第1話 始まりの記憶
いつまでも尽きる事無く打ち寄せる波、永遠の闇の中にいたような
そんな感覚から僕は目を覚ました。
「なんだこりゃ?」
目が霞んでよく見えないが人間の女の子らしき物が僕を見下ろし呟いた。
「蛙かな?プニプニしてる」
好奇心の塊なのだろうか?無邪気そうな笑顔を浮かべて女の子は僕をつついた
「えっと…あの…」
目を覚ました直後に知らない女の子に全身をつつかれるという状況に流石に耐えかねた僕は声を絞った。
「蛙が喋りやがった!?」
ここら一帯では蛙が喋るのは珍しいのだろうか?
女の子は僕を放り投げると走り去ってしまった。
「………」
再び砂浜に倒れこんだ僕は状況と記憶を整理した。
自分の身に何が起きたのかをまず考える。
【フロッピー】嵐の中で誰かが僕の
名前を呼んでいた、そんな曖昧な記憶だけが残っている。
しかし、それ以上に何かを思い出そうとすると頭にモヤがかかったような
不快な気分に襲われ僕は考えるのを辞めた。
だんだんと視界も戻ってきた頃
辺りを見回すと少し遠くにレンガ造りの立派な建物があった。
とりあえず僕はそこを訪ねてみる事にした。
「これどうしよ…」
石で出来た頑丈な扉の前に立ったは良いが蛙の身長ではインターホンには届かなかった
「げっ!さっきの変なカエル!!」
諦めて去ろうと背を向けた時、門が勢いよく開いた
これが僕とナカちゃんとのファーストコンタクトです。
思い返せばもう何年も前になります。