第二十話 キティホーク公開
今回はキティに一般人が!とはいってもクルーの家族ですが……
来週は一部の教科で中間テスト、正直乗り越える自信がない……
フォルたちが去ってから数日が経った12月中旬の頃、キティは山のように積み重なった書類に囲まれていた。
「これで最後、っと」
キティはそう言って書類にサインをすると隣に居るカーティスに渡した。
カーティスは書類に一通り目を通すと手に持っていたバックに書類を入れるとキティにねぎらいの言葉をかけた。
「御苦労さまです。司令」
「そんなことないわよカーティス。ブルーがいない間は私がここのトップだもの」
キティの労をねぎらうカーティスにキティは背伸びをしながら笑って答えた。
現在、第七艦隊の旗艦であるブルーリッジは横須賀を離れていた。基本的に横須賀に送られてきた仕事の書類はすべてブルーに送られるのだがそのうちのいくらかは横須賀にいる者がやらなければならないようなものがあり現在、横須賀でトップの位にあるキティがそれをこなしていた。
「第一こんなので音を上げたら佐世保に居るベルゥさんに申し訳ないもの」
「でもベルゥ司令の場合は特殊な立場ですから……」
キティとカーティスが言うベルゥとはタラワ級強襲揚陸艦の三番艦『ベロー・ウッド』のことである。彼女が所属する第七艦隊水陸両用部隊/第七遠征打撃群のほぼすべての艦が佐世保を母港としておりベルゥはその指揮にあたっている。
余談ではあるが第七艦隊の旗艦であるブルーリッジはこの部隊に所属しているがこの部隊の司令部はベロー・ウッドの艦内にあるのでブルーとベルゥの関係が少し厄介なのである。
「まあ確かにそうだけど……」
カーティスにの指摘に苦笑いを浮かべながら時計を確認した。
「時間ね。カーティス行くわよ」
「はい」
カーティスはキティの後ろにつくとそのまま部屋を出た。
今日はキティホークの乗組員の家族が乗艦してくるのだ。いつもよりもにぎやかになるであろう甲板をキティは目指した。
今日のキティホークは艦飾が施されており普段は戦闘機を飛ばす飛行甲板には数機の艦載機が展示され、いつもよりもあからさまに人口密度の高い状態だった。
あるものは我が子を抱き上げまたあるものは愛妻と仲良く腕を組んでいた。
「ハァ…」
その中ジャックは一人ため息をついていた。
今日、家族を誘ったのだが両親は仕事の都合で来ることができず妹が一人で来るはずなのだが全然見つからないのだ。
「どうしたジャック?」
ジャックが顔を上げるとそこには奥さんと二人の子供に囲まれた班長ことカールがいた。
「……なかなか妹が見つからなくて」
ジャックの落ち込んだ様子を不憫に思ったカールの奥さんが何とができないかとカールにアイコンタクトをとった。
カールはしばし考えたのちジャックに声をかけた。
「ジャック、艦内放送を使ったらどうだ?」
カールの言葉にジャックは顔をあげた。確かに艦に来ているはずなら放送を使えばすぐにわかるだろう。
しかし、ジャックは首を横に振った。
「班長遠慮しておきます。そんなことしたら他のクルーに迷惑がかかります」
ジャックの真剣な目線にカールはうなずいた。
「わかった。一応、連絡はしておくからもしどうしてもだめだったら使いな」
そう言うとカールは家族とともにその場を後にした。
「ハァ……」
ジャックはもう一度大きなため息をつくと妹を探そうと歩き始めた時ジャックは誰かとぶつかった。
「あ、すみません」
ジャックが振りぶつかった相手を見た。
今ぶつかったのは男でいた見た目からして日本の技師のようだ。
「なんで日本人がいるんだ?」
ジャックは妹がなかなか見つからないので気が立っており若干声に怒りが混じっていた。一方、技師はジャックの様子を察したのか静かに尋ねてきた。
「あのぶつかっておいて失礼なのですが私の同僚を見かけませんでしたか?執行という男なんですが今日は来る必要はないと言ったのですがどうやら紛れ込んだらしいんですよ」
頭をかきながら状況を説明する日本人をジャックはじっとにらみ返すと両方の手のひらを上にあげ『知らない』とジェスチャーをとった。
「そうですか……忙しいのにお邪魔してすみませんでした」
