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第二十六話 米豪合同演習タンデムスラスト’99(演習前夜)

現在期末試験の中休み。

次は再来週って……どんだけあいているのだか……


今回は少し長めです

キティはフォートと別れたあと自室で夜に行われる会議の資料を確認しその後カーティスとともに再びフォート・マクヘンリーの会議室へ転移した。


キティとカーティスが会議室に着いたのは会議の始まる約30分前だったがそこには既に何人かの先客がいた。

そしてキティに気付いた一人が声をかけてきた。


「お久しぶりです。キティホーク司令殿」


「久しぶりねパーシー」


キティに対し姿勢を正し敬礼する人物にキティも微笑みながら答礼した。

キティに話しかけてきたのはオーストラリア海軍パース級一番艦の艦魂で皆からはパーシーと呼ばれていた。見た目は16歳ほどでプラチナブロンドの髪をツインテールにしていた。

彼女はベトナム戦争時にキティと行動を共にした時期がありある意味戦友ともいえる存在であった。

そしてキティは彼女と会えるのを楽しみにしていた。


「今回の演習あなた達が相手なんでしょ?」


「ああ、全力で相手をさせてもらいます」


そう言うと二人は互いに見つめあった。

今回のタンデムスラストではカナダ海軍が初参加するので互いの連携を高めるために合同演習ではアメリカとオーストラリアはわかれていた。

キティとパーシーは

表情を緩めると互いに手を握った。


「あなたとの手合わせ楽しみにしてるわ」


キティがそう言うとパーシーは苦笑した。


「その前に司令殿自慢のCVW-5(第5空母航空群)や最強のイージスを持つ護衛の方を相手にしないといけませんが?」


意外な反論にキティは笑った。


「フフフ、確かにそうね」


「そうですよ司令殿はズル過ぎます。せめてこちらにも空母があれば話は別ですが……まぁ、無い物を言っては仕方がありませんがね」


パーシーのトドメとも言わん言葉に二人だけではなく後ろのついていたカーティスもつい笑ってしまった。

そのれからしばらく二人はつまらない雑談をしていたがフォートや今回の会議に出る艦魂たちが集まってくると二人は雑談を止め自分の席へと着いた。




「ではこれより明日から始まる『タンデムスラスト99』の最終確認の会議を始めます。尚今回の会議の進行は我々アメリカ合衆国第七艦隊旗艦ブルーリッジ総司令の代行である私、フォート・マクヘンリーが務めます」


フォートのなれた口調から会議は始まった。


「まず今回、初めてこの演習に参加するカナダ海軍代表のバンクーバーさんお願いします」


フォートの指名で一人の艦魂が立ち上がった。


「カナダ海軍ハリファックス級フリゲート2番艦『バンクーバー』です。差し支えなければクーバとお呼びください」


クーバの歳のころは16ほどで髪はブロンドで肩のあたりで切りそろえてありその目は奇麗なブルーだった。


「先ほどフォート司令代理が仰っていたように我々カナダ海軍は初参加となりますがどうぞよろしくお願いします。今回、私の他に私の妹である『モントリオール』も演習に参加しますのでそちらの方もよろしくお願いします」


そう言うとクーバは頭を下げた。

そしてどこからともなく拍手が起こりクーバは頭を上げ一礼すると席に座った。


「では今回の演習の内容と日程の確認に入ります。まずは初日の合同救助訓練ですが……」


フォート司会の元会議は3時間ほど行われた。

そこで確認されたことを大まかにまとめると以下のとおりである


主要参加艦艇(途中参加を含む)

・アメリカ海軍

空母

キティホーク(CV-63)

巡洋艦

 チャンセラーズヴィル(CG-62)

モービルベイ(CG-53)

 ヴィンセンス(CG-49)

駆逐艦

 カーティスウィルバー(DDG-54)

フリゲート

 ヴァンデグリフ(FFG-48)

揚陸指揮艦・揚陸艦

 ブルーリッジ(LCC-19)

 フォート・マクヘンリー(LSD-43)

給油艦

 グアタルーペ(T-AO 200)


・オーストラリア海軍

駆逐艦

 パース(D-38)

 ホーバート(D-39)

フリゲート

 シドニー(FFG-03)

 ダーウィン(FFG-04)

給油艦

 サクセス(AOR 304)


・カナダ海軍

フリゲート

 バンクーバー(FFH-331)

 モントリオール(FFH-336)

 セント・ジョンズ(FFH-340)


