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トケナイ氷  作者: 朱手
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第V章戦前のナイト 11話・準備

更新遅れてごめんなさい。

なかなか、大学の環境に慣れなくて。

これからもトケナイ氷をよろしくお願いします。


 乾燥した洞窟の中、酒臭い男達は眠っていた。

 そこにいないのは三人だけ。スティール、フォート、ガス。

 フォートとガスは自室で休んでいた。

 だが、スティールは一人洞窟を出て、砂帝いやカナスのいる王宮が見える高台で目を凝らしていた。

 風の妨げになるものがないこの高台では強い風が感じれた。

「……そろそろだな。」

 スティールは決めた。

 明日の朝早くにカナスを砂漠の宮殿から剥ぎ降ろすための作戦を話そうと。




 イザラが目覚めたのは案外早い時間だった。

 まだ寝ている皆をまたぎ、新鮮な空気を吸おうと洞窟から出る。

 心地よい朝日を浴びながら、イザラは深呼吸する。

「早いな!」


 振り返るとそこにはスティールが座り込んでいた。

「スティールさんこそ早いですね。」

「早いも何も、俺は寝てねえよ。」

「えっ、どうしてですか?」

「必ずこの入り口には見張りを置くようにしてる。

そんで宴の後は必ず俺が見張る。」

「そんなの下っ端にさせたらいいじゃないですか。」

「頭ってのはそれぐらいしかやることねぇから、別にいいんだよ!」

 スティールは笑いながらそういうと、立ち上がり土を払う。


「皆が起き出したら、ガスとフォートを連れて俺のとこに来てくれ。」


「? わかりました。」

 どんな用事だろうかと悩んでいるといつの間にやらスティールは消え、イザラだけが残っていた。


「なんだろ?」


 風のせいか、葉が静かに擦れ合う。



 イザラは自室に戻っていた。

 そしてトラクトからもらった呪歌が沢山載った厚い書物を眺めていた。

 呪歌は歌詞やメロディよりも相手に対する思いや意志のほうが大切だから、別にそのような物を見る必要はないがイザラは見ていた。

 載っているのはどれも敵に対する怨み辛みばかりで、気分が滅入っていく。

 パラパラと数ページとばしてみると、そこに目につく一節があった。

 「−麗しき姉上よ

   勇しき兄上よ

   賢しき兄上よ

   この地にある

  冷酷なる吹雪より

  狂乱なる雷雲より

  残忍なる毒霧より

    護り賜え

    その面で

    その鋼で

    その爪で

この世に 救う その手を−」


 それは神に対する加護を祈る言葉だった。

 神が詞の中に出ることは少なからずあるが、そのどれも高等なものである。

 今のイザラの実力には不似合いなものだが、彼女はそれに惹かれていた。

「まだ使えないかもしれないけど、覚えておこ。」

「何が使えないんだ?」

 いつからかフォートがドアのそばに立っていたようだ。

「なんで、ここの人達は背後から話しかけるかな。」

 ブツブツと怒り混じりにつぶやく。

「で、それはなんだ?」

 中に入って来て、呪歌の載った書物を覗き込む。


 それを見たフォートは、スペルか、いや…とつぶやくもそれが呪歌だとは思いもしないようだ。

 イザラは手荒くそれを閉じるとフォートの方を向く。

「何か用ですか?」

「別に。たまたまこの部屋にだけ明かりが灯っているのが見えたから。」

「用がないなら、出ていってもらいません?」

「なんだ?やけに不機嫌だな。」

「それはこの間―」

「なんだ、あのこと気にしてたのか?ちょうどいいや。」

 フォートの表情は子供のような笑顔から、蛇のような笑顔に代わる。

「その続きをしようよ。」

 その一言で、部屋の雰囲気が完璧に変わった。

「話すことなんてありません。」

 イザラは目を背けながら、断る。

「まあ、今はいいや。

まだ大丈夫だし。」

 部屋の雰囲気が元に戻ったのを感じると、フォートをもう一度見たが、意味のわからない発言をイザラは無視する。

「あっ、そろそろ皆が起き出したな。」

 フォートのセリフにスティールを思い出した。

「そういえばスティールさんが呼んでましたよ。」

「ん?オイラだけ?」

「いいえ、あと私とガスさんも。」

「なら、オイラはガスを迎えに行ってから行くよ。」

「わかりました。」

 イザラはフォートが出て行くとすぐに自分もスティールの待つ隣の部屋に行った。




「おう、来たか。まぁ、適当にしてくれや。」

 イザラは1番きれいそうな隅の木箱の上に座った。

 そのあと、すぐにガスとフォートも来て、それぞれ好きな所へ座った。


「呼んだのは、三人にちょっと頼みたいことがある。」

 三人はスティールの言葉に集中する。


「砂に攻め込まないか。」





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