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第三話 【ダンジョンマスター】

超短いww

 「私の名は……シド・ダイダロス。




  『ブローギン』にてダンジョンの管理を任されている【ダンジョンマスター】でございます」



 芝居がかった口調で男。

 オレはその名前を聞き、頭をガツンと殴られたような感覚に陥っていた。

 同時に眩暈と吐き気がオレを襲う。


 シド・ダイダロス(・・・・・・・・)、オレは彼を知っている。

 

 オレにとってそれは、忘れたくても忘れられない名だから。

 しかし、彼はオレの名は知らないだろう。

 

 (……今ここで知られるのは不味い)


 心の底から湧き上がる感情を必死に抑え込み、冷静に考えているような外見を演じる。

 


 「……どうしたのゼオン? 何かありましたか?」



 そんなオレをアリシアの声がより冷静にさせる。

 今ここに居るのは、ゼオン・アルケイン男爵なのだ。

 アリシアの隣で問題なんて起こせない、オレは何でもないと言うように首を横に振る。

 そんな様子にアリシアが微笑み、気になっているだろうことを質問してくる。


 

 「ねぇ、ダイダロスという家名はあの『ダイダロス』で間違いないの?」


 「ああ、あのダイダロスだよ」



 目の前に立つシド・ダイダロスの様子を観察しながら、濁した返事を返す。

 かの『始原の迷宮』を作り出したダイダロスの話は、子供でも知っているおとぎ話だ。


 その内容はこういったものだ。



 代々大工に関する血統スキルを受け継ぐ貴族、ダイダロス子爵。

 そんなダイダロス家に一人の天才が生まれた。

 その名はフォーレン・ダイダロス、彼は血統スキルに加え大工としての優れた才能を持っていた。


 彼は家を作り、城を作り、そして街を造った。

 しかしどんなに優れたものを造ろうと、彼の心は満たさせない。


 そんな満たされない心を埋めようと、彼は一つの狂喜にはしる。


 それは彼が創り出し、報償として与えられた街の改造。

 住民が静かに眠る毎晩に彼は一時も休むことなく、己の力を証明するように腕を揮う。

 そして何千回目の太陽が沈んだその時、悲劇が起きた。


 街に住んでいた人々を突如、どこからともなく現れたモンスターが襲いだしたのだ。

 そのモンスターは、ミノタウロス。

 【上級】の力を持つ、牛頭人体の強力なモンスターである。

 

 しかし、そのミノタウロスはただのモンスターでは無かった。

 力任せに暴れるミノタウロスに致命傷を与えると分裂(・・)したのだ。

 【上級】モンスターであるミノタウロスが死ぬことなく、戦うたびにその数を増やしていく。

 後に【戦略級】と格付けされたミノタウロスは、一晩で町中の人々を殺しまわった。

 これこそ後の世に伝わる、悲劇の一夜。

 

 街をダンジョンに造り替えた、【ダンジョンマスター】フォーレン・ダイダロスの話である。

 


 誰もが知っているおとぎ話……だがダイダロスの家名を持つものにとってそれは身内の恥である。

 故に、その話をダイダロス家の者の前で話すのはタブーなのだが……この男はあまり気にしないようだ。

 目の前で『ダイダロス』の話を持ち出したアリシアをニコニコと見つめているのだから。



 「シド殿、貴方はブローギンの【ダンジョンマスター】と言ったがそれに間違いはないか?」


 「ええ、もちろんです。私は許可なく街から出られはしませんよ」



 シドはオレの確認を証明するかのように、手首につけられた黒い腕輪を見せてくる。

 これこそが【ダンジョンマスター】であるダイダロス家の者につけられる制約。


 【ダンジョンマスター】という強力なジョブとスキル、そしてかつての大犯罪者フォーレン・ダイダロスの仕業から国に仕える【ダンジョンマスター】にはいくつかの制限が付く。


 一つは自由な街からの移動の制限。

 

 一つにスキルや魔法の制限である。


 ダンジョンの管理人として雇われることが多い【ダンジョンマスター】は誰もがこの制約を受ける事になる。

 逆に言えば、それほど【ダンジョンマスター】というジョブは強力なのだ。

 だが今回の依頼においてシドほど適した人物はいない。

 


 「シド、君に指名クエストを頼みたい」


 「フフ、受けよう。その依頼」



 こうして物語は着々と針を進めていくのであった。

 

明日、忙しいので簡易投稿。

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