第十八話 サプライズ
今回はあの方が少しだけ登場。
キティがケインと別れてから約一時間後………
「「「「「「乾杯!」」」」」」
何とか時間内に準備を終えパーティが始まった。
しかし、時間になってもブルーが現れなかったためカーティスが代行で司会を務めた。パーティはそれ以外は順調にすすみ気付くと残された時間はあと少しだった。
「いかがでしたか司令?」
カーティスの問いにキティは笑顔で答えた。
「とてもよかったはカーティス。でも本当にブルーどこに行ったのかしらね?」
キティの問いにカーティスは困惑した。
「残念ながら……ケインは知っているようなんですが何も言わなくて……」
その言葉にキティは先ほどのケインの行動の理由がわかったような気がした。
「そう……でもいったい何が……あら?」
キティが話していると急に照明が落ちた。
そしてステージの方から演奏が聞こえてきた。
「この曲は……」
「ええ、“Anchors Aweigh”ね。」
Anchors Aweigh……日本語に訳すと『錨を上げて』。
非公式ではあるがアメリカ海軍では有名な行進曲である。
「でも誰が……」
カーティスが確認しようとステージの方へ駆け寄ろうとしたとき司会席に誰か現れた。
「こ、これよりサ、サプライズイベントとしてと、特別演奏会を始めます。」
「ブ、ブルー!?」
キティの言うとおり司会席にはブルーがいた、しかもなぜか弱気モードで今まさに泣きそうな顔をしていた。
「でもいったい誰がこんなのを?」
カーティスの問いにキティはふとある人物が思い浮かんだ。
「ま、まさか……」
「司令?」
ハッ!とするキティを見てカーティスが声をかけた時ステージがライトで照らされた。
すると会場にいた誰もが息をのんだ。
「今回演奏してくれるのはフォレスタル元帥姉妹です!」
ブルーの紹介に会場にどよめきが一気に広がった
それもそのはずだアメリカの艦魂たちの間ではフォルたち姉妹の演奏には定評があるからだ。フォルはバイオリン、サラはトランペット、レンはフルート、インディはコントラバスをそれぞれ得意としていた。
そのどよめきの中演奏は続けられたがキティはただじっとバイオリンを弾くフォルを見ていた。
その後フォルたちはいくつかの行進曲を演奏し終わると会場は喝采の嵐が起きた。
「皆さんキティのためにこのようなパーティを開いてくれてありがとうございます。いつもでしたらこれで終わりなのですが今回どうしてもということであるゲストをお呼びしました。」
フォルの一言にどよめきが走った。
その中フォルはサラたちと目くばせをすると演奏を開始した。
「この曲は……合衆国国歌?」
キティがそう呟くとステージの袖から一人の艦魂が姿をしステージ中央まで歩いていくとこちに顔を向けた。
その瞬間皆が息をのんだ。その容姿は非常に美しく床に届くほど伸びた鮮やかにきらめく金髪が目を引き紺を基調としたドレスがさらにそれを際立たせていた。
威厳に満ちたその艦魂様子に皆が息をのむ中、その艦魂はついに口を開き歌い始めた。
その艦魂の奏でる歌声は非常に素晴らしくフォルたちの演奏ですらその歌声にのまれるかのような勢いがあった。
そしてその歌声にキティやカーティスら全員が聞き入ったのは言うまでもない。
しかし、ただ一人……ブルーだけは完全には聞き入ってはおらず、むしろ不機嫌な様子であった。
それでもその艦魂による歌は続き、四番まである国歌の演奏は無事に終わった。が、先ほどとは違い会場は静寂に満たされ誰も拍手をするものはいなかった。
しかし、その静寂は唐突に破られた。
破ったのはフォルだった、彼女が静かに拍手を始めるとそれに倣うかのように自然と拍手が広がっていったがなんとステージにいた艦魂は軽く礼をするとそのままどこかへと転移してしまった。
その瞬間会場にどよめきが起きたがそれはフォルの制止で静まった。
「あの方は大変忙しい方なのですが今回特別に国歌である『星条旗』だけを歌うことを条件に来てもらいました。なので皆さん落ち着いてください。」
ヴィルなどの一部の艦魂たちは不満があるようではあったがさすがに元帥であるフォルに文句を言う者はいなかった。
フォルは大体おさまったのを確認すると司会席に居るブルーを見た。
ブルーは先ほどのどよめきに負けたのか隅の方でビクビクしており一応ケインとライエンが慰めておりどうやら司会進行するのは無為のようだった。
