あ、おはようございます
「あなたが今日のお夕飯です。だから血をください、あと落し物です?」
私はそう言って美味しい匂いの人に落とし物の腕を手渡した。
(これで後は自分で治せるよね)
「何故私を殺さない?」
「え?」
「お前は吸血鬼だろ、なら何故私を殺さない」
(何言ってるんだろ?)
「なんで?って言われても死んだら不味くなるから?っていうか早く腕治さないと死んじゃいますよ?」
「不味くなるから……か、どの道私が喰われる事に変わりはないみたいだな。すまない父上、私は帰れなさそうだ……」
「あのー、シリアスっぽい所悪いんですけどまだ腕治さないんですか?あとちょっとだけでもいいので血、吸ってもいいですか?もうお腹が空いてしょうがないんです…」
「好きにすればいいだろう、どうせ私は死ぬ以外道は無いのだからな」
「あ、はい、じゃあお言葉に甘えて、いただきまーす!」
(お夕飯げとー!)
あーん…、かぷ、ちゅー……
アリアは手を合わせて一礼してから膝をつき身を寄せてその首筋に牙を突き立てた。
「くぅ…っ!ん……、あぁ……!」
「ぷはぁ……、なにこれすごく美味しいぃー!?♡えへへー、あとちょっとだけー♪ちょっとだけー♪」
そして一度息継ぎをしてから再度首筋に噛み付いた。
かぷ、ちゅーちゅー♡
「うぁ……、あ…、ぁぁ………(がくり)」
ーアリア吸血中ー美味しい匂いの人気絶中ー
「うふふー♪ごちそうさまでしたー♪首は治しておきますねー?」
アリアは手の平に魔力を集め噛み跡の付いた首筋をサッと撫でる。するとたちまち首筋の噛み跡は消えてしまった。
「これでよし!ってあれ?」
アリアが離れると美味しい匂いの人もとい美味しい人が血の気の抜けた顔で倒れてしまった。
近くに寄ってつついてみても起きる気配はないし、止血されてるとはいえ腕も千切れたままで放っておけば治せなくなるだろう。
「だから早く腕治したら?って言ったのに」
アリアは小さくボヤきながら転がり落ちた腕を拾い傷口に合わせてから魔力を纏わせた手で撫でた。
それから千切れた腕を支えていた手を離して見てみると薄らと継ぎ目が見えるもののその腕はしっかりとくっついていた。
「あー、また傷跡残っちゃったかー……。お母さんみたいにキレイさっぱり治すのってやっぱり難しいなぁ……」
(さて、どうしよう?この人ここに置きっぱなしは流石にダメだよね?)
「旅は道連れ世は情け……、だっけ?うん、確かそう。って事でこの人を道連れてこう、最低限人間のいる所まで行けばこの人も大丈夫だよね」
そうと決めたアリアの行動は早かった。
まず返り血で汚れた服に「洗浄」の魔法をかけてサッとキレイにした、ついでに美味しい人もキレイにしたら「身体限定強化」を両腕に使い強化した。
「それじゃあ出発ー」
それから飛ぶのに邪魔にならないように美味しい人をお姫様抱っこする、鎧を着てるいるせいでそれなりに重量があるが「身体強化」で難なく持ち上げることができた。
そしてバサりと翼をはためかせ飛び上がった。
「んー?……こっち!」
先程黒づくめ達が逃げていった方向に飛んでいく。
そっちに逃げたのならきっと誰かしらいる所に行くだろうという適当な当たりをつけて。
ーーーーーーーーーー
空を飛ぶこと約20分、アリアは地上に名称:村と呼ばれるものを見つけた。
「とりあえず行ってみようかな」
初めて見る村というものにワクワクしながら村の中央に空いた広場に降りる。降りる途中で翼をしまったのでもし人間に見られても大丈夫だろう。
旅に出る時にお母さんが「普通の人間は羽の生えた人を見たらびっくりして逃げちゃうかもしれないから人間と会う時はちゃんとしまっておくのよ」と言ってたなぁーと思い出しながらその村で唯一明かりが点いていた建物に向かってみる事にした。
近くに行くと建物の中からギャハハ!とかゲラゲラ!という笑い声が聞こえてきた、中には何人かの人間がいるみたいだ。
(今度は翼出てないから逃げられないよね、うん)
扉の前でよしっ!っと気合いを入れてから中に入ると中にいた男達の睨みつける様な視線がアリアに突き刺さった。そしてアリアの姿を確認した途端にそれは下心満載のいやらしい視線に変わっていった。
「えっと、すみません、何かご飯とこの人を寝かせれる場所ってありませんか?」
しかしアリアはそれに気づかない。そもそもアリアは父親以外の男を見る事自体初めてで、そのような目で見られた事など生まれて此方1度も無いのだから。
そんなアリアに一人の男が近づいた。
「やぁ、お嬢さん、こんな野郎だらけのむさくるしい所にようこそ」
「あ、はい、ご丁寧にどうも?」
疑問符付きで返事をすると男達のツボにハマったのか一斉に笑いだし、アリアは首を傾げた。
「それにしてもこんな遅くに出歩くなんて危ないですよ?じゃないと俺達みたいなのに襲われて酷い目に会うんだからな!!」
男が叫ぶと他の男達が次々と武器を抜きアリアを取り囲んだ。
「殺されたく無かったら俺達の言うことを大人しく聞くことだ、まぁそっちのお姫様抱っこされてる情けねぇイケメンはぶっ殺すけどよ!」
そんな状況でアリアは少し考え込み何か分かったのか あ、なるほどぉー という表情でうんうんとうなづいている。
「つまり私は今襲われているんですね?!」
「この状況でそれ以外ある訳ねぇだろ!馬鹿かお前は!!」
「旅に出る前にお父さんは言いました……」
「あ?」
「『男に襲われたら全力で股間を蹴り上げろ!』と」
「ふざっけ……ぉう!?」
「まずは一人です。あんまり人間は傷つけたらダメって言われてたんですけどこれは正当防衛だから私は悪くありませんよね?」
「てめぇ、何しやがひゅっ…!?」
「ふたりめ〜。来るなら蹴りますよ?」
股間を目にも止まらぬ速さで蹴り潰され床に崩れ落ちた二人の仲間を見て取り囲んでいた男達全員が股間を守るように抑えた。
それらに寄らば蹴るぞと軽く睨むと男達はうっ…、とかひぇっ…、とか小さく声を上げて動かなくなりその場は膠着状態に陥った。
そして股間を抑える男達とそれを睨む女の子というなんとも微妙な場面のまましばらく経った頃、ずっとお姫様抱っこされていた美味しい人が目を覚ました。
「ん……、ぅん……、こ…こは……?」
「あ、おはようございます。ここは何処かの村っぽい所で今は見知らぬ男の人達に襲われてる所ですよ?」
「は…?」
目を覚ました美味しい人がここは?と聞くので教えてあげるとぽかんとした表情で止まってしまった。
あとついでに隙あり!と思ったっぽい男の人が突撃して来たから咄嗟に股間を蹴り上げて沈めた。
さんにんめ〜。
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それではまた次回に| ・∇・)ノシ♪