表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/41

第二十八話 米豪合同演習タンデムスラスト’99(中編)

注意及びお詫び

この話は前回投降した話を分けたものです。

若干、書き直していますがほぼ全く同じなので注意してください。

現在、次話の詰めに入っていり8日の投稿を目指しています。

更新を楽しみにしていた読者の皆様には申し訳ありませんがもうしばらくお待ちください。


キティから艦載機が発艦されていた頃パーシー達は周囲に警戒しながら北に向け航行していた。

その内容はヴィンセンスを中央に据え左右前方にフリゲートのシドニーとダーウィン、後方も同様にパースとホーバートがついていた。


「ヴィスさんあなたがこの艦隊の頼みの綱だからな。艦隊防空を頼む」


パーシーの問いにヴィスは軽く笑いながら答えた。


『ハッ!任せな、対空ミサイルを撃ち尽くすまで守ってやるよ』


「心強い言葉、感謝する」


パーシーはそこで一旦ヴィスとの交信を切りおそらくキティがいるであろう方向を見ながらパーシーはつぶやいた。


「これが終わったら伝えないとな……」


昨日はいろいろあったため伝えることができなかった今度こそあのことを伝えないといけない。






パーシーがそう考えているころヴィスは前部甲板ですでにスタンダードミサイル、SM-2(射程約70キロ)が装填されたミサイルランチャーを見上げていた。


「撃ち尽くすまでか……」


そう言ってヴィスは見上げていたランチャーに触れた。

Mk.26 mod5ミサイルランチャー

それはヴィスにとって防空のための最強の槍であると同時にヴィスの欠点でもあった。

ヴィスの本体であるヴィンセンスはタイコンデロガ級の中でも初期に建造され就役当時はそのイージスシステムにより同時多目標を探知・追尾が可能であることで脚光を浴びたが1番艦のタイコンデロガから5番艦であるトーマス・S・ゲイツまでの初期のタイコンデロガ級には欠点があった。

それはイージスシステムにより同時多目標を探知・追尾することができるようになったがそれに対処するはずのMk.26はミサイルの発射後再装填しなければならず探知しておきながらも飛来する目標に完全に対処しきれなかったのだ。

その後6番艦の『バンカーヒル』以降はミサイルの保管容器と発射装置を兼ね備えたMk.41 VLSを装備することでその欠点を解消したがヴィスを含めた初期の建造された5隻は改装されず現在にいたっている。


「実際に即応できるのは四つの目標だけだが出来ることをやらないとな……」


その即応性の悪さもまたあの事件へとつながったのかもしれないそうヴィスが考えていると首筋が冷えた。


「!」


ヴィスは顔を上げると咄嗟に艦橋の上へと跳び上がり周囲をレーダーの電子の目ではるか遠くをとおした。


「来やがったな」


ヴィスは目を閉じ大きく息を吐いた。

手元に妹のヴィルと同じ形だが折れたのを修理した跡がある槍を顕現させパーシーを含む全艦へと通信をつなぐと同時に大きく目を開いた。それは100の目標を探知し10の目標を追尾が可能と呼ばれるイージスの力を解放した瞬間でもあった。


『敵さん来たよ!北東から距離6万!数2!畜生低空できやがった』


ヴィスの言葉を受けパーシーもひと振りのサーベルを顕現させ防空戦闘に入る。

パーシーことパース級が就役したのは1965年で74年に近代化改装を行ったが防空火器はスタンダードミサイルのSM-1(射程約40キロ)を発射するMk.13と主砲のMk.42 54口径5インチしかなかったがパーシーは臆することなく指示を飛ばした。


