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ガゼポから王妃様達が去り、私は滅多に食べられない甘いものや紅茶を楽しんだ。
遠くでおほほほほと王妃様が楽しそうに第2王子に話しかけている声が聞こえた。
数刻たち、お茶を飲みながら私が城の行儀見習いの侍女の皆様と会話していたら、王妃様がお母様となぜかお父様を連れて戻ってきた。
「マリアちゃんお待たせ~」
「マリア、貴女大人しくできてたわよね。」
着いた途端にお母様が睨み付けるように言った。
一緒に会話してくれた侍女が前にすすみでて一礼して言った。
「失礼いたします。お嬢様におかれましては行儀作法もよく過ごされておりました。」
「あらそう、気を使ってくれてありがとう。なにせうちには出来の悪い一人娘しかいないもので心配でしたのよ」
お母様がそういうと侍女が少しムッとした顔をした。
「んまぁ~、マリア。貴女ってば太りやすいのに甘いものを食べたの?」
「申し訳ありません。お母様。」
「クッキーなんて太りやすいものを食べたならブクブクすぐ太るわ。貴女ってば当面野菜だけ食べてすごさせなきゃいけないわね」
「承知しました。お母様。」
「マリアちゃんには私がクッキーを振る舞ったのだけど、グレイス伯爵夫人は気に入らなかったかしらぁ」
「いいえ、王妃様が振る舞ってくださったものにどうして否やといえましょうか。ただ、この子は太りやすいので甘いものを食べたのなら制限をかけなくてはと思ったのですわ」
「ふぅん…でも私は成長のためにもっとお肉を食べさせてあげたいわぁ」
「お肉なんて、そんなそんな。この子には野菜を食べさせておけばいいのです。」
「あらそう、教育方針の違いねぇおほほほほ」
笑みを浮かべながら、私に関して王妃様とお母様が会話している。
お父様は私には見せないにこにことした笑みで、第2王子に話しかけている。
何を話しているのか分からないが、途中でお父様が私の方を指差してきたので会釈をした。
王妃様がお母様と会話するのをやめて第2王子を呼んだ。
そして私に話しかける。
「マリアちゃん、キールのことをどう思うかしら」
「第2王子様におかれましては「キールって名乗っただろ」
第2王子が不機嫌そうに言った。
「ええと」
「マリアちゃん、キールって呼んであげてくれるかしら?」
「キール…様?」
「そうだ、でもキールでいい。様はいらない」
「さすがにそれは…」
「そうよぉ、キールちゃん。あっ、キールだわね。二人のなかが深まってからキールって呼ばせた方が嬉しさもひときわよー」
「母上、そんなんじゃないです!」
「ええー、でもマリアちゃんのこと私は気に入っちゃった。だから、マリアちゃんにはキールの婚約者になってほしいの」
一瞬の間をおいてお母様が叫んだ。
「こんな不出来な娘を王家に嫁がせるわけにはいきませんっ」
「王妃殿下におかれましては冗談がお上手ですな」
お父様がハンカチで汗をふきながらいう。
「冗談じゃないわよぉ」
「はははっ、ご冗談を。この子には適当な婿をとらせて家を存続していかなければいけないのでね」
「うちのキールちゃんは優良物件よぉ!」
「まあ、確かにそうですが…すでに親戚筋から何人か見繕っておりますのでな」
「まああ、顔合わせまですませているのかしら?年齢は?」
「王家には関係がないでしょう」
「いいえ、うちには娘もいますし、気になりますわぁ」
「秘蔵の子ですので」
「あら変ねぇ、ならばなおさら知らなきゃだわぁだって、マリアちゃんの年齢に釣り合う子息は現状ほとんどいなくてよ」
「それは」
「一体誰に嫁がせようとしてるのかしら。正直に答えてくれるかしら」
お父様は少し悩まれたあと小さく回答しました。
「サンド伯爵が後妻にと…」
「あらあらあらー?親戚筋でもなければ家の存続にも関係ないわねぇ」
「それは…おいおい…どうにか」
だらだらとお父様が汗を流します。
「ねえ、伯爵。貴方が享受しているその立場はあくまでマリアちゃんのご両親が見つかるまでの仮の立場よ。正式に伯爵家を継ぐのはマリアちゃんなの。どうあがいてもそこは変わらないわよ。」
王妃様が言います。
「しかしもう3年も行方知れずだ。兄達は亡くなっているに違いない!」
お父様が言います。
「たとえそうであっても、貴方は正式なグレイス伯爵にはなれないわ。マリアちゃんがいるからその立場でいられることを理解なさい。それに何故彼らが行方不明だと嗅ぎとって屋敷で暮らしているのかしら」
「それはたまたま、たまたま兄達から留守を頼んだと手紙を受け取ったのですよ」
「ふぅん…まあ今は許してあげるわ、今はね。でもマリアちゃんはキールの婚約者に内定ね。陛下にも話しておくわねー」
それじゃ決定っというノリで王妃様が言った。
大人は大人の話があるから、マリアちゃんは内定書にサインだけしといてねと王妃様はお母様とお父様を引き連れてさっていった。