで、フレームは真っ白。床も白なので、とても明るく感じます。月桂樹、シェフレラ、オリーブなどの鉢植えが飾られ、天井から吊るされているアイビーもありました。緑にあふれ、とてもフレッシュなサンルームです。
案内された席には……。
花瓶には、私が贈ったブーケが飾られています。よくよく考えるとこのブーケは、広場に投げ入れられ、掲示板に展示され、騒動の時には私を見つけるための目印になり、大活躍してくれました。
「リラ、待たせてすまない」
声に振り返り、これまでと違う雰囲気のクロード様に、思わず目が釘付けになります。濃紺のシャツに明るいグレーのジレ、ジレと同色のズボン。明るいグレーの衣装を着用しているだけで、印象がグッと変わっています。いつもは全身紺色のコーデが多いので、新鮮に感じるのかもしれません。
一方のクロード様は、その場で立ち止まり、私を見下ろしていましたが……。驚くほど頬が赤くなり、ハッと我に返り、視線を落とすと。手で顔を覆うようにし、大きく息をはきます。
ど、どうしたのでしょうか?
何かクロード様を困惑させるものがあったのでしょうか……? 思わず周囲を見渡してしまいます。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!!
このあと11時台に、もう1話公開します!
ブックマーク登録いただいた読者様。
いいね!をしてくださった読者様。
応援、ありがとうございますo(⁎˃ᴗ˂⁎)o
【 ご報告 】
●週 間●
恋愛異世界転生/転移ランキングBEST300
>> 11位 <<
『悪役令嬢完璧回避プランのはずが
色々設定が違ってきています』
週間ランキング、ワンランクアップ↑
読者様の応援のおかげです。
いつもありがとうございます(*^-^)
























