技師はそう言って頭を下げると人込みの中へ消えようとした。
「ちょっと待ちな」
ジャックは声をかけた後しばし考えたのち技師に一つの提案を出した。
「あんたも人探しをしているんだろこっちも今同じような状況だからここは二人で探すってのはどうだ?」
ジャックは下手に一人で探すより人探しどうし二人で探した方がより見つかる可能性もあると考えたのだ。
それに対し技師は少し考えるとうなずいた。
「わかりました。私は本間といいます」
「俺はジャックだ。よろしくなホンマ!」
そう言って二人は握手をするとともにそれぞれの探し人を捜索することにした
一方、その頃キティとカーティスは格納庫にいた。
「いないようですが……」
「おかしいわねさっき声が聞こえたと思ったんだけど……」
なぜこんなところに二人がいるかというとたまたま通りかかった時にキティが助けを求める声が聞こえたような気がしたのだ。
そしてさっそく二人で誰かいないか30分ほど探したのだが全く見つからなかった。
「やはり司令の空耳では?」
「そんなことはないと思うんだけど……あら?」
キティがカーティスの疑問を否定しようとしたとき必死の形相で走る技師を見た。確かあれは本間の同僚の執行という技師だ。
「どうしたのかしらあんなに血相をかいて?」
カーティスは執行の様子から今まで探していたのとは反対側の格納庫を見た。
しかし、誰もいない。
「やはり気のせい……司令!」
キティはすぐにカーティスのもとに駆け付けた。
「どうしたの?」
「あそこに人が!」
キティがカーティスの指さす方向を見るとそこには一人の女性がいた。
そしてその女性は艦載機のミサイルや爆弾などを飛行甲板にあげるための運搬用エレベーターに頭から挟まっているようだった。
「大変!急いでジャックに知らせないと」
「私が呼んできます。司令はとりあえず様子を見ていてください」
そう言うとカーティスはすぐに転移した。
一方、残ったキティは女性へと駆け寄ると様子を確認すると驚愕した。
「……大丈夫みたいね」
キティはぼそりと呟いた。
確かに女性はエレベーターに挟まっていたが実際挟まっていたのはそれなりに長い髪だった。
「大丈夫じゃないわよ!」
「え?」
キティは突然女性が声を上げたのに驚き思わず声を出した。
「『え?』じゃないわよ!誰でもいいから助けなさいよ!」
「あの……私の声が聞こえるんですか?」
「聞こえるも何も早く助けなさいよ!」
どうやらこの女性は艦魂が見えるらしい。確かに艦魂が見えるということは触れることもできるはずだ。
しかし、実際この状況下では出来ることは何もない。
「すみません。もうすぐ助けが来ますから」
「んもー!役に立たないわね!これじゃせっかくお兄ちゃんに会うためにセットした髪が台無しじゃない!」
キティは文句をまき散らす女性に簡単に相槌を打ちながらカーティスが早くジャックを連れてくるのを待った。
そして約5分後カーティスがジャックを連れてきたしかも技師である本間と先ほど走っていった執行の姿もあった。
本間はすぐに手近な場所にあった工具箱を開けると何やらいじりだした。そしてジャックは女性に駆け寄ると大声を上げた。
「大丈夫かアリス!」
「お兄ちゃん!早く助けてー!」
「お兄ちゃん!?」
ジャックとアリスという名前の女性の会話に驚いた。
確かに今日ジャックの妹が来るのをジャックから聞かされていたがまさか彼女がジャックの妹だったとは。
キティが驚いている間に本間の作業が終わったらしく静かにエレベーターが降りた。
「アリス!」
「お兄ちゃん!」
エレベーターから解放されたアリスはジャックと抱き合った。
挟まっていた金髪は真っ黒になっており同じ女としてキティとカーティスはかわいそうだと思った。
「さてなぜこんなことになったのか教えてもらおうか……執行!」
本間の言葉に全員が振り返るとその場からこっそり離れようとしていた執行を捕まえた本間がいた。
「い、いや……何も教えることは……」
否定しながらも顔から汗が滝のように出ている執行はここに居る三人以上の視線を受けているような気がした。
「嘘よ!この人がエレベーターを見くれっていったらああなったの!」
