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マリアがスムーズな没落への計画書を作成している間、宰相達は王達が今いる執務室へ向かっていた。
結論に煮詰まったとき、考える頭は多い方がいい。
そう思ってドアを開けるとここにも、考えに煮詰まった二人がいた。
宰相が声をかけても苦悩の呻き声しか聞こえない。マリアのことで考え事をしている。
これは、だめかもしれない。
ララは瞬時に考えた。
「皆様、発言してもよろしいでしょうか。」
部屋にいた全員がララをみた。
王が口を開いた。
「発言を許す。」
「失礼します。まず、マリア様に関係することで皆様お悩みですね」
問いかけに部屋の全員が頷いた。
「情報を整理しましょう。何枚か紙をいただいてよろしいでしょうか。机とペンお借りします。」
ララは、全員にペンを配布した。
「現状整理です。お悩みのことを一つずつお書きください。あとでまとめますので未知の情報があってもまずはご意見をください。おわるまで何度か紙を変えて話し合います」
各方面から様々な問題点があがる。
1.キールのマリアに対する婚約破棄発言
2.マリアの自己評価の低さ
3.マリアのお茶会に関して
4.隣国でマリア様のレースが売られている件
5.マリア様のシランド国の翻訳本に関して
6.マリア嬢が生活費を払っている件
7.キールのこじらせ
8.マリア様の商品を適正価格で買いたい
9.お金の使い方に関して
10.マリアとキールの関係修復
11.結納に関して
「はい、ここで紙がうまったので一度目終了です。質疑応答に入ります。疑問がありましたら挙手指名制でお願いします。」
王妃が真っ先に挙手した。
「はい。ララに質問よぉ。この、隣国でマリアちゃんのレースが売られている件とマリアちゃんの商品に関して説明なさい。」
「マリア様ですが、ハラグロイの息のかかった商人にぼったくられて価値のあるものを安く買い叩かれてました。また、レースに関する証拠はこちらです。」
ララは隣国のレースとマリアのレースを比較として出した。王妃はそれに見覚えがあり眉をひそめた。
「この間仕入れた隣国の新作レースね。」
「こちらはそうです。そしてこちらがマリア様の商品です。片方は先程預かりました。」
「そう…そしたらマリアちゃんのレースが隣国で売られているってことかしら。」
「間違いありません。」
「マリアちゃんはこちらをいくらで売っていたと?」
「10枚で銀貨一枚とのことです。」
「安すぎるわっ」
王妃は悲鳴を上げた。最低でも金貨一枚の価値はある。
「はい。ララ。」
「なんでしょうか陛下。」
「そもそも何故、マリア嬢はレースを作って売る必要があった。」
「生活費を払おうとして商品を作っているとのことです」
「生活費…しかしハラグロイは逃げた、誰に支払うのだ」
「それにつきましては私から。」
宰相が声を上げた。
「偽造の書類にて、マリア嬢は城に食費と養育費を払っており、家には生活費を納めています。そしておそらくですが、マリア嬢は城から配布される伯爵家令嬢予算と外交賃金を一切受け取っておりません。ヴァネッサの話によると月に金貨2枚と銀貨1枚が配布され、あとは自身で稼いだお金で生活していたとのことです。なお、家に銀貨一枚、城に銀貨二枚。ドレスや装飾を買うのに積立で二月に一度の金貨二枚を納めていたとのこと。」
「額がおかしい!!!!!!!!!」
王は叫んだ。
「食費や生活費などもハラグロイの息がかかった商人に納めていたようです。また、商品のやりとりもハラグロイの息がかかったものがやりとりしております。」