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11 王としては。

王は考えていた。

ヴァネッサとハンスが報告した事項と、握りつぶされた救助要請。

その内容を読めば、隣国の貴族とハラグロイ・エミリーが何を考えていたのか大体理解できた。


ハラグロイとエミリーが繋がっていた隣国の貴族、アクドーイは辺境伯であることを逆手にとり火薬や弾薬に銃、大砲などを買い漁っていた。

周辺諸国とは和平を結んでおり、特に隣国に関しては姫が我が国の現在の皇太子妃のため戦争などおこりそうもない中の異質な動き。

ならば隣国の海向かいの国がきな臭いに違いないと調査を、外交官を勤めているマリアの両親、ポール・グレイスとアーネ・グレイスに依頼した。

最初に特に問題なしと記載された報告書が届いた。

しかし、まだアクドーイ辺境伯が武器収集をおこなっている。隣国を通してアクドーイ辺境伯に何かあったのかと尋ねるとやはり海向かいの国がきな臭いためと回答があったという。

念のため、再調査をするつもりだといつもと違う紙で返事が来た。それとともに思ったよりも調査が長引いたため男爵家の叔父と叔母に娘を任せたいという連絡が来た。

男爵家からも同様の申し出があり、領地経営に関しては執事頭が行うが伯爵代理として男爵が執り行うこととなった。

その段階でグレイス伯爵家の調査員達が隣国のアクドーイ辺境伯にとらえられているのは間違いがない。

一人だけ男爵家の息がかかったものが紛れ込んでいたのか途中で買収されたのか。報告してくる男はいつも同じ顔だった。


王達は早急に隣国の貴族の謀反により我が国の貴族、マリアの両親のグレイス伯爵達が捕らえられていると手紙を出した。


隣国の王が現在戦争を望んでいないのは、普段の様子から把握している。

隣国の王の姫が皇太子妃として嫁いでいることもだが我が国と手を組んで新事業にかなりの投資をしているためそれを潰すようなことはしないという確信がある。


また、我が国の皇太子妃となった隣国の姫、ロザリーはマリアを猫可愛がりしており、まだキールにマリアが嫁ぐ前なのだがマリアを妹ととして扱い、外交時に隣国へ連れまわして隣国の国王ならびに貴族へ紹介してまわっていた。

余談だが、貴族の子供が城に来るのは珍しい。貴族教育は家庭で行うからだ。

ある程度成長して、学園に通い家を継ぐか就職する。

家以外で滅多にみない小さい子供が城に居る。姫が妹として扱うならば隣国にとっても身内同然だとマリアはにこにこ顔で受け入れられていた。


隣国の国王には、隣国の海向かいの国の様子伺いの結果としてマリアの両親が行方不明となった経緯を知っている。

そのためマリアの事に関しては責任を感じているのか、娘が猫可愛がりしているからか定期的に様子を気にしてくれているようだ。

あと、マリアが幼い頃から色々可愛がっているのも知っている。王様、バタークッキーがとっておきのおやつなのよって教えてもらって城に揃えすぎたのも、娘の妹は王の娘と言い張ってるのも知ってる。

わかる、小さい子が一生懸命責務を果たそうとしてる姿可愛い。言葉の違いを一生懸命覚えて話してるの可愛いよね。わかる。今周辺諸国の王家で小さい子供はキールくらいしかいないからその嫁予定のマリアがめちゃくちゃかわいく見えるよね。

でもキールの嫁になるのであげませんと皆で集まったときに王家の面々できゃっきゃするもんね。

王家としてはマリアは、第2王子の嫁としても、周辺諸国の可愛い外交上の駒としても役立っている。

マリアは気づいていないが顔が広いのだ。

伯爵家にキールが婿に入っても引き続き外交官として働いてもらう予定だ。


だから、隣国としても青天の霹靂だと考えられる。

辺境伯は武器を集めてどこかに戦争をしかけるつもりだろう。ハラグロイとエミリーがアクドーイに報告をすれば下手をすれば伯爵家の土地から我が国に攻め入る可能性もある。


王は表向きは訓練という建前でグレイス伯爵の領地に軍を派遣することにした。


ヴァネッサとハンスから信頼できるグレイス伯爵家の執事に領地への連絡を依頼してある。

屋敷内のハラグロイとエミリーの味方は捕らえ、屋敷には暴漢が侵入したと噂を流した。ハラグロイとエミリーは今、王家の影をつけて逃げさせたまま様子を見させている。

幸いにも裏から逃げたハラグロイとエミリーは馬車を見ることなく逃げたようだ。男爵家の屋敷に一時避難したそうで、あらかた落ち着いたら隠し扉の金銭を取りに戻る予定らしい。その後、伯爵家の屋敷には調査が入ると困るため、少し経ったあと火を放つ計画があると王は影から報告を受けた。

腹心の部下たちはもったいないけど処分、生き延びればまた拾うがマリアに関しては屋敷に火をつけたときに共に死ぬだろう。婚約破棄されて価値のなくなった娘を殺す手間が省けたと話していた。


そんな報告を受けては、何があるかわからない。マリアと、マリアの両親の安全のために内密に動く必要があった。


伯爵家以外の隣国付近の貴族には、隣国の国王が訪問すると手紙があったため警護の強化を頼むと警備費を渡した。

国王がどこを通るか分からないが、うちの領地に警備費がでるのに伯爵家には軍が派遣されるということは隣国の国王がそこを通るのだと誤認させる狙いもある。


キールの安易な婚約破棄発言から予想外に展開が転がったものだ。

マリアは現在、考えなしのキールのせいで怪我を負い、寝込んでいると聞く。

マリアの人生は国により狂った。マリアの両親に関してもだ。大変申し訳なく思う。

しかし現時点でマリアは国として外交面でも領地経営に関しても有益な人物。また、キールの嫁となる。

本人が嫌がろうと、未成年であろうとこの未来は変わらないのだ。


国としてはこの件に関して金を惜しまぬ。

無事に解決した時には、王としても人としても詫びようと心に決めた。

作者にも展開は分からないけど、ウルトラハッピーエンドは目指してるので今のところ死人はいない予定

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