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第二十五話 総司令代理と二人の姉

やはり更新に2週間かかってしまいました。すみません。

3月下旬 グアム近海


キティホークは護衛のカーティスウィルバーとチャンセラーズヴィルとともに今回のタンデムスラストに参加する艦が集まる海域へと向かっていた。

グアム島には第七艦隊のもうひとつ拠点アプラ港がありおもに原子力潜水艦の補給基地となっている。

今回の演習に参加する艦はアプラ港周辺に停泊することになるだろうが何せ20隻の艦船が集まるのだ必然的に入港の優先度が出てくる。

今回キティは最初の演習が終わり次第入港することになっている。


キティは艦橋の上から周囲を見渡していた。

その顔にはどこか複雑な心境がうかがえた。

というのもキティは横須賀を出たあと沖縄の大島周辺で沖縄に展開する海兵隊員約200名を載せここまで来たのだがその途中コソボへの爆撃が始まるとの連絡を受けたのだ。

その報を知らせに来たカーティスにキティはただ頷くしかできなかった。


予想されてたとはいえこの紛争に祖国は手を貸すのだ、いつ終わるともしれない紛争に……

キティはそこまで考えると考えを忘れるように首を振った。


「私は出来ることをするだけよ」


キティが自分に言い聞かせるようにつぶやくとカーティスが現れた。


「司令、もう間もなく合流海域です」


「わかったわ。ヴィルは?」


「ヴィルさんはもう間もなく来るはずです」


カーティスがそう言っているとカーティスの隣にヴィルが現れた。

キティはそれを確認すると進行方向へと顧みた。

すでにレーダーは相手方を捉えているがたがいが肉眼で確認できるまでは移動する必要はない。

キティがそう考えていると水平線にぽつぽつと島影とは違う何かが見え始めた。


「二人とも行くわよ」


キティの言葉にカーティスとヴィルは頷き三人そろって転移した。




三人が転移し終えると目の前に三人の艦魂が立っていた。

キティは一歩前に出ると背筋を伸ばし敬礼した。


「アメリカ合衆国海軍、第7艦隊第70任務部隊第5空母打撃群所属、キティホーク級航空母艦1番艦『キティホーク』及び同任務部隊第15駆逐隊所属タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦16番艦『チャンセラーズヴィル』、同部隊所属アーレイバーク級ミサイル駆逐艦4番艦『カーティス・ウィルバー』。タンデムスラスト合流海域に到着しました」


すると相手方3人のうち中央にいた一人が答礼した。


「アメリカ合衆国海軍、第7艦隊第76任務部隊第11水陸両用戦隊所属、ホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦3番艦『フォート・マクヘンリー』です。ブルーリッジ総司令代行の元、確認しました」


そして互いに手を下し表情を緩ませた。


「お疲れ様です。キティ司令」


「そちらこそフォート総司令代理」


キティと話しているのはフォートこと『フォート・マクヘンリー』の艦魂である。

見た目は18歳ほどで身長はキティと同じくらい、背にかかる髪をすべて前におろしておりその色はブラウンブロンド。

キティが彼女を総司令代理と呼んでいるのは総司令であるブルーが今回の演習に遅れてくるのでその代行を彼女がしているのである。

指揮の実力は折り紙つきで去年に行われた演習『CART98』では指揮艦を務めその功績からいくつかの賞を受賞している。


キティとフォートが話している横ではカーティスとヴィルがフォートに付き添っていた二人の艦魂と話しはじめた。


「お久しぶりです。ヴィスさん、ヴェイさん。」


「おお、カーティスか元気にしていたか?」


「ヴィルのやつちゃんとしているか?」


「……1人ずつ喋ってくれませんか?」


二人のいきなりの質問にカーティスは思わず一歩足を引いた。

というのもカーティスが話しかけた二人、ヴィスことタイコンデロガ級3番艦ヴィンセンスの艦魂とヴェイことタイコンデロガ級7番艦モービル・ベイの艦魂の二人は見た目が20歳ほどで背が180センチ程の長身、しかもヴィルのような性格を持っているため、さしものカーティスも二人で一気に詰め寄られるとかなわない。