・その他

観閲艦(韓国、シンガポール)

 3隻


                    計20隻(記号:T-AO=AOR=給油艦)


演習内容

・揚陸作戦及び支援

・海上給油

・戦闘訓練

       等


演習期間

・揚陸作戦 3月下旬〜4月上旬

・海上補給 3月下旬

・戦闘訓練 4月上旬


以上がこの会議で確認された。

フォークは最後に質問等がないか聞いたが出席者全員から何も意見が出なかったので今回の会議を閉めた。

会議が終わり一人また一人と自艦へと戻っていきキティも明日の演習についてヴィルと打ち合わせをするためにそろそろ戻ろうかとした時に一人の艦魂に話しかけられた。


「お久しぶりですキティ司令」


キティが振り返るとそこには広開土大王クァンゲトデワンの艦魂のクァンがいた。


「久しぶりねクァン。シャヴァリアさんやニューさん達は元気にしている?」


「ええ、二人とも元気ですよ。ただ……」


クァンが急に口ごもりキティが尋ねようとしたときキティはいきなり後ろから抱きつかれた。


「キティちゃん!元気にしてた〜?」


このどこまでも気の抜けた口調、そしてこの海域に自分を“ちゃん”付で呼ぶ人物は一人しかいなかった。


「ニューs…いや、テジョンさん……」


「キャハハハハ」


唸るような口調のキティの上でテジョンは満面の笑みを浮かべていた。

キティがテジョンを振り落とそうとしたときクァンが怒鳴った。


「テジョンさんやめてください!」


前回会ったクァンとは違う態度にキティやカーティスが驚いている中クァンは怒鳴り続けた。


「今回は他の国の方もいるのですからキティ司令に迷惑をかけないでください!それに今回、チュンブクさんから言われたこと忘れてませんよね?」


チュンブクの名前が出た瞬間今まで笑っていたテジョンの顔が曇りスッとキティの背から降りるとクァンのもとへ歩みだした。

その様子にキティやカーティスは驚いていた。あからさまに前回クァンと会った時からのクァンの様子の変化と今のテジョンの様子からキティ達はしばらく見守ることにした。

テジョンはクァンの前に着くと姿勢を正した。

それを確認したクァンは先ほどとは違う落ち着いた口調で話しだした。


「今回出港する際チュンブクさんやチョンブクさんから何を言われたか覚えてますね」


クァンの言葉にテジョンはただ「はい」とうなずきうつむいた。


「このことはあとでチュンブクさんに報告します。今は艦に戻ってください」


テジョンは敬礼し一度キティの方を向いた。


「先ほどは失礼しましたキティ司令」


そう言うとテジョンはすぐに転移した。

そしてその時キティはテジョンの頬を輝く何かが滑り落ちたのをみた。

テジョンが転移していなくなるとその場は沈黙に包まれた。

クァンは何か寂しそな顔で黙り、キティとカーティスはその理由を聞いていいものかと悩み黙ってしまった。

しかしその雰囲気は唐突に壊された。


「どうしたんだキティ?」


その場にいた全員の視線がキティに声をかけた人物、パーシーへと向いた。

パーシーはその視線に動じることなくこの場で何があったのかを知るべくキティの返答を待った。


「さっき……」


「私が話します」


キティが話そうとするのを遮りクァンが前に出た。


「実は……」


クァンはパーシーに先ほどここで起こったことを大まかに話した。

パーシーは話を聞き終えるとクァンに直球で質問をぶつけた。


「なるほど……で、チョンブクってのは誰で、約束ってのはなんなんだ?」


クァンはその質問に戸惑いながらも答えた。


「チョンブクさんはテジョンさんのお姉さんで今回、出港する際に他の方に迷惑をかけないと約束したんです」


キティはその約束がテジョンらしいものだと思ったがすぐに疑問がわいた。


「でもいくらなんでもあそこまで落ち込むの?」


キティの問いにクァンはさらに言いにくそうな顔で答えた。


「チュンブクさん……今年、退役するんです」


クァンの話を聞きその場にいた全員が納得した。

テジョン達、忠北チュンブク級は元はアメリカのギアリング級で大戦末期に作られた艦だ、退役すれば余生はもうほとんどない。

しかもかつてたくさんいた姉妹は今となっては少なくしかも世界中に散らばってしまった。

全員がそう悟る中キティはあることに気付いた。

チョンブクが退役するということはその代りに別な艦が就役するということだ、そして現在韓国海軍でもっとも新しいのがクァン本人がネームシップである広開土大王クァンゲトデワン級だ。

