第三十話 ペルシャ湾にて
本日より連載再開!
とはいっても書くのに一苦労しました……
昨日より別の連載物を始めましたがこちらを優先し今までと同じくらいのペースでの更新を目指します。
また、ジャンルをその他へ変更、一部の話を修正しました。
キティホークが支援のためペルシャ湾を目指しグアムを出港して約10日がたったころ雲ひとつ無い晴天の中キティは艦橋内から周りを見渡していた。
なぜキティが普段いる艦橋の上ではなく中に居るのかというと数日前から陸地の砂塵が吹き付けるようになってきたためだった。
すでにキティホークの排気口や通気口と言ったところには防砂ネットがはられている。
艦魂であるキティとしても砂塵がかかるのは嫌なのでこうして艦橋内へと避難しているのだが艦橋員の邪魔にならないように隅によらなければならないのが少し面倒だと思っているのが本音である。
そのことを考えながら軽くため息をつくも気持ちを切り替え再び周りを見渡す。
現在キティホークが航行しているのはペルシャ湾への入り口、ホルムズ海峡である。
ホルムズ海峡はかつてイラン・イラク戦争の折、イラクがタンカーの無差別攻撃を行った場所でもありキティホークの前方を守る形でカーティス・ウィルバーが後方にはチャンセラーズ・ヴィルが展開しており艦隊の上空にはE-2C『ホークアイ』が警戒を行っていた。
今回のキティホークらに課せられて任務は現在イラクの飛行禁止区域の監視を行っているエンタープライズの交代要員であるセオドア・ルーズベルトが到着するまでの穴埋めである。
穴埋めとはいえ内容は普通の任務と何ら変わりない以上気を引き締める必要があるのだがキティはどこか頬を緩ませてしまう。
「エンター元気にしているかしら」
そう呟くキティの顔は司令の顔ではなく姉の顔でとてもうれしそうだった。
それもそのはず今日の午後には任務交代でエンターと会うことになっている。キティが横須賀に配備いされてから義理とはいえ初めて会う妹なのだ。
しかし、そこまで考えてキティは表情を曇らせる。
「(サラ姉さんのことで落ち込んでないといいんだけど……)」
キティが思案していると後ろからそっと声をかけられた。
「司令、来ました……」
その声はカーティスでもヴィルでもなかったがキティは動じることなく振り返らずにうなずき答えた。
「ありがとう。カーティスには連絡した?」
「はい……」
キティの問いに声の主は先ほどよりも小さな声で答えた。
そのような性格であると知っているキティでもその小さな返答に思わずクスリと頬を緩ませる。
「今後も頼むわね」
声の主は何も言わなかったが会釈する気配がしたのちそのまま気配を消した。
その様子を背に感じ舌を巻きながらキティは自室へと転移を始める。
「早めに用意しておかないとエンターのおやつをもらうことになるわね」
そう呟くとキティは光の残滓を残し艦橋から姿を消した。
そしてその呟きの中にはどこかあきれた、どこか嬉しそうな不思議な感情が込められていた。
その日の午後、キティの部屋に待ちに待った来客が訪れる……はずだった。
「遅いわねエンター」
落ち着かない様子で自分の机の上の時計に目をやるキティ。
予定ではすでについているはずのエンターがいまだに来ていないのだ。
「バリー姉さんに限ってここまで遅くなるはずはないのですが……」
隣に居るカーティスがそう言うがカーティス自身もまたどこか落ち着いていなかった。
エンターの側近でカーティスの姉である『バリー』は現在いるアーレイバーク姉妹の中では最もできる存在らしくどこか抜けているエンターをうまく支えているとのことだが其のバリーからも全く連絡がないのだ。
なにかあったのではないかと二人が思案しているとキティが何か感じたのか顔を上げた。
「司令?」
その様子に何かを感じたカーティスが声をかけるとキティは顔を緩ませた。
「大丈夫……来たわ」
キティがそう言うのと同時に部屋のドアをノックする音が響いた。
カーティスはすぐにドアによると静かにドアを開けた。
その瞬間キティは先ほどまでの安堵の表情が消えアメリカ海軍最古参の司令の顔になった。
