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第十五話 The First Navy Jack

成人になって初の更新……実感がわかない。

11月14日


先日、海上自衛隊との演習を終え横須賀に帰港したキティは緊張した面持ちで甲板に立っていた。

周りにカーティスやブルーといった仲間がいる中、キティに一騎の海軍旗が掲げられた。


「ついに来ましたね司令。」


「ええ……」


カーティスがキティに声をかけると緊張した面持ちでキティは答えると再び今掲げられた旗に目を移した。

その旗には13本の赤と白のストライプと一匹のガラガラヘビが書かれていた。


「オールドネイビージャックだけが掲げることを許された海軍旗……」


それを見ながらキティはどこか不思議な感じでつぶやいた。


「司令?」


カーティスはキティの目がどこか遠くを見ているような気がしているのに気付き首をかしげているとブルーがキティに声をかけた。


「キティ司令、あとで会議室にてパーティを行いますがよろしいですか?」


キティは振り向かずうなずくと静かに言った。


「わかったわ……ちょっと一人にさせて。」


その様子にブルーやカーティスは戸惑ったものの静かに従った。



キティは一人で海軍旗を見つめていた。


<The First Navy Jack>

現役艦の中でもコンスチュテーションに次ぐ古参艦だけが掲げられることの許される名誉ある海軍旗。それは実質アメリカ海軍でもっとも古い現役戦闘艦であることを示し旗には『我を踏むな』の意味がありアメリカ海軍の象徴であるということである。

しかし、キティの心境は複雑だった。嬉しい反面どこか気が引けた。


「本当に私が掲げていいのかしら?」


キティは確かに現在活躍する現役艦の中でもっとも古いがそれは歴戦を重ねてきたというわけではない。

確かにキティはベトナム戦争にて功績を残したが先の湾岸戦争においては艦命延長のための改装工事を行っており参加はしていない。


「コニーのほうがいいと思うんだけど……インディ姉さんのせいかしら?」


キティは少し前までこの海軍旗の持ち主であり義姉のインディペンデンスのことを思い出した。

それはちょうど日本に来る直前のハワイでの交代式の時のことだった。




ハワイの照りつける夏の日差しの中、その日キティは前任である姉に会うため『インディペンデンス』を訪れていた。

そしてキティは艦橋の前で探していた人物を見つけた


「久しぶりインディ姉さん。」


「おお、キティか!」


彼女こそティの義理の姉であるフォレスタル級4番艦インディペンデンスだ。キューバ危機の時には海上封鎖をおこないその後のベトナム、湾岸の両戦争で活躍した空母でキティが来る前までは横須賀を母港としていた。

