表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トケナイ氷  作者: 朱手
16/79

第II章騎士団とナイト 7話・不死



 『まぁ、慌てるなよ。』


一つの声がただただ響いていた。

小さな火の鳥が舞う中に。


火の鳥は一カ所に集まりだした。


「アラアラ、生きていましたか“不死の紅き騎士”さん。」


「一応、不死だからな。」


「ブラッドさん、良かった生きてて。」

サーはブラッドの無事を確認して剣を納めようとした。


「サー、敵はかなりの魔法使い。

敵の得意魔法は砂と水で俺と相性が悪い……だから…その……。」


「分かりました。

俺も一緒に闘います。」

サーは納めかけた剣を構え直す。


「アラアラ、死ぬ人がまた一人増えたみたいね。」


「サー、お前はあの女の動きを止めろ、俺は少し時間がかかるが強力な魔法を放って一発で仕留めてやる。」

「ハイ!」


ブラッドはスペルを唱えだし、サーはポケットから水火の壺を取り出し、スペルを唱える。


「―“一は始”

  生を与える熱は−−

「 ―地を賁るは

    千の影

   月にうつるは

    万の牙

   敵を縛めよ

  “千狼万牙”―」


「アラアラ、あなた程度のナイトの魔法など。」

女が素手で狼の形をした氷を薙ぎ払うと女の手が凍り付いてしまった。


「アラアラ、もしかしてあなた“ナイト∀”?」

女は凍り付いた方の手を庇いながら狼を避ける。


「俺はただの“ナイトD”だよ。

しかも、今日初仕事!」

狼に紛れながら敵に近付き、切り付けた。


女は氷ノ血ノ剣を受け止めた、砂の魔法で簡単な篭手のような物を着けたがあまり意味はなく、氷ノ血ノ剣に血が滴っていた。


「アラアラ。あなた、私を倒せたらきっと“ナイトB”ぐらいまでなれるわ、倒せたらね。」

それだけ言うと女は狼によって凍り付けにされていった。


「ブラッドさん!」


「−−“十三は終”

  死を焼く炎は

   色を焼く

  全ての罪を償え

   “天爆円火”―」


凍り付いた女に向け大きな輪状の炎を放った。

するとすごい爆発音が響き、砂煙が立ち込めた。



『アラアラ、今のをまともに喰らったら私も死んじゃったわね。

今日のところは退いてあげる。

あなたたちとても素敵だったから。特に髪が凍り付いたナイトさんはまた何処かで遊びましょね。』


声だけ響いていたが、次第に声さえも聞こえなくなっていった。


サーはその場に座り込んでしまう。

「サー、まだ仕事中だ。

行くぞ。」

ブラッドはサーと共に灯台まで警戒しながら歩いて行った。




「フォッ、フォッ、遅かったのぉ。」


灯台の入口に灯台の管理人らしき人と一緒にトラクトが座っていた。


賊の上に。


「師匠!大丈夫でしたか、あの大人数相手に?」

サーが無駄な心配をしているのを聞いてブラッドやトラクトだけなく、灯台の管理人まで笑っていた。


「そんな心配をしている暇があれば自分の心配をしていろ。」

ブラッドは少し意地悪に言う。

「ブラッドさん。

そんな言い方しなくても彼は彼なりにがんばって荷物に傷一つ付けずに届けてくれたんだし、ね。」

灯台の管理人は親切にもサーをフォローしながら荷物を木箱から取り出す。


出てきた荷物は魔法陣の描かれたとても大きな電球だった。


「大きな電球ですね。

灯台の電球って。

この魔法陣はどういう効果があるんですか?」


サーは魔法陣を指でなぞる。

すると急に光がつく。


「それはどんな魔力でも光に変えるというただ単純だけどとても高度な魔法陣なんだ。」


「へぇー、これがか。」

とブラッドはじっくりと魔法陣の造りを観察しながら管理人と語りだした。



「ところで、おぬしたち捕らえた賊はどこじゃ?

あっちに置いてきたのか?」


「エッ?逃げられました。ね、ブラッドさん。」

サーがブラッドのほうを見るとそこにはもう姿はなくなって管理人しかいなかった。


「逃がしたじゃと、フォッ、フォッ。」

笑ってはいるが目は怒っている。


「それはナイトとしての自覚がない証拠じゃ!

罰としてこいつら全員を氷の国まで運んで行け。」


「そ、そんなあんまりです。」


「何を言うか!

賊の逮捕はナイトとして当たり前の行動だ。

それをせずに何を抜かすか!!」


「ウッ、それは……。」


「ホラ、早く持って行け!」


「……ハイ…。」

サーは来た道のりをさっきよりも重い荷物を下げて帰って行った。


「フォッ、フォッ、がんばれ。」


トラクトがサーに気付かれずに荷物のてっぺんに乗っているのは秘密です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