「ざまあ」を書こうとすると立ち塞がる、常識の壁
陰に日向に活動するなろう小説家なるもので御座います。
この度のテーマは、題名の通りに最近の「ざまあ」物を中々上手く書けない事に対する、筆者自身の問題への愚痴です。
そもそもの始まりとして、筆者も「ざまあ」物を書こうと思いました。
せっかく書くのだから、やっぱり人に見て評価されて貰いたいものです。
なので、流行に一丁乗ってみようかという、安易な思い付きです。
実に愚かしい。
舞台はナーロッパで、最初に主人公が属している場所は新進気鋭の有望パーティ? それとも勇者パーティか?
主人公は、ろくに使えない能力を持っている、もしくは能力なし(後に覚醒パターン)。それとも、実力隠している系か? やっているけど評価されていない系もあるな。
そんで、紆余曲折の果てに追放される。
うむ、ここまでが定番ですな。もはや黄金の殺陣と言っても良いでしょう。
さぁ、書いてみよう!
…………。
か、書けねぇ。
そもそも、こんな常識と知能のある連中なら、こんな状況にはならんとですよ。
まず、無能なのに有望パーティに属している、という点で矛盾している。
いや、最初は幼馴染とかで組んでいた、という場合もあるのでしょうけど、本当に無能なら成り上がっていっている最中に脱落してるでしょ、と。
救世の勇者パーティなら、どうして無能なんて入れてんだよ。
最初の選定時点で弾けよ。
遊びじゃねぇんだぞ。
それをなんとかスルーしても、追放されるのは当たり前じゃん。
だって、無能なんだもん。
何もしてないんだもん。
給料泥棒じゃん。
クビに決まってる。
それを、恨む? 憎む?
馬鹿じゃないの?
逆恨みじゃん。ふざけんな。
野営中の雑事とかで縁の下の力持ちをしていた、っていう事もありますけども。
それなら、家事の出来た上で多少の戦闘能力、自衛できるくらいの奴を連れてきた方が、よっぽどお得でしょ。
何度でも言うけど、命賭けた探検とかの最中やぞ? ごっこ遊びやないんやぞ?
戦いすら出来ん足手まといを連れていく訳ないやん。
そんなに家事だの交渉だの、縁の下の力持ち的立場で実力あるなら、安全な街の中でギルド職員にでもなってれば?
そっちの方が絶対に成功すると思うで?
よって、クビは順当。
後から能力覚醒しましたって言われても、その時点じゃ無能なんだし。
本気出せば覚醒するなら、もっと早く本気出せよ、としか言えねぇよ。
覚醒するまで待てって、俺たちは充分に待ってたで?
何年もさ。お前がパーティに執着を持つくらいの時間をさ。
お荷物抱えて、金と労力と時間をかけて、ずっと。
もう待てないから追放したんや。
はい、次。
本当の実力隠してました系。
アホなんか?
またまた言うけど、命がけの冒険の最中やで?
勿論、スキル情報だのは生命線だから、っていう事もあるだろう。
でも、切り札を一枚二枚隠しているって感じやないやん。
大抵、手抜きしてんじゃん。
それ、パーティメンバーも気付いてたんとちゃう?
こっちは必死こいて色々としよる中で、ポケーっとしとるアホがいます。
働け!
これ以外にないやろ。
しかも、冒険の最中。
安心して背中を任せられんやろ。
信頼とか出来んやろ。
お前、仲間の背中に攻撃が行っている時にも、真の実力を隠す為に、とか言って働かんかもしれんのやし。
本当の所は分からんけど、仲間からはそう見えてるやろ。
クビにするのも当たり前やん。
恨んでんじゃねぇよ。身から出た錆じゃ。
見る目がない? 見る目があったからこそのクビですけど?
はい、次。
やる事やっているけど、全く評価されない系。
これは、追放する側もされる側も、両方ともアホなんやろうなって。
まず、する側。
こいつらは、人の話を聞かないアホたれで、何の試験もしない馬鹿たれ。
大抵において、主人公は追放された後に、大した不遇期間もなく、新しい環境に身を置いて成功します。
つまり、周りからはちゃんと評価されていたという事だ。
ならば、その周りから、あいつは凄いから手放すなよ、的なアドバイスがあるに違いない。
それが未来の無いクソパーティならともかく、将来性を期待されている有望パーティなら、猶の事である。
同業者は引き抜きたい一心で適当な事を言ったりするかもしれませんが、ギルドとか、管理者側としては有能な人材はいればいるほどに良いのですから、わざわざ解散させるような事はしないでしょう。
まぁ、良かれと思ってした行為が裏目る作品とかもありますけども。大概、NTR系。
そんな忠告を聞かないアホと結論が出ましたね。
で、無用だと思うのは良いんだけど、残ったメンバーで十全に冒険できるのかを試験していない、こいつら。
追放に関しては口裏を合わせたりメンバーで連携しているくせに、その後に関しては全く用意していないのです。
馬鹿なんちゃう?
命賭けてアホをするとか、歴史に残る馬鹿だろ。
そんで、される側。
コミュ障か? プレゼン下手か?
自分のしている事の重要性を、仲間たちに理解してもらおう、という意思が感じられない。
何も言わなくても理解してくれるよね? って無茶言うなよ。
こっちは超能力者じゃないねん。
言われないと分からへんねん。
まぁ、それは良い。良くないけど、良しとしよう。
そんな主人公は、未練なく新しい場所に行って、成功を収める訳です。
なぁ、そんなに未練ないのに、何でそのパーティに留まってたん?
クビになる前に、自分から辞めれば良かったんちゃう?
何でなん?
あれか? 流れに身を任せる的な?
じゃあ、また流されて元鞘に戻ったら?
何で今度は「もう遅い!」とか自己主張してんの?
以上の事から、評価されない系は、両方が馬鹿じゃないと成立しない。
と、まぁ、そんな感じで。
いざ、テンプレートな「ざまあ」物を書こうとすると、登場人物が悉くアホにならなければならない、という事象が生じてしまうのです。
少なくとも、筆者はそんな事を考えてしまって、筆が止まってしまいました。
「ざまあ」とか、誰でも書けると思うかもしれんけど、テンプレートもあるしな。
でも、いざ書こうと思うと、案外と難しいと思わされる経験でした。
馬鹿になるって難しい。