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トケナイ氷  作者: 朱手
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第III章指輪とナイト 12話・契約“肉”一

二話同時投稿です



「えっ、そんなこと急に言われても困りますよ!」

 サーはテスの突然の言葉に戸惑いを隠せなかった。


「ほら、そんなこと言ってないで!

トラクトさんに許可を取るのが道理だけど、きっとあの人なら分かってくれるわ。」

 最後の言葉はサーにというよりテスが自身に言い聞かせるために言ったようにサーには聞こえた。


「そんなに俺は危ないんですか?」


「ハァー、分かってないわね。」


 テスはさっきの部屋から持って来たのか空っぽのティーカップをどこからか取り出し机の上へ置く。

 それに手を翳すと水が溢れそうなくらいにまで注がれていた。


 それをテスはサーの顔におもいきっりひっかける。

「その髪の毛を見ればわかるでしょ?」


 テスの強引だが手っ取り早い方法によって水のかかった部分の髪は伸び、顔の水も皮膚から少しだけ吸収される。


 このことについては異様だとサー自身も薄々感づいてはいた。


「………わかりました。

やるなら早めにしましょう。」

 サーはそう言うと立ち上がる。


 テスはサーの言葉に満足そうな笑顔を浮かべる。

「じゃあ、ちょっと待っててね。

今すぐに魔法陣描くから。」


 胸ポケットに手を突っ込み、銀に輝く執陣筆を取り出すと蒼い魔力のインクで描きはじめる。




「出来たわ。」

 そうテスは五分としないうちに言い、魔法陣にサーを立たせる。


「―ルプス―」


 パートナーを喚ぶと、ルプスは部屋を一目見ただけでこれから何をするか理解出来たみたいだ。


「サー、魂の時同様、油断していると死ぬぞ。

気を抜かずにいけ。」

 それだけ言い残し、後は大人しく陣の中へと入って行った。


「サー、あなたの髪の毛一本もらえるかしら?」


「いいですよ。」

 根っこから一本髪の毛を引き抜く。

 抜かれた髪は氷からは解け、長く白く輝いていた。


「髪なんてどうするんですか?」

「代償よ。

一種の風習みたいなものだけどね。」


 もう一度、二人の立ち位置を確認するとテスの口が開く。


「では、始めましょうか。

  ―我が名のもと

 陣の“ヒト”と“ケモノ”に


 “魂”の繋がりを “肉”の繋がりを “力”の繋がりを 授けよ


 “魂”は鋭き刃をモタラし “肉”は舞う肢を齎し “力”は貫く晶を齎す


 今 血を交わし 躯の欠片を代償に

 ヒトはケモノに誓え ケモノはヒトに誓え


 永久に 互いの身が滅ぶまで 


 “肉の契約”―」







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