12:ポイントは赤い薔薇.。.:*♡
翌日の日曜日は、朝から夜まで大忙しでした。
花屋さんは、朝は仕入れで忙しいため、来るのはお昼前になると連絡が来ています。代わりに朝一番でお屋敷に来てくれたのは、宝石屋さん。
ドレスは新たに仕立てるのは難しいので、既存のドレスに手を加えることになっていました。そのドレスは……。
明るく淡い色味のネイビーブルーのドレスで、柔らかなサテン生地で出来ていました。白い大小の薔薇が刺繍されたエンブロイダリーレースが、上半身からウエスト周りを飾っています。ウエストには、白いリボンのベルトを合わせる感じです。
宝石屋さんはこのドレスを見ると……。
ダイヤモンドとパールを組み合わせたペンダントとイヤリング。そして髪飾りとして、カチューシャには、生花を飾ることを提案してくれました。
ダイヤモンドとパールの組み合わせであれば、ドレスにどんなアレンジを加えても、間違いなく合うでしょう。そしてカチューシャに生花を飾る――これはとてもいいアイディアだと思えました。ドレスには薔薇が刺繍されていますから、髪に飾るのも薔薇で決定です。
次に、ブーケを束ねるリボンに飾る宝石ですが……。
ビックリするような宝石を発見しました。
それは親指の爪ほどの大きさなのですが、プラチナで作られた薔薇の鋳型に、ルビーの欠片が見事に埋め込まれています。実に繊細な作り。顔を近づけ、よく見ないと、ルビーの原石をカットし、薔薇の形にしたように見えます。
このルビーの薔薇を、ブーケを束ねるリボンの結び目に飾ることができたら……。
「この裏側に、バタフライクラッチをつけることは、できますか?」
「ええ、可能ですよ」
おかげでブーケを束ねるリボンのイメージが、完成しました。
続いては仕立屋さんに、ドレスのアレンジをお願いします。
仕立屋さんは、私が用意したドレスを見て、白い大小の薔薇が刺繍されたエンブロイダリーレースに注目しました。白い大きな薔薇だけ、色をつけてはどうだろうかと、提案してくださいます。その場で出来上がりをイメージしたスケッチを描いてくださりましたが、とても素敵です。しかも着色するのは赤。つまり赤い薔薇が、ドレスを飾ることになります。
ブーケのリボンに飾る薔薇も、ルビーなので赤。よってドレスに赤い薔薇が加わるのは……まさにピッタリです。何よりドレスはネイビーブルー、そして赤い薔薇と白い薔薇。トリコロールの完成です。
さらにウエストに白いリボンベルトではなく、パールを使ったビジューベルトをつけることも、提案してくださりました。ビジューベルトをつけることで、ドレスの洗練された雰囲気が、さらにアップしそうです。ドレスを新たに仕立てる時間はありません。それでも十分に素敵なドレスに、アレンジできそうでした。
仕立屋さんと入れ替わりで、今度は花屋さんが、来てくださいます。
クロード様は、ネイビーブルーの髪に、瞳は宝石のサファイアのよう。花屋さんには青・水色のお花のカタログをお願いしていたのですが。実は赤のお花のカタログも、お願いしていました。
クロード様に関して、夢キスをプレイしていたからこそ、知っている秘密があります。
実は、クロード様は背中に、薔薇の花のような火傷の痕があるのです。
クロード様は子供の頃、暖炉の前で、妹さんと遊んでいたことがありました。もう夜寝る時間が近かったので、暖炉の火は消されています。でも妹さんはまだ歩き始めたばかりで、暖炉の中に突っ込むように、転びそうになってしまいました。その妹さんを庇ったクロード様は……背中から暖炉の中に倒れ込むことに。
火は消されていましたが、暖炉の中は、まだ完全に冷めていません。クロード様は火傷を負ってしまいました。ただ、成長することで、その火傷は目立たなくなり……。今では背中の一部に、薔薇の花のように痕が残っているだけです。
本人はそれを、誰かに話すことはないのですが。
薔薇のような火傷の痕を、本人は気に入っている(?)ようなのです。私物につける自身の印に、この赤い薔薇をつけることが、度々ありました。そして夢キスをプレイしていた時、一度だけ、自身のこの火傷について言及したのを、聞いたことがあるのです。
お読みいただき、ありがとうございます!
次回は明日、8時頃に「残り二日、頑張ります」を公開します♪