余談ではあるがヴィス、ヴェイ、ヴィルは性格がそっくりなことから『3V』とも呼ばれたりしているらしい。

カーティスの言葉にヴィスがすまなさそうにこたえた。


「それは悪かったなカーティス、でも様子を見ると元気そうでなによりだ」


ヴィスの言葉にヴェイもすまなさそうな顔をしていた。


「(やっぱり、ヴィルさんとは違いますね)」


ヴィスとヴェイの反応を見てカーティスは心の中で思わずそう言ってしまった。

というのも『3V』の3人の性格は非常に似ているが相手への対応という面では全く違った。

ヴィスとヴェイは、口は悪いが相手のことを考えて行動しており周囲からは良き姉御といったようにとられておりヴィルはそのような面が感じられない。

カーティスがそのようなことを考えているとヴェイがヴィルの頭をかきまわしていた。


「元気にしていたかヴィル!」


ヴェイはそう言って更にヴィルの頭をかき回す。

ヴィルは黙ったままだが別にいやというわけではないらしい。

その様子を見ていたヴィスが口を開いた。


「ほどほどにしとけよヴェイ。そういやヴィル、キティの姉御に迷惑かけていなかっただろうな」


「…………」


ヴィスの質問をヴィルは無言で返した。

その瞬間ヴィスとヴェイの周囲の空気が変化した。

カーティスは危険と判断しあわててその場を離れようとしたが足が動かなかった。

そうこうしているとヴィスがカーティスの方に笑顔で振り返ってきた。


「…………なぁ、カーティス、一つ聞いていいか?」


「は、はい!」


ヴィスの口調はとても穏やかだった。いや、むしろ穏やか過ぎた。

そのあまりにも穏やかな口調にカーティスはただ返事をするしかなかった。

カーティスのことを知ってか知らずかヴィスは話し続けた。


「ヴィルはちゃんとキティの姉御の言うことを聞いていたか?」


笑顔で静かに見つめてくるヴィス。しかし、目だけは鋭かった。

カーティスは思わず目をそらした。

そして目をそらした先にはすでに正体をなくしヴェイにギリギリと頭を締め付けられるヴィルがいた。

そしていきなりカーティスは肩を叩かれた。

恐る恐る振り返ったカーティスの目の前にはヴィスの目だけが笑っていない笑顔があった。


「で、どうなんだカーティス?」


迫るヴィスの笑顔と後ろから聞こえるギリギリという音。

その状況についにカーティスは耐えられなくなった。


「(すみませんヴィルさん)」


カーティスが心の中でヴィルに謝罪し口を開こうとしたその瞬間手をたたく音がした。


「はい、そこまで」


カーティスが音のしたほうを見ると叩いた手を下すキティとため息をつくフォートが立っていた。

知れを見たヴィスとヴェイはあわてて姿勢を正した。

キティはその様子に若干笑みを浮かべながら口を開いた。


「ヴィスにヴェイ、ヴィルはきちんと私の言うことを聞いていたわ。確かにたまに間違えたこともあったけど私は気にしてないわ」


そう言ってキティは正体を失ったヴィルに近づき膝をついた。


「だからこれからはほどほどにね」


「「ハッ!」」


肩越しにかけられた注意にヴィスとヴェイは敬礼して答えただけだった。

キティはヴィルの様子を確認すると一旦立ち上がりフォートに向きなおった。


「今夜の会議は1800からよね?」


「はい。1800から私の艦で行います」


キティはうなずくとカーティスとともにヴィルを担ごうとした。

するとヴィスとヴェイがあわてて声をかけた。


「姉御!俺たちがやります!」


「姉御は何もしなくて結構です!」


そう言うと二人は手早くヴィルを担ぎあっという間に転移した。

キティとカーティスはその手早さに驚き呆然としたがカーティスは気を取り直すと三人の後を追い転移した。


「フォート、少し二人を借りるわね」