開けたドアの先には不思議と様々な色を見せる髪を持つエンターと眼鏡をかけわきに書類を抱えた艦魂…エンターの側近であるバリーが立っていた。
二人は部屋に入るとキティに敬礼しキティもまた席を立ちそれに答える形をとった。
その中、最初に口を開いたのはエンターだった。
「タンデムスラストより急の要請にお越しいただきありがとうございますキティホーク司令」
「そんなことはありませんよ、エンタープライズ司令」
義姉妹同士での恭しい会話……それは義姉妹としての会話ではなくアメリカ海軍、空母打撃群の艦魂をまとめる司令同士としての会話であった。
そして会話をする二人の間にバリーが入る。
「これよりそちら側の今後の予定をお話しますがよろしいでしょうか?」
キティはうなずくと二人に席を進め自分もまた反対側へと座りカーティスが飲み物を出した。
「まず今後のよていですがキティホーク司令にはルーズベルト司令がこられるまでの間の飛行禁止区域の監視をしてもらいます。それから我々は……」
その後、約2時間にわたり今後の双方の予定を確認や現状の確認等を行った。
キティはその間、話を聞きながらエンターの様子を見ていた。
そのうえでキティは話が終わった後バリーに話しかけた。
「エンタープライズ司令と個人的な話がしたいのでしばらくの間、抜けてもらえませんか?」
キティの提案にバリーは難色の色を示した。
なにしろこれからエンターには引き継ぎの書類や今回の任務内容などをまとめてもらわないといけないのだ。
いくら相手がキティと言えど正直言ってそのような時間はないと言いたげだった。
しかし、相手は仮にも自分たちの上官で現在現役の艦の中では事実上の最古参の相手であるため表だっての拒否はしないがそれとなく意思を現す。
「しかし、キティホーク司令もお忙しいのでは?」
「確かにそうだけどここでこうする時間も勿体ないわ」
確かにキティにも仕事はたくさんあるのでキティはバリーのそれに同意する。
「では……」
「だからほんの少しだけいいかしら?」
眼鏡の淵を指で上げ当然のごとくバリーは別れの挨拶を言おうとしたがキティのはにこやかにそれを阻止した。
バリーの眉間に皺が寄るがキティはそのまま話を続ける。
「大丈夫10分くらいで終わるから」
キティはそう言うとカーティスに目配せをする。
一方、カーティスは少々、戸惑いながらもバリーを連れ部屋を出ようとするがバリーは拒みカーティスだけに聞こえるような声を出す。
「カーティス……どけ」
カーティスに発せられたのは姉としての言葉だった。
声こそ抑えられているもののその言葉には凄味があったがカーティスは平然と返す。
「嫌です」
「司令には今日中にやってもらわないことがいくつあるんだと思っているんだ!第一こっちの司令はお前のところと違ってだな……」
延々と抗議してくるバリーの話をうまく流しながらカーティスはバリーを連れ部屋を出た。
二人が部屋を出た瞬間、部屋の中の空気が変わりキティは顔を緩めエンターのほうへ顔をむける。
「久しぶりエンt……」
「キティお姉さま~!」
キティが振り返った瞬間、エンターはキティに抱きついてきたがそれを拒むことまなくキティは静かにエンターの頭をなでる。
エンターは糸が切れたかの様にキティにすがりついて泣き始めた。
「サラお姉さまが、サラお姉様が……」
「…エンター……」
泣きじゃくるエンターを見ながらキティは思った。
今、ここで泣いているエンターが本当の私の気持ち……でもここで私が一緒に泣くわけにはいかない。
私は彼女の姉なのだから……
ここで私も泣いてしまったら余計エンターを悲しませてしまう。
だから泣くわけにはいけない。
その思いを胸に抱きながらキティはそっとエンターの頭をなで続けた。
それからしばらくエンターは泣き続け気がついたら眠ってしまっていた。
キティは寝顔を見ながらどうしようかと思案しているとドアをノックする音が聞こえ少し疲れた様子のカーティスと紙袋を持ち、頬が若干赤くなったバリーが入ってきた。
一体二人の間で何があったのだろうか?
