17 準備
ハンスとララ、宰相が頭を悩ませている。
マリアは自己評価が低い。
どうすれば自身の価値を適切に見極められるのだろうか。
ララが言った。
「王妃様がマリア様のために茶会を開くと言っていました。いつになるかわかりませんが相談してみましょう」
「ああ、それはいい考えですね。レースも翻訳の件もありますし」
「陛下も王妃も今は執務室にいると思いますのでつかまえましょう」
一方その頃、王妃はマリアのために簡易的ではあるが茶会の計画をたてていた。
参加者は城で行儀見習いをしている高位貴族の侍女、王妃、皇太子妃で行うことにした。
そのため招待状や大がかりな準備などはいらない。
しかし、普段からマリアと城で顔をあわせているものばかりだ。
侍女として働いているからお金があるとマリアに思わせてはいけない。
王妃は悩んでいた。
「難しい問題だわ…マリアちゃんは家の問題…キールのこともあるし…お金に関しても…」
王妃の隣にいる王も考えていた。
「キールなぁ…」
キールもマリアも今、思春期にはいろうとしている。
二人が学園にはいる前にはこじれた関係をもとに戻さなければならない。
マリアの歪んだ認識も、二人の関係も今のうちに何とかしなければ壊れて二度ともとには戻らないだろう。
そしてキールはマリアに幼い頃から執着しておりマリアではないといけないが、マリアはキールではなくともきっとやっていける。
キールはマリアに対して間違っても婚約破棄などいってはいけなかったのだ。
プロポーズするつもりであったとしても二人の関係が未成年であるうちは薄氷の上の約束なのだ。
王と王妃はキールがもともとのひねくれた性格と、思春期特有のわずらいであったと分かっている。
キールは自身の軽はずみな発言と行動が今回の騒動に繋がったため今は部屋で反省しながら己を見つめ直している。
「なにか…お互いにとって特効薬となりそうな出来事が必要だわ…」