フォルがどうしようかと思った時カーティスが前に出てきた。
「フォレスタル元帥をはじめサラトガ様、レンジャー様、そしてインディペンデンス元司令、今回は司令のためにこのようなサプライズイベントを企画していただきありがとうございます。」
そこで一息つけるとキティが拍手をし周りもまたそれに倣った。
「先ほどの方にお礼を言えないのが残念ですがこれで今回のパーティを終えたいと思います。今夜はすでに終了の予定を過ぎているので皆はすぐに自艦へと戻ってください。」
カーティスのまとめによって会場にいたものはそれぞれ自艦へと戻っていった。
最後まで残ったのは酔っ払い弱気になってしまったブルーの相手をしていたケインとライエン、そしてキティとカーティス、フォルたちだった。
「じゃあ、カー姉連れていくね。」
「あとは私たちが何とかしますので。」
ブルーを両方から支えながらケインとライエンは会場を出ていった。
キティ達はそれを見送ると誰もいなくなった会場の真ん中で話し始めた。
「フォル姉さん、サラ姉さん、レン姉さん、インディ姉さんお久しぶり。」
キティは日差ぶりの義姉との再会に笑顔で喜んだ。
「元気そうで何よりだよキティ〜。」
「サラ姉さんキティにくっ付いちゃだめでしょ。」
キティに抱きつこうとしたサラをレンが止めに入った。
「でも〜。」
それでもあきらめないサラにレンはため息をつくと肩越しにインディに声をかけた。
「インディ、サラ姉さんを抑えてあの方のところに戻りましょ。」
「了解。」
そう言うとインディは即座にサラを抱えてしまった。
「インディずる〜い!なんで妹のあなたの方が大きいのよ〜。」
ジタバタするサラを抱えながらインディは転移しレンもフォルとアイコンタクトをとるとすぐに転移した。
その様子をキティとフォルは笑いながら見ていたがカーティスはどこか唖然としていた。
それに気付いたキティは深呼吸をしながらカーティスに話しかけた。
「そんなに驚かなくてもいいわよカーティス。これはいつものことだから。」
「ハァ……」
どこか戸惑い気味のカーティスに今度はフォルが話しかけた。
「キティの言う通りよカーティス。」
フォルに話しかけられ姿勢を正すカーティスにフォルはクスリと笑った。
「そんなかしこまらなくていいのに……でもさっきのフォローはうまかったわ。」
「ありがとうございます。」
カーティスはフォルに礼を言うとそのままキティに向きなおった。
「では司令、今日はここで失礼します。」
「わかったわカーティス。」
キティがそう答えるとカーティスはそのまま自艦へと転移していった。
「いい子ね。」
フォルがそう言うとキティは静かにうなずいた。
「うん。……姉さん少しだけいい?」
少し戸惑いの混じったキティの問いにフォルはうなずいた。
「久しぶりの再会だもの何でも言ってちょうだい。」
そう言って微笑むフォルにキティは静かに「ありがとう」というと二人そろってキティの自室へと転移した。
第六回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略して魂テレ
キティ「久しぶりの第六回『魂テレ』。司会のキティホークと……」
カーティス「カーティス・ウィルバーです。」
キティ「本編の関係で前回と前々回の後書きに出れませんでしたがやっと出られました。」
カーティス「今回も前回に引き続きフォル元帥姉妹に来ていただいています。」
フォル「今回もよろしくお願いします。」
サラ「よろしく〜。」
レン「よろしくお願いします。」
インディ「頼むぞ。」
キティ「姉さんたち相変わらずだね。」
カーティス「そうなんですか?」
フォル「確かにそうね。」
インディ「だな特に……」
サラ「今度こそキティにアタック!」
サラがキティに抱きつこうとするがレンが間に入る。
レン「サラ姉さんいい加減にして。」
サラ「え〜、だって〜。」
レン「……私も妹だよ……だから……その……」
サラ「ヤバッ!」
フォル「サラ責任はとるのよ。」
インディ「レン姉を暴走させるなよ。」
サラ「ええええええええええ!!」
カーティス「いったい何が?」
キティ「ハハハ……まぁ、レン姉さんの裏の顔ね。」
カーティス「それはいったい……」
フォル「そろそろ時間じゃないかしら?」
キティ「あ!それじゃ次回もお楽しみに。」
カーティス「それでは意見・感想お待ちしております……後書きも次回に続きます。」