「全艦、艦隊防空戦闘!」


パーシーの掛け声とともにヴィンセンスの前部甲板に据え付けられたMk.26から各々の目標を目指してSM-2が放たれた。

そしてパーシーが見守る中ヴィスからの通信が入る。


『北からさらに2機!くそっ!再装填が間に合わない!』


後部のランチャーにはすでに装填されているが射角からずれているため対応できず再装填も間に合わないまさに初期型のタイコンデロガ級の弱点を突いた攻撃だった。

さらにヴィスからの報告が響く。


『先の敵機より小型目標が分離!おそらくハープーン、数は……くそっ、見失った!』


「各艦対空警戒を強化。いきなり来るよ」


毒づくヴィスに対しパーシーは冷静に周囲へと指示をだした。

そしてその頃には最初にヴィンセンスの放ったスタンダードミサイルが2機の敵機に食らいついた。


『2機の撃墜を確認!』


パーシーは思わずホッとしたとき前衛であるフリゲート、シドニーとダーウィンがSM-1を放った。

顔を上げるとヴィスから連絡が入る。


『ちっ!ハープーン再探知!数4!距離2万8000!目標パース及びホーバード!』


「しまった!」


その報告と同時にパーシーのレーダーも己に迫りくるハープーンをとらえた。

相手がわざわざここまで接近してきたのは射程距離が短くなるが探知されにくくなるシースキミングによる攻撃が目的だとわかっていたがまさか目標がこの艦隊でもっとも旧式である自分たち姉妹だとは予想外だった。

着弾まであと10数秒ほどしかない。


「だけど!」


シドニーとダーウィンが放ったSM-1は1発のハープーンをしかたたき落とせず残った3発が健在でありパーシーはハープーンをレーダーを通してとらえ同時に前部甲板のMk.13ミサイルランチャーからSM-1が1発放たれた。

パーシーはイルミネーターへと意識を集中させる。

ヴィンセンスを含む前衛の三隻は主砲とCIWS(近接防御火器)を用いて弾幕を展開する。


「そこだっ!」


パーシーがサーベルを振るのと同時にレーダーに映し出されたハープーンが1発消滅したが距離2万を切りあとは自力で対応するしかなかった。

この時点で残っていたハープーンは2発でパースとホーバートに1発ずつ迫っていった。

着弾まで約8秒というタイミングで主砲のMk.42 54口径5インチ砲が1.5秒というペースで砲声を上げる。

Mk.42 54口径5インチ砲はパーシーと同世代の西側諸国の艦艇でよくつかわれており日本でもしらね型やたちかぜ型の主砲として利用されている。

そしてCIWSを持たないパーシーにとってはまさに最後の砦だった。


「ちっ!」


迫りくるハープーンに対しパーシーは腕を振ったと同時にチャフが発射された。

週末誘導がアクティブ方式(アクティブレーダーホーミング:自身が発したレーダーで目標を追尾する方式)であるハープーンに有効なソフトキルであるがハープーンはいまだに迫りくる。

着弾まであと5秒、4秒、3秒……


「このおおおおおおおおおお!!!」


パーシーは掛け声とともにサーベルを薙ぎ払った。

その瞬間,目標はレーダーから消滅した。

着弾まであと約2秒、距離にすれば約5600の位置での迎撃であった。

パーシーは撃墜できたことにホッとし大きく息を吐いたがすぐに自分とともに狙われていた妹、ホーバートの安否が気になった。


「ホーの被害状況は?」


パーシーの確認に申し訳なさそうな、どこか落ち込んだ声が答えた。


『お姉ちゃん……ごめんなさい……』


パーシーがレーダーに意識を向けるとホーバートを現す点に大破の文字が表示されていた。


「ホー……そうか。だけどよくやった」


実戦だったらこうも落ち着いてはいられないだろうが兵器である自分たちにはいつ訪れても仕方のない瞬間でもある。

今回、艦隊の右舷側からの攻撃に対しパースの場合、途中味方艦からの支援を受けられたがホーバートの場合少ししか受けられずこうなってしまったのかもしれないが結果は結果である。

