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第十二話 血濡れの旗艦

……今回はつらかった……いろんな意味で。

10月後半 日本海


キティたちはその日、海上自衛隊の艦艇と行動を共にしておりキティは艦橋の上でクァン達と別れた時のことを思い出していた。




フォール・イーグルでの事故から数日後、亡くなったパイロットの告別式が行われクルーやキティたちが見守る中、彼の告別式が終わると次は韓国艦艇とのわかれとなった。

キティ達はの甲板で別れを惜しんだ。


「キティ司令いろいろとありがとうございました。」


「そんなことないわよ。あなたも元気でね。」


キティとクァンはがっちりと握手した。するとクァンの後ろからテジョンがキティに声をかけた。


「キティちゃん私たちも忘れないでよ!」


「テジョン!あなた何度言ったら……」


「忘れないからその呼び方やめてください!」


チェンブクの説教が始まる前にキティはテジョンにくぎを刺すとテジュンは「キティちゃん反応良くなったね!」と言いチェンブクから数発の『礼儀の鉄拳』を食らうこととなったのは別の話……




そんなこんながありながらクァン達と別れたキティだが不安があった。

今回、自衛隊との演習で弾道ミサイルのことでもめるのではないかということだ。しかし、このことについてはブルーと話していたのでまだ心構えはできているがそれとは別に気になることがあった。今回参加する艦の『はるな』、『みょうこう』の二人だ。

『みょうこう』は『きりしま』からミサイルを見ていることしかできなかった自分を自己悲観していると聞いているので気になっていた。

そしていつも会うたびに気になっているのが『はるな』だ。


「『はるな』あなたは『みょうこう』を見てどう思っているの?」


そう呟くとキティの元にカーティスが現れた。カーティスの顔は緊張に満ちていた。


「司令やはり彼らが……。」


「仕方ないわね……彼らは?」


その質問にカーティスは答えた。


「『はるな』さんのところです。それと『みょうこう』さんも……」


キティはカーティスが『みょうこう』を気にしているのを知っていた。カーティスは『こんごう』四姉妹を尊敬しており特に今回は『きりしま』から何か預かっているようだった。


「ここにいても仕方ないわね、彼女たちのところに行きましょう。」


「はい。すでにライエンさんとカウスさんが向かっています。ヴィルさんは……」


「ヴィルのことは言わなくていいはどうせカウスがかかわっているんでしょ。」


キティの回答にカーティスは苦虫をつぶしたような顔をした。


「はい。なんでも昨日の夜から例のモードでヴィルさんの相手をしていたそうでグロッキーの状態だそうです。」


キティはカーティスの話を聞いて笑うしかなかった。なぜヴィルが倒れるほど説教をしておきながらカウスは平気でいられるのか……第七艦隊最大の不思議かもしれない。


「と、とりあえず行きましょ待たせるのも悪いし。」


「はい。」


そういうと二人は『はるな』へ転移した。




キティとカーティスが転移するとそこには先に来ていたカウスとライエンがいたそして二人の向かいには何人かの艦魂がいた。その中の一人がキティを確認すると前に出てきた。


「……キティホーク司令お話よろしいでしょうか?」


「わかりました『はるな』司令。」


キティと対峙している『はるな』は他の艦魂と様子が全く違った服装は普通だが手には黒の手袋そして手首に数珠、胸元には白い菊の花をつけており頭を丸めていた。

キティは『はるな』と話すとしたが一つ注文をつけた。


「しかし双方二人までにしていただけませんか?」


その一言に後ろにいた何人かの艦魂がキティに詰め寄ろうとしたがカーティスとカウスが間に割り込んだ。

それを不快に思ったのかさらに何人かが詰め寄ろうとするが『はるな』が制した。


「……お静かに。」


その一言で気の立っていた艦魂はおとなしくなった。


「……わかりましたこちらはわたくしと………」


『はるな』は周りを見渡す。他の艦魂たちは目で必死にアピールするが『はるな』は一人の艦魂に目をとめた。その艦魂は髪がぼさぼさで顔をうつむいていた。


「……『みょうこう』でよろしいでしょうか?」


その一言に一同はざわついた。選ばれた本人である『みょうこう』はゆっくりとした速度で顔をあげ『はるな』を見つめた。『はるな』を見つめる目は生気を失ったように暗かった。

「『みょうこう』を選ぶなら」と一人の艦魂が『はるな』に詰め寄ろうとしたが『はるな』に睨まれ黙ってしまった。

キティは大体おさまったのを確認すると自分以外の一人としてカーティスを選んだ。

カーティスは多少驚いた顔をするもののうなずいた。


「……ではこちらに他の皆さんは退艦をしてください。」


そう言われた自衛隊の艦魂はしぶしぶといった感じで一人一人転してゆく。ライエンやカウスもキティと目くばせすると転移していった。

全員がいなくなったのを確認すると四人は『はるな』の部屋へと転移した。




キティたちが部屋に転移すると異質な光景が広がっていた。部屋はほとんど真っ暗で蛍光灯が申し訳なさそうにともっていた。


「相変わらずですね『はるな』司令。」


「……ここならいつも通りでいい。」


キティの問いかけに『はるな』は答えると席を勧めた。キティとカーティスが席に座ると反対側に『はるな』と『みょうこう』は席に着いた。


「……では今回の件について伺います。」


『はるな』の質問の皮切りに話し合いが始まった。キティは弾道ミサイルのことについて話した。最初は何も話していなかったカーティスから何か言われると考えていたがカーティスは何も言わなかった。むしろキティの捕捉に付け足す場面も見られた。

