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8.エルフの幼女 その2

「かわいいーーーー!」


これは既視感デジャヴか?


いや、そういや朝にも同じような事があったなと思い出しながらも、どうやら今回は幼女がその声をあげていたようだった。その幼女は、こっちに近づいてくると、リリスの斜め前で止まり、その場で背伸びをしてキュウの頭を撫でだした。それから俺達と目を合わせた。


「やっぱりかわいいのじゃ!この子をあちきに下さいなのじゃ!」


「はっ?いきなり何言ってるの?ダメに決まってるじゃない!」


「いや、どうかどうか。是非あちきに下さいなのじゃ!」


小さい身体を折りたたんで丁寧なお辞儀をしている。


「ダメよ!あなた自分が何言ってるか分かってる?人が大切にしている子をそんなに簡単に欲しいなんて言うのは非常識よ?最近の子はわがままいうと何でも貰えると思ってるんだから!本当に困ったものね」


リリスは、両腕を組んで鼻息を荒くしてそう言った。


言ってることは何も間違っていないと思うのだが、俺にはこの光景がさっきからカイロに迫ったリリスと同じにしか見えなかったので、時間を巻き戻して彼女にその様子を見せてあげたいなと考えていたのだが、いつの間にか、幼女がキュウを腕の中で抱っこしていたのでリリスが力づくで引き離した。


「仕方ないのぅ」


「あなたは一体何者なのよ?まずは自分の名を名乗りなさいよ!」


「わーはっはっ!あちきはエルフ族の族長リバーシルの娘クロネじゃ!」


名乗りの演出にわざわざ煙幕を使ったのか周辺には白煙が立ちこめていた。

クロネは、昨日エルフ族の村からクロスロードにやって来る道中に、俺達と一緒にいたキュウを見かけて、そこからストーキングしていたのだという。


せっかくの異世界なのに俺よりキュウの方がばんばんもてるじゃねぇか・・・


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


絶対に欲しいクロネ VS 絶対に渡さないリリス


似たもの同士の2人の女の間にはバチバチ火花が散っている!

ここに1人の男(?)をかけて女の闘いが始まった!

モデルは精霊モードのKYU-chanです!


「これよ!このコーディネート完璧だわ!」

季節は夏

夏でも涼しいこのコーデ

麻のシャツにグレーのベスト

足元にとんがり革靴

頭にネクタイ巻いてるぞ♪

リリスはちょい悪おやじのように仕立て挙げた。


「これでもはやもう無敵じゃ!」

季節は夏

夏休みといえばこのコーデ

半袖&半ズボン

右手には虫取り網そして左手には虫かご

頭にちっちゃいミミズも乗ってるぞ♪

クロネは腕白少年のように仕立て挙げた。


さぁさぁ、気になるKYU-chanの判定は・・・?


残念!!両者の頭の部分が気にいらない様子だ!

KYU-chan、最後に2人に向けて何か一言をお願いできますか?


「僕は油揚げを着てみたいんだ」


おーっと!!これは意味深なコメントが出ました!!

両者共、次に活かせるか!?

シーユーネクストアゲイン・・・


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「う、うぅんっ・・・。あれ?なんだ、眠っていたのか。それにしてもなんか変な夢を見ていたな。おい、リリス」


身体をゆするとリリスも気が付いたようだ。


「うぅん・・・。ん、トオル?なんでここにいるの?あたし寝ちゃってた・・・?あれ!?そういえばキュウちゃんは?それにクロネもいなくなってるわ!あの子、さてはさっきの!催眠ガスを使ったのね!!」


慌てる様子のリリスを落ち着かせる。


「ん、あそこ」


指をさした木の下でエルフ族の幼女が狐の精霊を大事に抱えたまま寝息を立てていた。おそらく自分もガスを吸ってしまい逃げる途中で眠りに落ちてしまったのだろう。名乗りの際に大きな口を開けていたので自業自得である。


「キュウちゃんは返してもらうわよ!」


クロネの腕の中からキュウを取り上げると「あんたの命を捨てても絶対に守ってよ」と言って俺にキュウを託し、リリスはクロネをおんぶした。


「あれ、怒ってたんじゃないの?」


「このままほっとけないじゃない。それにキュウちゃんのことを好きな子に根っからの悪い子はいないわよ。さぁほら、神殿とギルドに行って報奨金をもらわないと。いつのまにか暗くなってきてるけど目的地に向かうわよ!」


”CLOSED”


すでに両方とも本日の閉館時間を過ぎていたようだった。


クロネは途中で目が覚めると、「さっきはごめんなさい。でも、また絶対キュウちゃんに会いに来るのじゃ~」と言って元気に帰っていった。


まぁ、今日はリリスの微デレも初めて見れたし、こんな日もありなのかもしれないな。


後書き


0からここまで読んで下さった読者様。こんな作者ですが、もし次話からも読みたいかも!と頭の片隅にでも引っかかりましたらブックマークだけでもして頂けたら嬉しいです。まだまだ続きますので、どうぞよろしくお願い致します!

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