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トケナイ氷  作者: 朱手
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第II章騎士団とナイト 6話・賊

「お久しぶりです、トラクトさん。」


「おぬし達は……もしやナイトだった者とナイトになれなかった者達か?」


「おぉ、お気付きになられましたか。」

賊達は武器を構え出す。

「くだらないことをやっている暇があるのなら逃げる準備をしたらどうじゃ?」


「フフフッ、確かにナイト落ちの者達とナイトを辞めさせられた私達があなた達三人と戦って勝てるはずがありません。

けど、戦力を半分に分けたら?

特に氷の髪のナイトなんて紅い髪のナイトの足を引っ張っているのがまるわかりでしたよ。」

「フォッ、フォッ、確かに奴はまだまだ未熟じゃ。

じゃが、おぬし達に負ることは万が一にもない!」


「ナッ、このボケたジジィーが!

殺るぞ!本気で掛かれ!敵はΣ“全てを統べる者”一人だ!!」




 □ □ □




「やるぞ、サー!!」

サーは荷物を下ろし氷ノ血ノ剣を構えた。


「サー、お前は荷物を守れ!

ハッハー!いい機会だ、お前に格上の戦い方ってやつを教えてやる!!」

ブラッドはそう言うとスペルを唱える。

「―ホルアクティ―」


するとその両手には一対の剣が握られていて、更にスペルは続く。

「 ―我が従士と結ぶ

   三つの契約

 “魂”“肉”“力”

   “魂”よ

  我に鋭き刃を齎せ

   “肉”よ

  我に舞う肢を齎せ

   “力”よ

  我に貫く晶を齎せ

  ホルアクティ―」


唱える終わるとブラッドは炎に包まれていった、闘技場の時のように。


「よーく見ておけよ。」


木陰から出て来た賊達も慌てて魔法で攻撃したり、矢を射たりした。


だが、ブラッドは避ける動作一つせずにただ立っていた。


すると、攻撃を喰らった部分がさらに燃え上がり、躯が小さな火の鳥になって散り散りになっていったが一つに集まりブラッドはさっきの様子と何一つ変わらずに立っていた。


「何だ?今のでビビったのか?」

図星だった。

実力の差からか何人かの賊は逃げ出す始末。


「ケッ、腰抜けが。

残りをやるか。」


スペルを唱え始める。

「  ―地獄に咲く

    花の色は

   血の涙の色

  その色にうつる

    全てを

   焼き尽くせ

   “花葬火”―」


「―The mermaid lives in the sea,

and the mermaid attacks the person in a wave for the revenge of a friend destroyed by a person.

The scale of the mermaid is a color of the seas.

"The curse of the mermaid"―」


「ナッ、古代魔法エイシェントスペル?」


賊の誰かが放ったエイシェントスペルはブラットの放った魔法を掻き消してしまった。


「アラアラ、皆負けちゃって……。」

灯台の方向からフードを被った女が歩いてきた。


「アラッ、あなたは“四ノ鍵番”の一人、“不死ノ紅き騎士”さんですね。

私は旧“砂帝”軍ナイトAの者です、以後お見知り起きを。」


(逃げたんじゃなく仲間を呼びに行ったか……厄介だな。だが…)

「旧…か。

なら、国際問題にもならねぇな。」

ブラッドは双剣を構えながらニヤリと笑う。


「アラアラ、まさか私と戦おうと言うのですか。

あなたでも怪我とかでは済みませんよ。」

旧砂帝軍ナイトと名乗る女は勝利を確信して武器一つ構えるそぶりすらしない。


「ブラッドさん、俺も手伝います。」


「てめぇは黙ってろ!

コイツは俺がヤる!

なめやがって!!」

ブラッドは剣を振り下ろしながら女に襲い掛かった。

だが、もう女はそこには居なく、ブラッドの剣は虚しく地面を焦がしていた。


「アラアラ、私はこっちよ。」

その細すぎて骨々した手をヒラヒラと振ってブラッドを馬鹿にする。


「チッ、仕方ないか。」

するとブラッドは自らの炎に包まれた。

その炎は優しく、美しく、燃えていた。

燃え尽きると現れた姿は少し変わっていた。


「待たせたな。本気でイカせてもらう。」


三対の翼は美しくブラッドの背中で大きく羽ばたいた。

その翼の色は紅。その羽一本一本が誰かを刺し殺した後のナイフのような残酷な色をしていた。


「アラアラ。すごい魔力ね。

でもそんな姿になったからといって意味はないのに……。

これでも喰らいなさい!」

地面から砂の針が飛んでくる。


「無声スペル(ノースペル)だと!?」

ブラッドは翼を盾にして防いだが貫通してしまった。


「アラアラ、血が出てるわ。

今からでも遅くないから降参したらどう?」


「ふざけるな!!!」

ブラッドもノースぺルで火の散弾を放ち、敵を捉えた。

「ハッハハハー!

調子に乗るか…ら……。」

ブラッドが笑いながら撃たれた女を見ていると女は砂になって崩れてしまった。


「―Sand must become an arrow.

Water must become a bow.

Shoot on power and shoot the enemy additionally.

The hell of the arrow falls like rain.―」

「ま、まずい!」

地面から何千という槍のように大きな砂の矢が放たれてブラッドの反応は間に合わず……。


「ウッ、クッ……ソが。」

ブラッドの体に何本か矢が刺さってその場に倒れ込んでしまった。


「アラアラ、本当に死んじゃったんじゃないかしら?」

地面から女が出て来た。

その様子を見てサーは。


「オバサン!

よくもブラッドさんを…。」


「アラアラ……誰がおばさんだ。」


サーは氷ノ血ノ剣を強く握り、女に切り掛かろうとしたら。




「まぁ、慌てるなよ。」

一つの声がただただ響いていた。



小さな火の鳥が舞う中に。






エイシエントスペルの和訳は

「人魚は海に住んでいて、

人魚は人によって滅ぼされた友の復讐のために波で人を襲う。

その人魚の鱗は海の色。

“人魚の呪い”」

「砂は矢となれ。

水は弓となれ。

力をあわせて、敵を射ぬけ。

矢の地獄はまるで雨のようにふる。」

です。

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