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トケナイ氷  作者: 朱手
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第V章戦前のナイト 1話・作戦会議

これから“トケナイ氷”第二部が始まります!!拙い長文ですが、出来れば暇な時に読んでやってください。あと、序章の感想などをいただけたら感激です。

 プレート“ジェイラー”の中心にある国、聖都。

 そこに集まる王や鍵番、そして帝。

 

 その昔、プレートを二つに別けた戦争“スピリット・ウォー”が終結した時にここで、ある言葉が誓われた。


 今ではその言葉を知るもの、記された書物はないだろう。


 それを言ったのは三人のナイト。

 アシュラ、インドラ、エンラ。

 その戦争を勝利へ導いた三人だ。


 人々は三人をこう呼び讃えた。

 アシュラを阿洙羅と。

 インドラを印呶羅と。

 エンラを焉羅と。


 しかしある日、三人は聖都より繋がると言われている海の界、天の界、山の界へと自身を閉じ込めた。

 それから三人の姿を見た者は誰ひとりといない。

 誰も彼らを見なくなった頃より、三人は神として奉られるようになっていった。


 神々は今も―――




 □ □ □




「何故わからんのじゃ!!」

 氷帝は砂帝に怒鳴った。

 今回龍の襲撃があったのは氷帝領、雷帝領、聖都領だけだった。

 鍵番は国内や家系で継ぐのでは無く、個人が認めた者に継がせるという仕来たりがある。


 そのため、たまたま砂帝領には鍵番がいなく、龍の攻撃を避けることが出来た。

 そして今、龍に襲われた氷帝と雷帝は襲われなかった砂帝に薬を分けてくれと頼んでいる。


 砂帝領には“毒の国”という国がある。

 それは薬用効果がある草木がたくさん育ち、薬学技術、医療技術がともに高いため、プレート上全土の薬はほぼここより造られている。


 それゆえの頼み、なのに砂帝は首を縦には振らなかった。

 いや、振らせてもらえなかった。


 今の砂帝は人形。

 後ろに立つ、現騎士団長“カナス・メルバ”に操られているだけの人形。


 氷帝の後ろには見習いナイト“サー・クライフ”が立っている。


 氷の国現騎士団長はサン・トラクト。

 本来ならここにいなければならない彼は龍との戦闘で負傷し、病院に搬送された。

 そんな彼を連れて来る訳にはいかず、シードは近くにいた見習いナイトを連れて行くことにした。


 サーはカナスのことを知らないが、氷帝はイザラより聞いている。

 睨む。 今回のこともカナスが一枚噛んでいると疑って。


「仕方ない。薬は最低限量だけだが龍との戦闘があった国には送っておきます。」


 ついに砂帝、もといカナスが折れた。




 その後に話し合ったことは現在確認できている戦力、今回の襲撃による被害の大きさ、戦争時の戦力のバランス、その他金銭的な話などをされたがあまり実りある話と言えるものはなかった。


 しかし武器の支給はテス、つまりウィザード・ウェポンが大半を賄ってくれると言ってくれた。


 ウィザード・ウェポンの本社は龍に壊されてしまったが、テス以外の怪我人はおらず本社にあるものは他店舗にも必ずあるらしく被害は小さいみたいだ。


 一年後にある戦争。


 今は夏から秋に変わろうかという季節。

 後三回だけ会議は開かれる、秋と冬の間、冬と春の間、春と夏の間に。


 残された時間で各国の課されたことは、ナイトの養成。


 闘いに勝つために必要な材料だ。

 作戦などは次の会議になるがこれだけは今すぐにできる。


 聖都の王が会議が終わったので食事を用意してくれた。

 食事というよりはパーティといったほうが正しいかもしれないが。




『サー!久しぶり。元気か?』

 元気良く背後からフィネラルが抱き着いてきた。

「久しぶりです、フィネラルさん、マガさん。」

 サーは腰に抱き着いている手をとり、恥ずかしそうにゆっくり引き離す。

 それを見たマガも恥ずかしそうだった。


『サー、やっぱり綺麗。』

 とろんとした目でサーを見つめる。

「フィネラルさんも綺麗ですよ。」

 今日のフィネラルは淡いピンクのドレスを着ており、その白い肌にはよく似合っていた。


「わらわには挨拶もなしか?」

 二人の間にシードが割って入る。

『なんだ?チ――』

「気付かなかっただけだよ。ハハハッ。

こんにちは、シードちゃん。」

 明らかに悪口を言おうとしたフィネラルの口をマガが手で覆いながら、子供扱いした挨拶をした。


「フンッ行くぞ、サー!」

 子供扱いされたのが気にくわず、プリプリ怒ってしまった。

 そこが子供なのに。

「あっ、また後で!」

 シードは、マガとフィネラルに手を振るサーを、引っ張っていった。


「久方振りだな、ベル。」

 今度はシードから近付いていった。


「!! こ、こんにちは、シードちゃん。」

 ベルの目が泳いでいる。

「もう、あのこと、は怒っていないぞ!」

(うわー、怒ってるよー!!)

「で、この席に来ていない招待者のことじゃが、ブラッドはどこへ行ったか本当に知らないか?」


「ブラッドさん?あの人なら本当に突然いなくなっちゃったよ。」


「龍達もブラッドが見つけられず、テスの所に大量に来る始末だ。」

「魔力も辿れないの?」

「痕跡があったのは風の国の山まで。

そこで二つの魔力と遭遇したあとに急に追えなくなった。」


「………もしかして誰かに?」

「それなら闘った跡が残る。」

「うーん。そっか。」


「今回の戦争にも戦力としては考えないようにしよう。」

「うん。あっそうだシードちゃん!後でお願い事があるから聞いてね。」

「イヤ、面倒――」

「ありがとう。パーティーが終ったらね!」

 ベルは言うだけ言うと、逃げるように人混みの中に入っていった。


「ふー、サー。ちょっと付き合え!」

 シードの後ろにくっついて歩いていたサーはもちろんとついていった。


 二人はバルコニーに出た。

 風があるせいか人は二人だけだった。

「実は、」

 シードが話し始める。

「トラクトが負傷した。」


「エッ!!」

「テスを襲いに来た龍は倒したんだが、その後に龍の王を名乗る敵にやられたみたいだ。」

「負傷ってことは生きているんですよね?」

「あぁ、たぶん命は大丈夫。

けど、両足は失しなった……。」

「………。」

「ナイトとしてはもう無理じゃろ。

が、トラクト本人がお前の修行をしたいと言ってきた。」

「………。はい。」

「ただ、お前には修行の他にもうひとつやってもらうことがある。」


 シードの目がイヤに光る。

「砂帝をスパイしてもらう。」







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