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トケナイ氷  作者: 朱手
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第II章騎士団とナイト 2話・ゴーレム

作戦1・敵全体に攻撃をし力を初めに崩す。


作戦2・全体の動きを封じ込める。


作戦3・弱い者から順に倒す。


※アッシュは援護のみで

サーが主な攻撃




 □ □ □




(こんな曖昧な作戦でいけるのかな?)


 サーは今から始める戦いに不安と緊張を持っていた。


「フォッ、フォッ、サー。そう気を負うと良い動きが出来なくなるぞ。」


 先手必勝という文字がサーの頭の中を過ぎった。


 そしてポケットに手を入れ水火の壷を取り出し、先程入れたばかりの水をスペルを唱えながら放った。


「  ―流れる雫

  映る月は人魚の鱗

    荒れる波

  昇る泡は龍の珠

    充ちる汐

 支える渦は綿津見(ワダツミ)の腕

   欲するは“腕”

   “水戒の陣(スイカイノジン)”―」


 サーの手を自身の胸より高く掲げると流れ出た水が手の形をして現れた。


 そのまま水の左腕で砂のゴーレムを殴り、

泥のゴーレムを捕まえ、


 右腕では岩のゴーレムを捕まえた。


 そしてまたスペルを唱える。

「  ―うつるは

     月

    崩すは

     刃

    留めるは

     白

   全てを月に

    “波紋”―」


 唱え終わると、水の手に捕まえられてた泥と岩のゴーレムは完全に凍り付き砂のゴーレムは一瞬全身凍り付いたもののすぐに魔法を破り動き出した。



 □ □ □



「フォッ、フォッ、やるのう。あの小僧、二重呪文デュアルスペルか。」

 トラクトは近くの木の下で見物していた。


「そうだな。師匠。」

 ブラッドもいつの間にかトラクトの近くの木の上で見物していた。



 □ □ □



「  ―ルプス― 」


 サーの手には氷の血の剣が握られる。


 そして、砂のゴーレムに切り掛かりに行った。



 □ □ □



「なんじゃ?なぜ、接近戦に持っていく。」


「師匠、きっと魔力が無くなったんだろ。

デュアルスペルは消費が激しいから。」



 □ □ □



 砂のゴーレムは何度切られても元に戻ってしまいサーの体力だけが減っていた。


(くっ、何か手はないか。このままではやられる。)


 すると急に砂のゴーレムが崩れ始め辺りに砂が撒き散らされた。


「えっ?倒したのか?」


 サーは何が起こったのか分からず、剣を構えてはいたが気を抜いた瞬間。




 大きな衝撃がサーを襲った。


 なんと、砂が槌の形になりサーを背後から襲ったのだ。


 殴られた衝撃によりサーは転がり、その時ポケットから何かが転がり落ちた。


 それは転がり、ゴーレムの方向を向いて蓋が開いてしまった。


 すると、槌の形をしたゴーレムとゴーレムの一部だった砂全てをそれは吸い込んでしまった。


「へぇ、こういう使い方も出来るんだ。水火の壷って。」



 □ □ □



「何ー!まさか接近戦でゴーレムを倒してしまうじゃと!」


「彼は合格で良いんじゃないか?なかなか見所はあるし。」


「いや、まだ一体動ける奴がいるぞ。」

 そう言うとトラクトは手を軽く動かし何かを振り払うような動作をする。



 □ □ □



 サーは勝てて、ホッとしていた。


 しかし、それもつかの間、ピシピシという音が微かに鳴り響くかと思えば、なんと岩のゴーレムが動き出そうとしていた。


「えっ、溶けた?

こうなったら

―ルプス―」


 サーはルプスを呼び出した。

「なんだ、ゴーレムが相手か。

お前もゴーレム相手に苦戦しててはまだまだだな。」


 ルプスはそう言うと魂の契約の時のような氷の角を出した。


「まだ、完全ではないがこの程度の相手なら、大丈夫か。

私が奴を仕留めてやる。だから援護しろ!」


 ルプスはそう叫ぶとゴーレムに突っ込んで行った。

 それを見てサーは慌てて残りの魔力を限界まで使いスペルを唱える。


「  ―地を賁るは

    千の影

   月にうつるは

    万の牙

 敵を縛り(ツム)ぎ合わせ

  “千狼万牙(センロウバンガ)”―」


 ゴーレムの周りの砕けた氷が狼に代わり、二匹がゴーレムの肩を攻撃させ腕をもぎ、残りの狼がゴーレムの動きを封じた。


「  ―氷閃角(ヒセンカク)―」

 ルプスがそう唱えると、眩い光が賁りサーがまばたきをすると、次の瞬間にはゴーレムの腹にとても大きな穴が空いており、さっきまで動いていたゴーレムは崩れ落ちていきただの石のかけらの山になってしまっていた。


「用は済ませた。

私は還るとする。」


 そう言いながら還るルプスをサーはありがとうと礼を言って見送った。



 □ □ □



「あらら、ゴーレムが三体ともやられてしまったか。

(サンド)は吸い込まれてしまって、

(マッド)は自らの水分プラス相手の水分で身体の芯から凍らされ、

(ロック)は凍らされ、脆くなっていたとはいえども、完璧に砕かるれとは。」


「きっと彼はさらに強くなる、な、師匠。」


「今が未完成なのにあの強さ。

きっと完全に魔法を支配することが出来たら“四ノ鍵番(ヨンノカギバン)”以上の力になる。


フォッフォッ、鍛え上げるかいがあると言うもんじゃ。」


「フンッ、相手をするのは俺なのによ。」


「あのー、倒しましたよー、二人ともー。」


 二人の先達者にまだまだ未熟な白髪の少年は傷だらけの体を引きずるように歩きながら近づいて行った。





最近更新速度遅くてすみません。

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