そして話し合いも終盤を迎えたとき………


「『みょうこう』あなたにとってはつらいでしょうけど弾道ミサイルが発射された時のこと話してくれないかしら。」


キティが『みょうこう』に対してその時のことを聞こうとしたとき今までおとなしくしていた『みょうこう』の表情が変わった。


「い、いや……いやっ!」


「『みょうこう』さん落ち着いてください!」


カーティスが発狂した『みょうこう』を止めようとするがカーティスの制止を振り切って『みょうこう』は転移してしまった。


「はるな司令、実は『きりしま』さんから……」


「……お願いします。」


カーティスが言いきる前に『はるな』は答えた。一瞬カーティスは意味が伝わったのか分からなかったがキティがうなずいたのでそのまま『みょうこう』へ向かった。

キティと『はるな』の二人っきりになった部屋で重い空気が流れた。


「『はるな』……今の『みょうこう』を見てどう思っているの?」


キティの質問に『はるな』は手首にしている数珠を触りながら答えた。


「……彼女はわたくしに似ています。でも彼女には決して私のようになってほしくはない。」


『はるな』はかつての自分と今の『みょうこう』を照らし合わせていた。そして今の『みょうこう』のなれの果てが今のだ……彼女も『みょうこう』のように『国のために……』という時期があった。


「やっぱりあなたはあの事件を背負い続けるの?」


「……ええ、それがわたくしの勤め、彼女のためにも……」


「彼女はそれを望んでいるの?」


キティの問いに『はるな』は静かに首を振ると席を立ち仏壇の前にすわった。


「……わからないわ。でもいずれ来るわたくしの最期まで……それが私の新たな誓い。」


仏壇を見つめる『はるな』の目には彼女がこの道を選ぶことにした出来事を思い出していた。

一隻の船が燃えている。

そしてそれに沿うように航行する四隻の艦から砲弾が放たれた。

砲弾が命中し爆発が起こる。しかし船は沈まない……


「……彼女は苦しんだ……本当なら苦しまず静かに暮らせるはずだったのに……」


涙を流す『はるな』をキティは後ろから眺めていることしかできなかった。何度も励まそうとしたが彼女は決して涙を止めることはなかった。

キティは席を立ち仏壇の中を見るとたくさんの位牌があったそしてそこに書かれている名前はすべて民間船のものだった。

その中央には他とは違う位牌があった。


「これが……」


キティの見つめる位牌を『はるな』は確認するとうなずいた。


「……これが今の私の咎であり生きる理由……」


キティと『はるな』が見つめる位牌に書かれていた船名……



第十雄洋丸



かつて『はるな』が旗艦を務め海上自衛隊がはじめて災害出動の中で砲、爆、雷撃による攻撃で撃沈した船の名であった。


第二回 アメリカ合衆国海軍特別広報放送局〜略してたまテレ


キティ「始まりました第二回『魂テレ』。司会のキティホークと……」


カーティス「カーティス・ウィルバーです。」


キティ「今回は新たに出られたお二方の紹介です。」


カーティス「では『はるな』さんと『みょうこう』さんどうぞ。」


はるな「……海上自衛隊第三艦隊旗艦『はるな』です。」


みょうこう「……。」


カーティス「『みょうこう』さん……。」


はるな「……わたくしが代わりに紹介します。わたくしからですがプロフィールをどうぞ。」


はるな

身長:170センチ

体重:不明

見た目年齢:18歳くらい

家族構成:妹一人

好き:日本

嫌い:民間の艦魂を撃ってしまった自分自身

特徴:普段は喪に服した格好で正装のときでも極力近い格好をする。頭はそってある。


みょうこう

身長:160センチぐらい

体重:不明

見た目年齢:15歳くらい

家族構成:姉二人、妹一人

好き:姉妹、日本

嫌い:ミサイルを見ていることしかできなかった自分自身

特徴:本来の性格はマイペースで明るかったが弾道ミサイルをただ見ていることしかできなかった自分を責め全く違う人物に……


はるな「……以上です。」


みょうこう「……。」


キティ「なんかどんどん気分が暗くなってくるわ……。」


カーティス「確かになんだか……。」


みょうこう「……。」


はるな「……。」


キティ「……。」


カーティス「……。」


作者「どうだ魂テレは……って、暗っ!」


キティ「……作者さん、次回は何ですか?」


カーティス「……早く終わらせてください。暗すぎます。」


作者「キティ達まで暗くなっている……えっと次回は『みょうこう』について書く予定……」


みょうこう「……。」


はるな「……頑張って『みょうこう』。」


作者「でも、もしかしたら次回が4月になるかも……。」


キティ「……どうしてですか?」


作者「親戚の手伝いでネット環境のないところに行くかも知れないから……。一応、何事もなければ28日か30日ごろに更新できるかかも……」


キティ「……。」


カーティス「……。」


みょうこう「……。」


はるな「……。」


作者「……自分まで暗くなってきた。」


キティ「……ではみなさん失礼します。」


カーティス「……評価・感想、待っています。」

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