第二十一話 暴露
本当は前回と今回で98年を終わらせたかったのですが思ったよりも長くなってしまったので分けることにしました。
本間と執行が去った後キティ達は人目のつかない所へと場所を移した。
さすがに油で真っ黒になった髪のアリスを連れて行くわけにはいかなかった。
「別にあそこでもよかったのに……」
アリスはぶつぶつ言いながら先を行くキティとジャックについていく。
「あそこは午後から忙しくなるからな」
「むしろ誰にも見つからなかったのは幸いですよ」
アリスに言い聞かせるジャックにカーティスが補足する。
確かにキティやジャックが来るまでだれもあそこに来なかったのはある意味幸いだった。もしあの現場を誰かに見られていたら本間や執行はただではすまなかっただろう。今回のことを身内で納められるに越したことはない。
「そうね……着いたわよ」
キティが頷きながら目の前のドアを開け三人を招いた。
「ここは?」
アリスは興味心身に部屋を見渡した。
部屋は奇麗に整理されており部屋の中央には接客用のテーブル、難しそうな本が入った本棚や執務用の机は入って左の奥の方にあり反対側の入ってすぐには見えにくいところにベットが置いてあった。
「私の部屋ですアリスさん。ここならまず誰も来ませんよ」
「どうして……ですか?」
アリスはキティの制服にある階級章を見て一瞬顔を青くした後ため口をやめキティに質問した。
キティはしばし考えたあと何もないところからアリスの髪の油をとるために必要と思われる道具を出した。
「ええっ!どうやったの?マジック?」
驚くアリスにキティは首を振った
「いいえ。私やカーティスは艦魂です」
「かんこん?」
アリスは頭の上に?マークを浮かべた。
「一言で言うなら艦に宿る魂です。妖精や守り神と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね」
「普通の人は私たちのことは見ることはできないのですがアリスさんはジャックさんの妹なので見えるのかもしれませんね」
アリスはキティとその後ろに立つカーティスの答えに唖然としキティを呆然と見ていた。
「お〜い、アリス。なに固まってんだ?」
ジャックがアリスの顔の前で手をヒラヒラと動かすが反応がない。
「どうする?」
ジャックの問いのキティはカーティスを見た。
「カーティスやってもらっていい?」
「かまいません」
カーティスは頷きそう言うとアリスの耳元で何か囁いた。
するとアリスは気が付き申し訳なさそうにうなずいた。
「じゃあ頼むわね。ジャック部屋を出るわよ」
「えっ!?」
驚くジャックの襟をキティはつかむとドアへと足を勧めた。
「ここで髪を洗うんだから仕方ないでしょ」
「床屋のようにすりゃいいじゃないか」
ジャックの訴えにキティはため息をついた。
「アリスさんも女の子なんだからいろいろあるの!」
キティはそのままジャックを引きずり部屋を出ていった。
カーティスは完全にドアが閉まるの確認すると髪を洗うための準備を始めた。
「別にお兄ちゃんがいてもよかったのに……」
カーティスはどこかさみしげにつぶやいたアリスの言葉に手を止めアリスの方を見た。
「アリスさん……これから何をするか知ってますよね」
カーティスの問いにアリスはうなずいた。
「ええ、洗髪と着替えでしょ」
アリスの答えにカーティスは何とも言えない表情になった。
アリスは髪の他にも服が汚れているのだ確かに普通に洗髪するくらいならジャックがいてもかまわないのだがさすがに着替えをするとなるとそう言うわけにはいかなかった。
そう考えていたカーティスはふとあることを思った。
「……失礼ですがご実家ではどうなさっているんですか?」
「え、着替え?」
カーティスはうなずいた。
「普通にお兄ちゃん見てるけど?」
アリスの衝撃発言にカーティスは一瞬倒れかかるも持ちこたえた。
「そうなんですか……」
「そうよ。それよりそろそろいいかしら?」
アリスにせかされカーティスはそれ以上何も考えないことにした。
「(司令も大変ですね)」
カーティスは最後にそう思うとアリスの洗髪の準備を再開した。
一方その頃キティとジャックの間でも同じような会話が行われジャックは顔を真っ赤にしたキティに何度も殴られることとなったのは別の話。
それから約1時間後
「カーティス、入っても大丈夫?」
「どうぞ」
キティとボコボコになったジャックが部屋に入ると後片付けをしているカーティスときれいになった髪を手入れしているアリスがいた。
「お帰りお兄ちゃ……どうしたのその顔!?」
アリスは髪を直すのもほどほどにジャックに駆け寄った。
「いや……ちょっとな」
ジャックは視線をそらそうとしたがアリスはすぐに範囲を突き止めた。
「わかった、あなたでしょ!!」
アリスはビシッ!とキティを指差した。
キティは驚いたものの事実は事実なのでうなずいた。
「ええ、ごめんなさい少しやり過ぎたわ……」
「誤ればいい問題じゃないの!お兄ちゃんは私と結婚するんだから!」
アリスが本日二度目の衝撃発言に部屋にたアリス以外全員の時が止まったがジャックはすぐに口を開いた。
「アリス!それは子供の時の話だろ!」
ジャックの発言にキティとカーティスは復活した。
「何だ昔の話か……」
「ですね」
安堵するキティとカーティスだったが……
「今もだもん!それとも何お兄ちゃん!私よりもこんなおばさんの方がいいの!?」
その瞬間その日キティに来た人々は謎の恐怖を感じた。そしてすぐそばにいたジャックやカーティスはキティから今までに感じたことがないほどの殺気が放たれるのを身をもって体感することとなった。