キティに気付いたインディは近づいてきたキティの頭をがしりとつかむといじりだした。


「相変わらず綺麗な黒髪だな〜。この、この〜っ!」


痛いほどいじられるのでキティは何とかその手を振りほどくと睨みつけた。


「やめてください!インディ姉さんも同じじゃないですか!」


キティの言うとうりインディペンデンスもまた綺麗な黒髪を持っていた。その容姿は20ぐらいでキティよりも頭一つほど背が高く髪は肩で切りそろえられていた。


「そんなこと言っても私のは短いからな〜。」


そう言いながらインディは自分の髪をいじりだした。


「これから伸ばせますよ。」


インディはこのあとキティに乗っていた航空団を本土に届けた後引退するのだから好きにすればいいはずだ。しかし……


「私は短い方が好きなんだ。他人の場合は長い方がいいけど……」


そう言いながらニヤケル姉にキティはため息をついた。


「矛盾しているし……それにそんなこと言っているとレン姉さんが来ますよ!」


キティの『レン姉さん』の単語を聞きインディは青ざめあわてた。


「わ、悪かった!だから姉さんには言うな!」


インディのあわてた様子に笑いながらキティは言った。


「言わないわよ姉さん。それに言ったら言ったで私も困るし……」


最後のほうで少し当惑しながらも言ったキティの言葉にインディは安堵した。

そしてインディはキティがなぜここに来たかを聞くとキティはインディに掲げてある海軍旗<The First Navy Jack>に目を向けた。


「今度は私があれを掲げると思ったら緊張しちゃって……インディ姉さんはどうだったの?」


どこか不安のある質問にインディは少し考えるとバンッ!とキティの背を叩いた。


「気負けするな!胸さえはっていればいい!」


キティが戸惑っている間インディはただ笑っていた。




なぜ姉はあれ以上何も言わなかったのだろうか?いつもだったらきちんと答えてくれるのに……

そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。


「何しているんだ?」


キティが振り返るとそこには8月に出会った日本の技師がいた。


「ああ、あなたは……本間さんですよね。」


確かに本間は見覚えのある技師ではあったが名字しか知らなかったのでキティは当惑した。

その様子に気づいた本間は参ったなといった様子で頭をかきながら口を開いた。


「そういえば自己紹介はしていなかったな。」


そういうと本間は姿勢を正して自己紹介を始めた。


「俺は、本間利彦ほんまとしひこ。知ってのとおりここで艦の整備をしている者だよろしく。」


そういうと本間はキティに手を差し出した。


「よろしくお願いします本間さん。」


キティは笑顔で本間と握手した。

その時キティは自分の艦、それも見える範囲に誰かが転移したのを感じた。しかし、周囲を見回しても誰もいない。


「どうした?」


キティの様子を不審に思った本間が声をかけるとキティは不思議に思いながらも本間に向きなおった。


「誰か来たような気がしたのですが気のせいのようでした……。ところで本間さんはなぜここに?」


「俺は、仲間と視察に来たんだが見失ってな探していたら君がいたから……どうしたんだ?」


「……。」


本間の表情にキティはドキッとした。ジャックとは違う優しい表情に懐かしさを感じつつも<The First Navy Jack>について考えていたと答えようとした時……


「本間〜!」


一人の技師が小走りでやってきた。

すると本間は額に手を当て呆れた感じで相手を見た。


「いい加減にしろよ執行しぎょう!お前はいつもいつも……」


本間が今来た技師に説教をはじめようとするが……


「いや〜、やっぱり空母はでかいな〜。うらやましいな〜。」


全く話を聞こうとしない執行にキティは唖然としている一方、本間は無言で拳を振り上げた。


「日本も空母を持たない……ゴフッ!」


「いい加減人の話を聞け!特別に連れてきたのにお前といったら……」


執行を吹っ飛ばした拳を握りながら本間は再び説教を開始するが……


「本間っ!すまなかった!今から点検してくるっ!」


そう言うと執行は走り出してどこかに行ってしまった。それを見ながら本間はつぶやいた。


「今日はあくまで下見のはずなんだが……」


「どこを点検するのでしょうね。」


唖然としながらつぶやく本間にキティは相槌を打った。すると二人は顔を合わせ笑いだした。キティは普通に笑っているが本間は、はたから見ると一人で笑っている変人に見えるので極力声を抑えて笑った。そのことに気付いたキティは軽く咳払いをすると時間を確認した。


「では本間さん私はそろそろ……」


「ああ、わかった。俺はどこを点検しているか分からない執行を探してくるか。」


軽くウィンクをしながら話す本間に親近感を覚えキティは軽く笑う


「フフフ……見つかるといいですね。じゃあまたいつか。」


そう言うとキティは転移した。

それを見送った本間は仕事に戻るため歩き出すと笑みを浮かべながら静かにつぶやいた。


「これからどうなるのでしょうね元帥。」


第五回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略してたまテレ


キティ「始まりました第五回『魂テレ』。司会のキティホークと……」


カーティス「カーティス・ウィルバーです。」


キティ「今回の紹介はまずこの方です。」


本間「どうも本間です。」


カーティス「お久しぶりですね。早速ですがよろしいでしょうか?」


本間「わかった自己紹介だな。」


本間 利彦

年齢:30歳

身長:175センチ

体重:70キロ

好き:軍艦、護衛艦、日本、機械いじり

嫌い:知識のない人間、親の七光におぼれるやつ

特徴:横須賀基地の整備員でキティの整備を担当している。


本間「こんなものかな?」


キティ「本間さんありがとうございます。では次は……」


???「おお!本間久しぶりだな。」


本間「おう!元気にしているかインディ!」


インディ「有り余るくらい元気さ!」


カーティス「インディ元司令、自己紹介を……」


インディ「お、忘れていた。」


インディペンデンス

身長:180センチ

体重:見るなよ!

見た目年齢:20歳ぐらい

家族構成:姉三人

好き:アメリカ、キティホーク四姉妹、独立

嫌い:共産主義の国、姉のレンジャー

特徴:キティと同じ黒髪だが少し茶色が混じっている。


インディ「これでいいか?」


キティ「ありがとうインディ姉さん。」


インディ「いやいや可愛い妹のためなら気にないさ。」


カーティス「そう言えば本間さんと元司令は知り合いだったんですね。」


本間「ああ、俺が新米のころからな。よく怒られたな。」


インディ「そりゃ怒るさ配線間違えたら。」


キティ「そんなことが……」


カーティス「司令?」


キティ「大丈夫かしら私……」


本間「ちょっと待て!昔の話だぞ!」


キティ「でも……」


インディ「安心しなキティ。今のこいつなら問題ないさ。」


本間「そう言うことだ。」


カーティス「よかったですね司令。」


キティ「ええ……(でも執行さんがいるのよね。)」


インディ「次回は?」


キティ「私のパーティだそうです。」


カーティス「準備はまかしておいてください。」


キティ「楽しみにしているわ。」


インディ「じゃあ、今から前祝と行くか!」


キティ&カーティス「「え?」」


インディ「本間お前は?」


本間「俺は用があるからなパス。」


インディ「仕方ないキティ、カーティスいくぞ!」


キティ「えー!」


カーティス「……。」


インディに引きづられキティとカーティス退場。


本間「俺も……おっと、意見や感想待っているぞ!」

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