アリスの言葉にその場にいた全員が執行に冷たい目線をおくる。
「あれは事故だって!自分じゃ見えないからたまたま来たその子に頼んだらスイッチが入っちゃって何とかしようとしたんだけど結局無理で本間に助けを請おうとしたんだよ!」
「そうか……」
本間はそう言うと執行の肩をがしりとつかんだ。
「やる必要もないことをして一般人を巻き込んだというわけか」
「本間お前の顔ってそんなに怖かったか?」
少なくともキティ達の位置からは本間の形相はわからないが執行の言葉から察するによほどすごい形相なのだろう。
すると今度はジャックが執行に歩み寄った。
「そうか一応助けようとはしてくれたんだな」
ジャックはキティが今まで見たことのない笑顔で執行と向き合った。
「じゃあ……これがお礼だっ!」
「はぶっ!!」
ジャックは先ほどの笑顔を一変させると目にもとまらぬパンチを繰り出し見事に執行の顔面に命中させた。
「とりあえず今日の礼はこれ位しかできないが……今度はもっとすごい礼をしてやるからな」
「はい。今後気をつけます……………………いでっ!いったいどこから……!」
執行が誤ってから数秒後突如スパナが執行の頭に落ちてきた。
執行はあわてて周りを見渡すが確認する前にスパナよりも大きなレンチが落ちてきて執行は気を失ってしまった。
「司令やりすぎです」
「あら?最初にしたのはカーティスでしょ」
執行には見えなかったが先ほどの犯人はキティとカーティスだった。
キティのツッコミにカーティスは一度「コホン」と咳をした。
「そうですがさすがにあれは……」
カーティスの言いたいことはキティにもわかった。
先ほど執行がジャックに謝ったあと小さな声で『何だよたかが髪でここまですることはないだろ』とつぶやいたのだ。
艦魂であるキティ達は普通の人間よりも聴覚がよくたまたま近くにいたこともあって普通では聞き取れないつぶやきを聞きとったのだ。
そしてキティ達は同じ女として執行に制裁を加えたのであった。
さて気を失った執行はというと本間に抱えられていた。
「じゃあとはこいつはこっちでなんとかするから……ジャック今度何かおごるよ」
「おう!」
本間はジャックと手で合図をとると執行を抱えキティホークから降りていった
第八回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略して魂テレ
キティ「今回も頑張ります第八回『魂テレ』。司会のキティホークと……」
カーティス「カーティス・ウィルバーです。」
キティ「さて今回は私のクルーの皆さんが招かれていましたがこれは実際にはありません」
カーティス「正しくはこの時期なかったと言ったほうがいいでしょう。もちろんちゃんとこのようなことも行われているので勘違いなさらない様に」
キティ「そして今回のキャラ紹介は……」
???「おそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!」
カーティス「静かにしてください執行さん」
執行「静かにしていられるか!どんだけ待たされるんだよ!」
キティ「執行さん……本編内とキャラ違くありませんか?」
執行「気のせいだ!それより紹介だなこれが俺のプロフィールだ!」
執行吉人
年齢:29歳
身長:192センチ
体重:82.5キロ
好き:酒、機械いじり、お笑い
嫌い:本気で怒った本間、共産主義
特徴:黒髪で中肉長身、胴長短足
本間と同じく横須賀基地の整備員で本間の同僚である特技は(ポーランド産ウォッカ「スピリタス」(96度)の一気飲みらしい
執行「どうだ!!」
キティ「どうだ!って言われても……」
カーティス「いじられキャラですからね」
執行「なんだと……それはどういうことだ!?」
キティ「作者さんによると執行さんは出るたびに何らかの痛い目に合う設定らしいです」
執行「そんなぁ………」
カーティス「白くなりましたね。真っ白に」
キティ「だけど仕方ありませんなってしまったものは」
カーティス「司令の言う通りですね。では今回はここでお別れです。次回もお楽しみに」
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