第2話 ファーストコンタクト
振り返るとそこには中学生程に見える少女が立っていた。
さっきの蛙という発言から先程、海岸でさっき会った人間は彼女という事を悟った
「何の用だよ!?ここはお前みたいな不思議生物が来る所じゃないぞ!!」
警戒態勢で話す彼女に返す言葉が上手く出てこない。
比喩表現では無く物理的に口から言葉を発する事が出来ないのだ。
「おい!どした!?」
彼女の声が響く中、僕の世界が白く裏返った。
………………………
「あ、起きた」
誰かの声で目を開けるとそこは
ピンクの壁紙と大きなぬいぐるみが良く映える女の子の部屋だった。
柔らかい布の感触と優しい木の香りがするベッドの上
どうやら僕はまた気を失い彼女から介抱を受けた様で転倒でもしたのか
胸には丁寧に絆創膏が貼ってあった。
「勘違いすんなよ!いくらお前が怪しい不思議生物でも目の前で倒れたもんを
そのまま放置出来るほどアタシは人手無しじゃねぇんだ」
頭を上げるとそこには彼女の姿があった。
「あ、ありがとう」
申し訳無さそうに頭を搔く僕に
彼女はやれやれと、言わんばかりの表情を浮かべた。
「ナカ~!入るぞ~!」
扉の向こうから凛々しい女性の声が響いた。
「ん?ショウコさんどした?」
「どうしたって…お前が変なもん拾ったとか言うから」
ショウコさんと呼ばれたその人は白い軍服に身を包み威風堂々を全身で体現した様な女性だった。
しかも腰に差している日本刀からは上手く言葉に出来ないが異様な匂いを感じ思わず僕は息を飲んだ。
「あ、どうも…こんにちは」
申し訳無さそうに挨拶するとショウコさんは僕を見て顔を真っ青にした。
「蛙が喋ってる…」
やはり喋る蛙はこの辺りでは珍しいのだろうか…
その後、静かに僕は海岸線を眺めていた。
ずっとこの場所にいる訳にもいかない
これからの事を考えるとじっとしていられなかったのだ。
「もう動いて大丈夫なんか?」
ナカさんが横にちょこんと座った。
彼女の名前がナカさんという事は先程の会話から把握した。
「これからお前どうすんだ?」
「それは…」
ここがどこで自分が何者なのかも分からない。
現在分かっている情報は自分がフロッピーという名前の蛙という事だけである。
今まさに頭の中を巡っている問題をナカさんは直球でぶつけて来た。
気付いたら浜辺で倒れていた。
まずはそれから彼女に話そうかと思った次の瞬間、僕とナカさんの頭上を何かが凄いスピードで過ぎ去った。
この時は僕がここの提督になるだなんて
思ってもいませんでした(笑)