この戦闘でパーシーの妹であるホーことホーバートは迎撃に失敗し艦橋への被弾判定により大破、離脱することになった。


『ヒック……ごめんなさい。お姉ちゃんは……ヒック……今回で……』


「それ以上何も言うな!」


泣きじゃくりはじめたホーにパーシーは一喝した。

その後急に黙ってしまったホーにパーシーはしまったと思いつつ撤退するように促した。






ヴィスは艦隊から離脱していくホーバートをじっと見ていた。

艦隊の防空を担っていたはずなのに離脱艦を出してしまったことにヴィスは悔やみながらも、今だ演習は続いているそう考えていたヴィスはある疑問を浮かべた。

先ほどの攻撃の時、後から来た2機をヴィンセンスがレーダーでとらえた時その2機は即座に反転し離脱していったのだ。


「なんで反転したんだ?」


いくら自分がいるとはいえあの状況で攻撃をすればさらに被害を与えられたかもしれないのにあとから現れた2機のF/A-18Cは即座に反転していったのだ。

まるで予定が変更され、何かが来たのを確認したかのように。


「まさか……パーシーに連絡を…くっ!!」


ヴィスは咄嗟にパーシーに連絡を取ろうとした瞬間異変が起きた。

突然、視界にもやがかかったように視界がかすみ周囲が見えなくなってきた。

ヴィスはもしやと思い咄嗟にレーダーから意識を外し周囲を見渡し顔をゆがめた。

自分の、艦魂としての自分自身の目では周囲を何事もなく見ることができた。

嘘のようだったが実際、普通に自分自身の力で見ることはできているつまり視えなくなったのはレーダーを用いた電子の目。


「くっ、四月一日エープリルフールってわけじゃないようだな……」


その脳裏にはある艦載機が浮かんでいた。

第十五回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略してたまテレ


キティ「今回のタンデムスラスト99’で打撃部隊の旗艦を務めているキティホークです」


カーティス「同じく同部隊の防空任務を務めるカーティス・ウィルバーです」


キティ「さらに前回に引き続きパーシーにも来てもらっています」


パーシー「同訓練での敵対部隊、旗艦のパースだ」


カーティス「今回の魂テレは司令の力の象徴ともいえるCVW-5(Carrier Air Wing Five:

第5空母航空団)についての紹介です」


パーシー「私のいるオーストラリアはともかく日本にとっては切っても切れない関係にある空母航空団だな」


キティ「まずその歴史ですが1943年に前身組織であるCVG-5(Carrier Air Group Five:第五空母航空群)が作られ最初の搭載艦はヨークタウン(CV-10)元帥でした」


カーティス「先の大戦においても活躍しあの大和への攻撃にも参加しました」


パーシー「その航空団が日本にいるとは複雑なものだな」


カーティス「そうですね。ちなみに戦後は朝鮮戦争やベトナム戦争にも参加してミッドウェイ元帥が横須賀に配備される時に来日。それ以来厚木基地をホームとし横須賀に配備される空母を母艦としています」


キティ「尚、CVW-5は現在8つの飛行部隊を従えています」


カーティス「続いては飛行部隊について紹介しますが今回は飛行隊の顔ともいえるとなる4個VF/VFA(戦闘飛行隊/戦闘攻撃飛行隊)についての簡単な紹介です」


第5空母航空団第1飛行隊:VF-154“ブラックナイツ”

F-14A『トムキャット』を運用し艦隊防空にあたる。

1991年にインディペンデンスとともに来日、配備された部隊、制空能力の優れたF-14Aの姿はまさに艦隊の空を守る黒騎士部隊。


第5空母航空団第2飛行隊:VFA-27“ロイヤルメイセス”

F/A-18C『ホーネット』を運用し全飛行部隊の中でも多くの任務にあたる。

配備されたのは1996年とCVW-5内での一番新しい部隊、その名の通り敵対する者に王の鎚鉾つちほこを振るう部隊。


第5空母航空団第3飛行隊:VFA-192“ゴールデンドラゴンズ”

F/A-18C『ホーネット』を運用し艦隊防空や対地攻撃任務にあたる。

1986年に来日、CVW-5に配備されているVF/VFAの中では次に紹介されるVFA-195とともに古参部隊、尾翼には部隊名の龍が描かれている。


第5空母航空団第4飛行隊:VFA-195“ダムバスターズ”

先のVFA同様F/A-18C『ホーネット』を運用、任務にあたる。

部隊名の由来は朝鮮戦争時にAD-1の魚雷でダムを破壊した事から来ている部隊、破壊任務ならわれらダム壊し屋にお任せください!?


カーティス「以上で今回の分の紹介分を終わります」


キティ「結局、話を分けたのね」


パーシー「大丈夫なのかな?前回更新してからだいぶ経っているけど」


カーティス「大丈夫でないと思います。元に某掲示板での評価が非常に厳しかったのがつらかったようです」


キティ「一応、『こう言われても仕方がない。こういう評価もありがたいけど大がかりな修正は書ききってからしたい』と言ってましたが……」


パーシー「いったいいつになる事やら……その前に出来るかが怪しい」


カーティス「それは言えてますが……そう言えば次回の魂テレで何やら少々、重大な話があるとか言ってましたよ」


パーシー「変なことじゃないといいな」


キティ「気になりますがこの辺で失礼します。では皆さん次回までもう少しお待ちください」


カーティス「感想・評価お待ちしております」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