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一緒に会話してくれた侍女が、マリアお嬢様はこちらにいらっしゃってくださいと城の中まで案内してくれた。


なぜか第2王子のキール様も後ろから着いてくる。


「おいっマリア嬢。」

「はい、お呼びでしょうか。キール様」

私は振り向いて一礼する。


「君は今日から僕の婚約者になる。」

「はい、承知しました。」


キール様は少し辛そうな顔をした。

「キール様?どうされましたか。」

「言っておきたいことがある!忘れるなよ!まだ仮の婚約者だ!結婚するまでに君が僕に惚れたら君の負けだからな!惚れた方の負けだからな!結婚するまでが勝負だからな!より深く惚れた方の負けだからな!」


私は訳が分からなかった。

とりあえず、こういうときは笑っておく。

「婚約者になるのですから、好きになる努力はこれからお互いにしていきましょう。よろしくお願いします。」

「うっ…今は…僕の負けだが、将来的には絶対惚れさせてみせるからな!僕が勝つ!」

「ええと、仰ってる意味がよく分かりませんけれども承知しました。」

「よしっ婚約内定書にサインしに行くぞ」


前を先導してくれた侍女が額をおさえている。

具合が悪くなってしまったのかしら。


「あの…侍女様、具合が悪いのかしら?大丈夫かしら?」

とおろおろしていると侍女は笑って言った。

「いいえ、具合は大丈夫です。ご心配ありがとうございます。」


キール様と婚約を結んでから生活は一変した。


マナーにダンスに、歴史の勉強。

お茶会の作法に各国の言語まで全ての勉強を城でキール様と一緒にやることになった。

朝ご飯を終えた頃に迎えが来て、昼、夕食までを城ですごして家に帰る。


休憩時間は二人で庭を駆け回って遊んだり陛下と王妃様を交えてゲームをしたりして楽しくすごした。

勉強が分からなくて悩んだときも、ノートを前にうんうん頭を悩ませながら一緒に解決した。

他国への出張も将来の嫁が一緒にいかなくてどうするのと何故か一緒に行った。

少し年齢が離れているが次代の王となる皇太子様と皇太子妃様も本当の兄弟のように可愛がってくれた。


家に帰るときは、ガゼポの出会いから仲良くしてくれている侍女のヴァネッサが城から派遣されて共に暮らしてくれることになった。

侍女のヴァネッサは優しく、本当の母親のように思えた。

行儀見習いの侍女なので私よりも高位貴族の娘だろうに、伯爵家でのお母様とお父様の不当な扱いにも文句をいわずに働いてくれた。


でも、婚約を破棄しようとするほど私は嫌われていた。


身の回りの様々な仕事を勤めてくれるハンス、侍女のヴァネッサ。

今までは私が正式な婚約者だから勤めてくれていたが、将来的に破棄されるのならば早めにハンスとヴァネッサが元の立場で城に戻って働けるように手配しなければいけない。


ヴァネッサとハンスは城から派遣されて働いているため、城と伯爵家の客間を自室として与えられている。明日の朝一番に二人に部屋に来てもらってその旨を…伝えなければ…。

色々と思い悩んでるうちに私は寝てしまった。


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