第I章女王とナイト 7話・契約“魂”一
集え 騎士達よ
守れ 国を 民を
騎士の誇りを
闘え 愛する者がいるかぎり
我等騎士は 帝のために
天を突け 山を砕け 海を割れ
己の全てを賭けて−−−
□ □ □
サーは未だ、シードと話をしていた。
「ところでそなたはまだ契約をちゃんとしてないみたいじゃが、今からしに行かないか。」
「今からですか?シード様。」
「善は急げと言うじゃろが。
ほれ早く行くぞ、付いて参れ。」
シードは滑るように王宮の中を走って行った。
サーはシードを追い駆けて行くと魔法陣の描かれたとても広い広間へと出た。
その部屋に描かれている魔法陣は二つの円を交わらせ、
さらにその中に小さな円が一つずつあり、その一つが獣の“肉”“魂”“力”を表していている。
そしてもう一方が人の“肉”“魂”“力”を表しているのはサーにも一目でわかった。
「ほれ、分かるじゃろ、はやくそなたのパートナーを呼び出せ。」
シードは魔法陣に魔力を流し込む準備に取り掛かっていた。
「ハ、ハイ、シード様。 ―ルプス― 」
サーは言われたとおりにルプスを呼び出し
ルプスは獣の円の中心へとゆっくり歩いて行った。
「サー、私との契約は簡単ではないぞ。気を抜くな。」
ルプスはサーに忠告をすると、サーの顔付きを見てすぐに円の中へ入っていった。
「ほら、そなたも早く入れ。」
サーは急いで円の中へ入った。
「そなたの剣を代償に契約を行うから、剣を出せ。」
「えっ、でもそうなると俺の武器が……。」
「心配するな。契約に成功すれば全て丸く収まる。
それにそなたとその獣が共に歩んできた道程を知っているモノを代償にした方が、そなた達が繋がりやすくなるのじゃ。」
「?。分かりました。シード様。」
サーは少し疑問を残しながら腰に挿していた剣を抜き、シードに渡す。
「では、始める。」
そうシードが言うと魔法陣が光だし、スペルを唱え出す。
「―我が名のもと
陣の“ヒト”と“ケモノ”に
“魂”の繋がりを “肉”の繋がりを “力”の繋がりを 授けよ
“魂”は鋭き刃を齎し “肉”は舞う肢を齎し “力”は貫く晶を齎す
今 血を交わし 心の欠片を代償に
ヒトはケモノに誓え ケモノはヒトに誓え
永久に 互いの身が滅ぶまで
“魂の契約”―」
シードが唱え終わる時、サーとルプスの魂はもうこの世界からはなくなっていた。
二人の魂は自身の肉体を残し、名もない時限も空間も乱れた世界へ……