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藍色のポリバケツ  作者: 池田薫人
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第一章 2 『七海町とクローン収容所』



ここ、七海町は人口5万人の大きな町である。大きな町と言っても、畑や田んぼなどが沢山あり都会とは言えない。大きな田舎と言った方がしっくりする。建物は5階建のショッピングセンターが一つとレストランがいくつかあるだけで若者が好んで住むような感じでは無い。それとは別に一つだけ大きく不気味な建物がある。それは、


「クローン収容所……ねぇ」


育治は普段使用している通学路ではない道を通りながらつまらなさそうにそう呟いた。

近道を使うわけだからか余裕を持って歩いているようだ。前言撤回。少し走ったせいで息を切らしている。

2分弱真っ直ぐな道を歩いていると育治は足を止める。目的地に着いたからだ。


「さてと、侵入しますか」


近道と言うのはクローン収容所を突っ切って行く事により、学校にすぐ着くという。

収容所は鉄の網で壁が出来ているのだが、ある一箇所だけ網が破られている所がある。

近所の小学生が探検のつもりで開けて入ったのがそのままになっている。

しかし、その穴を通るには2m程ある壁を越えなければいけない。


「えーっと、そこのポリバケツでも踏み台にして登りますか」


育治はペットボトルの入ったポリバケツに転がっていた蓋をすると、その上に乗っかり塀の上に上がる。


「うぐぐ……。最近運動してないからかな……腹が…っと」


足を滑らすとポリバケツの蓋に当たり蓋が外れコロコロと倒れる。

這いずるように上がると穴の前に立ち、制服に着いた泥や汚れを叩いて落とす。


「ったく。本当に汚れるから嫌だよなぁ。また、クリーニングに出さなきゃ」


しぶしぶ文句を言いながら穴を潜ると後ろから首を掴まれた。


「んぐ?!」


後ろを振り返るが誰もいなかった。ただ、マフラーが金網に引っかかっただけだったのだ。しかし、玲子のマフラーがほつれてしまった。


「うわぁ……。なんて言い訳しようかなぁ……後で、学校で考えればいいや」


そう言うと、今度はマフラーが引っかからないように工夫しながら穴を潜り抜ける。

そして、潜った先には白い大きな建物が見えた。例えるなら体育館2つ分の大きさに倉庫のような建物やいくつか車やトラックなどがある。

そして、大きな建物の周りには木が植えてある。建物と木の間にはスペースがあるのだが、育治はそこに数人の男達を確認する。


「うぉ!作業員か!やば!」


男達の存在に気付いた育治は、近くにある木に隠れて様子を伺う。


「なんだあいつら?白衣や作業服を着てない所を見ると……外部の人間かな?みんな迷彩服着てるし…」


状況を整理した後育治はそのままコソコソと前へ進む。しかし、1人の迷彩服を着た男と目があった。

露骨に育治の顔が強張る。が、表情が怪訝そうな顔に変わる。

迷彩服の男達は追っても来ないし、育治に警戒する姿勢を保ちながら仲間内で相談しているようにも見える。侵入者を見たのならすかさず捕まえれば良いものを。


「……お?何だ追って来ないのか?じゃあ、そのまま行かせてもら……って」


相談を終えた男達が中腰のまま両手を広げ、一斉に育治へ向かって来たのだ。それも、足音が立たないように捉えにくる。

それに対して育治は顔を真っ青にして半狂乱に叫びながら収容所を走る。

すると、男達は追うのを辞めて元いた場所に戻り小さく身体を伏せる。


「あああああああああ!!!……ってあれ?」


不思議に思いながらも育治はその場を駆け抜け収容所を突っ切りもう1つの学校側への抜け道へ向かった。

そして、時間を確認して学校へ向かった。


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