キティが気を取り直しフォートにそう言うとフォートはうなずいた。


「じゃあ、今夜の会議でまた」


キティはそう言うと軽く手を振り先に転移した4人を追い転移していった。

第十三回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略してたまテレ


キティ「二週間ぶりの魂テレ司会のキティホークと」


カーティス「カーティス・ウィルバーです」


キティ「今回のゲストはこの三人の方です」


カーティス「フォート総司令代理とヴィルさんのお姉さんヴィスさんとヴェイさんです」


フォート「始めまして皆さん。今後もよろしくお願いします」


ヴィス「よろしく!」


ヴェイ「覚えてくれよ!」


キティ「覚えてもらうために自己紹介お願いします。まずはフォートから」


フォート・マクヘンリー

身長:165センチ

体重:不明

見た目年齢:18歳くらい

家族構成:姉2人、妹9人(9女のハーバース・フェリーからは派生形としてハーバース・フェリーとして分けられるがここでは統一します)

好き:アメリカ、姉妹、波の穏やかな日

嫌い:ただの揚陸艦と馬鹿にされること、波が荒れている日

特徴:茶色見がかったブロンドで髪をすべて前に出している。ブルーの代役を務めることが多く海外ではそれなりに有名(日本では……)。


カーティス「続いてはヴィスさんとヴェイさん、二人続けてどうぞ」


ヴィンセンス

身長:182センチ

体重:(目が笑ってない笑顔で)見るなよ

見た目年齢:20歳ぐらい

家族構成:姉2人、妹24人

好き:アメリカ、ミズーリ(戦艦)、姉妹

嫌い:中東の国、過去の自分

特徴:180センチを超える長身と男らしい性格で常に明るく振りまき上官を『〜の姉御』と呼ぶ。しかし、その裏にはかつて自分への決別を含んでいるらしい……


モービル・ベイ

身長:180センチ

体重:聞こうとしたら頭をギリギリと締め付けられました

見た目年齢:20歳くらい

家族構成:姉6人、妹20人

好き:アメリカ、姉妹(特にヴィス)

嫌い:アメリカと敵対する国

特徴:身長、性格等がヴィスとそっくり。近くにいる時は常にヴィスについていく。


キティ「以上ですね」


ヴィス「ところでここにヴィルはどこだ?来いと言っていたんだが……」


カーティス「さっきどこかに走って行きましたよ。何でも作者さんに呼ばれたとか……」


ヴェイ「それはないと思うぞ」


カーティス「どうしてですか?」


ヴェイ「作者ならさっきまでテレビで某アニメの“序”を食い入るように見ていたからな呼ぶはずがない」


キティ「そう言われると確かに……。作者さんいわく『なぜか迎撃兵器の中に127ミリ単装砲や大和の主砲っぽいものが出てきているが個人的にはそこ好きだ!』って言ってましたからね……(今回はフォローできないわね)」


ヴィス「……すみません。キティの姉御ここらへんで失礼します。」


ヴェイ「俺もついていきます!」


ヴィス&ヴェイ退場。


キティ「いちゃったわね」


カーティス「ヴィルさん……」


フォート「…………」


キティ「あ!ごめんなさいフォート」


カーティス「決して忘れていたわけではありません!」


フォート「大丈夫、しょせん私は影の薄い存在だから……」


カーティス「フォート総司令代理!」


フォート「しょせん私はブルー総司令の代理・・でしかないのよ……」


キティ「こ、今回の魂テレはここまで、次回はある方が再登場されるそうです」


カーティス「では皆さん次回をお楽しみに!」


キティ「評価・感想お待ちしております!」


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