クァンからすればおそらく妹が就役する嬉しさとテジョンの姉がいなくなる苦しみの板挟みになっているのだろう。

キティがそう考えているとパーシーが先ほどとはどこか違う口調で口を開いた。


「そうか……悪いことを聞いたな。すまなかった」


謝罪するパーシーにクァンは首を振り逆に謝罪した。


「そんなことありません。むしろこちらこそすみません私たちの問題なのに迷惑をかけてしまって……」


「気にするな聞いたこっちが悪い……それにまったく関係のない話というわけでもないんだがな……」


「えっ?パーシーそれはどういう……」


どこか寂しそうに言うパーシーにキティが話しかけようとしたとき一人の艦魂が現れた。


「いつまでのんびりしているんだ?」


そう言って現れたのはヴィルだった。

ヴィルは頭をかきながらキティに話しかけた。


「会議が終わったんだから早く明日の打ち合わせ……」


ヴィルの会話がいきなり途切れたと思うと突然火花が散った。


「……なんでお前がここにいるんだフリゲート」


「……今回の演習を観閲するためですよ駆逐艦さん」


今まで重苦しかったはずの雰囲気が一気に変わった。

キティとカーティスの制止もむなしくそしてクァンとヴィルによる壮絶な口論が始まり結局騒ぎを聞きつけたヴィスとヴェイの仲裁(鉄拳つき)が入るまで続いた。

一段落しキティはパーシーに先ほど聞きそびれたことを聞こうとしたが姿はなく明日の打ち合わせもあるということでキティは自艦へと戻っていった。


第十四回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略してたまテレ


キティ「またまた二週間ぶりの魂テレ司会のキティホークと」


カーティス「今回、司令といたはずなのにセリフが全くなかったカーティス・ウィルバーです」


キティ「カーティス……」


カーティス「大丈夫です。それより今回の登場人物の紹介お願いします」


キティ「カーティス無理しないでね。では今回、紹介するのはこの方です」


パーシー「よろしく!」


パース

身長:160センチ

体重:エアーズロックの中にあるらしい

家族構成:妹二人

好き:オーストラリア、妹、グレートバリアリーフ

嫌い:オニヒトデ

特徴:プラチナブロンドのツインテール、かつてベトナム戦争時にヤンキーステーションの防衛の任につきそこでキティと出会った。


パーシー「こんなもんかな?」


キティ「ありがとうパーシー」


パーシー「気にしなくいい。そう言えば作者はどこに行ったんだ?聞きたいことがあるんだが……」


カーティス「作者さんはいませんがこれをパーシーさんに渡すようにと頼まれています」


パーシー「どれどれ……おお、聞きたかったことが書かれているな」


キティ「何を聞きたかったの?」


パーシー「今回の演習に参加する艦艇をどのように決めたか」


キティ「それはまた変わった質問ね……」


カーティス「でも気になります」


パーシー「えーと、作者曰くアメリカ以外は適当らしいのでもしこれを読んだ方で知っている方がいれば情報がほしいそうだ」


キティ「適当って……」


カーティス「クァンさん達もしかしたらいなかったのかもしれませんね」


パーシー「追伸で『尚、99年の演習内容はわからなかったので2000年のをベースにしている』と書かれているな」


キティ「もし知っている方がいれば教えてもらいたいですね。フィクションと割り切ればいいのに……」


カーティス「フィクションと割り切れないんですね作者さん」


パーシー「できるだけ史実につなげたいのだろうな」


キティ「難しいでしょうね」


カーティス「ですね……ということは次回からは演習ということですね」


パーシー「そう言うことになるな」


キティ「そう言えば本編でパーシーが『空母さえあれば』って言っていたけど今イギリスから退役した空母を買い取る計画があるそうね」


パーシー「最後の空母『メルボルン』がいなくなってからだいぶ経つんだけど……やっぱりあの国のせいだろうな」


カーティス「赤い旗の国ですね」


パーシー「ああ、危機感を持ち始めたんだろうな」


キティ「安心できなくなってきたのね」


パーシー「少なからずの摩擦はあったけどな最近はさらにひどくなってきたらしい」


キティ「……らしい?」


パーシー「おっと!これ以上はないも言わないぞ。というわけで今回はここまでだな」


キティ「何か釈然としませんが仕方ありませんね」


カーティス「感想・評価お待ちしております」


キティ「次回もお楽しみに!」


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