「……………………」
「し、司令?」
顔をうつむきながら何やらブツブツといっているキティにカーティスが恐る恐る声をかけた。
「だれ………ですか……」
「お、おい……キティ?」
少しづつ聞こえてきた単語にジャックは危険を感じながらもキティに声をかけた……瞬間
「誰がおばさんですって!!!!」
その怒号は横須賀にいた全艦魂に聞こえたとか聞こえなかったとか……とりあえずそれだけの怒号が響いたのは間違いなかった。
しかし、アリスは動じることなくキティと面と向き合った。
「事実でしょ、もうすぐ40歳のお・ば・さ・ん」
「な……よりによってなんてことを……覚悟はできているんでしょうね!小娘!」
アリスの容赦ない攻撃にキティは完全にキレた。その口調はいつものやさしく落ち着いたキティとは異なっていた。
「誰が小娘よおばさん!」
「小娘は小娘で十分よ!」
キティとアリスは睨み合いながらギャオギャオと騒ぎ出した。
その様子をジャックとカーティスはただ見ているしかできなかった。おそらく今ここで二人の間に入ったら間違いなく怪我をするだろう。
「どうする?」
「どうするといわれましても……」
「これはいったい……」
ジャックとカーティスがどうしたものかと悩んでいると後ろから声がした。
二人が振り返るとキティとアリスの様子を見て呆然としているライエンがいた。
「ライエンさん実は……」
カーティスがライエンに事の次第を話すがその間もキティとアリスの声が響く。
「なるほど、じゃあ……」
ライエンは二人の耳元でヒソヒソと何やら話しだした。
「いいアイディアかもな」
「ですね」
ジャックとライエンはうなずくと意を決してキティとアリスの間に入った。
「ちょっと聞いてくれ二人とも」
ジャックは二人の間に入るとわざとらしく両手を広げた。
二人はジャックの突然の介入に驚いて口論をやめた。そしてすかさずカーティスが口を開いた。
「いるまでも口論していては埒があかないのでここは勝負というのはどうでしょうか?」
カーティスの案にキティとアリスはたがいに睨み合いながらも耳を傾けている。
「勝負は料理対決で制限時間は30分。審査はジャックさんにしてもらいます」
「えっ!俺!?」
声を上げたのはジャックだった。
「おいそんな話は聞いて……」
「わかったわカーティス、小娘に一泡吹かせてやるわ」
「その言葉そのまま返させてもらうね、おばさん」
二人はジャックを完全に無視して睨み合っておりすでに戦闘モードだ。
「じゃ始めましょうか」
ライエンがそう言うといつの間にか部屋のすみに素材が用意されておりなぜか簡易キッチンまで準備されていた。
「ヨーイ、スタート!」
そしてキティとアリス、二人の勝負が始まった。
第九回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略して魂テレ
カーティス「お久しぶりです皆さん魂テレの司会を務めるカーティス・ウィルバーです」
キティ「………キティホークです」
ジャック「元気ないな、どうしたんだキティ?」
キティ「どうしたも何もなんであんな小娘がジャックの妹なの!」
アリス「小娘呼ぶな!おばさんのくせに!」
キティ「誰がおばさんよ!」
カーティス「またはじまってしまいましたね」
ジャック「だな……アリスの紹介していいか?」
カーティス「かまいませんが……できるんですか?」
ジャック「あそこに居る作者からいざという時のカンペを渡されているからな」
カーティス「わかりました。お願いします」
ジャック「これがアリスのプロフィールだ」
アリス・マロノフ
年齢:18歳
身長:160センチ
体重:不明(調査するも妨害活動に合う)
家族構成:父、母、兄
好き:ジャック、日本の白い猫のマスコットキャラクター
嫌い:ジャックを横取りする人、おばさん(キティ)
特徴:綺麗な金髪で兄であるジャックが大好き。現在は音楽の勉強中。
ジャック「以上だ」
カーティス「ありがとうございます」
ジャック「ところでいつまでキティとアリスをああしておくんだ?」
カーティス「……作者さん」
作者「何だ?」
カーティス「司令を何とかしてください」
作者「んなこと言われても……」
キティ「作者さん!」
作者「うおっ!」
キティ「今あの小娘から聞いたんですが作者さんが私の歳のこと教えたんですって!」
作者「え……まあ……なんていうか……はい、教えちゃいました」
キティ「なんで教えるんですか!今日は許しませんよ!」
作者「ゲッ!……逃走!」
キティ「逃がしませんよ!トム!ホーネット!」
キティの呼び声に猫とスズメバチが作者を襲う
作者「わあああああああああ!」
キティ「今日はさらにこれも付けます!」
ジャック「何だその杖は?」
キティ「F-35を呼ぶための杖です」
ジャック「なんだそりゃ?」
キティ「えっと確か『天光満る所に我は在り、黄泉の門開く所に汝在り、出でよ、神の雷!』」
カーティス「テ○ルズですか?」
作者「ちょっと待て!それはライトニングの上級魔法、イ○ディグ○イションの詠唱!」
キティ「関係ありません!『ライトニングII!』」
作者「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」
カーティス「最後の掛け声はライトニングのはずなのに秘奥義版イ○ディグ○イション並の威力……」
アリス「おばさんも結構やるじゃない」
キティ「私はおばさんじゃない!小娘!」
アリス「小娘言うな!」
ジャック「またはじまったよ」
カーティス「仕方ありません今回はここで終わりにしましょう」
ジャック「だな。感想・評価待っているぞ」