「やはり泣き疲れて寝てしまいましたか……」
そう言ってバリーは深くため息をついた。
おそらくこうなることが分かってたからこそバリーは反対していたのだろう、何せエンターは泣き疲れて寝てしまうと何があろうと次の日の朝まで寝てしまうのだ。
「ごめんなさいね、バリー」
謝罪するキティにバリーは眼鏡の淵を上げ首を振りエンターを見る。
「こうなることは大方予測してましたからね、実は仕事はすでにほぼ終わっています」
それでもまだたくさんあるのですがとバリーは苦笑いをすると持っていた紙袋から綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
「それは?」
キティが聞くとバリーはエンターに一度、目を向けキティに差し出した。
その箱は紺色の包装紙で包まれ星の模様の入ったリボンできれいにラッピングされていた。
「キティホーク司令へファースト・ネイビージャックになったお祝いのプレゼントだそうです」
キティは箱を受け取ると表にカードがあるのに気づいた。
バリーに今、開けていいか聞くと首を振った。
「それはお一人の時に開けてほしいとのことです」
「そう……」
「ではこれで私たちは失礼します」
バリーはエンターを起こさないようにそっとその身を寄せた。
エンターは少し不安そうな顔をするがすぐにその表情は消えバリーは深々と一礼するとそのまま光の残滓を残しエンターを連れ転移していった。
しばらくその残滓を名残惜しそうにキティは見ていたが深呼吸するとゆっくり立ち上がった。
「カーティス悪いけど……」
キティがカーティスに席をはずすように言おうとカーティスがいた位置を見るがいつのまにかいなくなっていた。
思ったよりも早かったカーティスの行動にキティはビックリしたがフッと口元を緩ませた。
「ありがとう」
キティはそう呟くとエンターからのプレゼントを手に自分の机へと足を運んで行った。
第十七回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局~略して魂テレ
キティ「約二ヵ月ぶりの魂テレ。主人公にして当番組司会を務めますキティホークです」
カーティス「キティ司令につかえているカーティス・ウィルバーです」
作者「そして当作品の作者の三ノ城でs…ハギャッ!!」
キティ「早速ですが今回の休載中にちゃんとこの作品の根本がまとまったかお聞きしたいのですがよろしいでしょうか?」
作者「いきなり吹っ飛ばしておいて言う言葉がそれか!?」
キティ「私じゃないですよ」
作者「え?」
カーティス「もう少し強めでやっておいたほうがよかったですか?」
作者「……。(そっか最近全然出番ないからな……)」
キティ「作者さん質問のほうは?」
作者「え?あ、問題のほうは無事に解決できました」
キティ「ということはこれで無事に連載が再開されるわけですね!」
カーティス「というわけにもいかないのでは?」
作者「ギクッ!!」
キティ「どういうことカーティス?」
カーティス「昨日から別連載を始めましたよね作者さん?」
作者「ギククッ!!」
キティ「こっちを差し置いて別物優先ですか!!」
作者「いや違うんだ!キティは偶数日に更新するからたまには奇数日がいいな~と思って……それにこっちが優先って書いてあるし!」
キティ「……本当ですか?」
作者「い、一応今までと同じペースでの更新を……でももしかしたら向こうが落ち着くまでしばらくは……」
キティ「……トム~、ホーネットおいで~」
作者「猫とスズメバチはやめてくれ~!」
カーティス「では銛と斧で」
作者「そっちもいやだ!」
キティ&カーティス「「では両方で!!」」
作者「なんでそうなr……ぎゃああああああああああああああああ!!」
キティ「とうわけで更新の再開はされましたがまだ今まで通りというわけにはいきません」
カーティス「読者のみなさんには申し訳ありませんが落ち着くまでしばしお待ちください」
キティ「では今回はこの辺で!」
カーティス「司会は私カーティスウィルバーと」
キティ「キティホークでした」
キティ&カーティス「「感想・評価お待ちしております」」