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トケナイ氷  作者: 朱手
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第II章騎士団とナイト 1話・師匠

「……のためのちからだ……いったい何のための力なんだ。

ルプス、おいルプス、魂も肉も何もかも、何もかもやる…


だから…だから…

俺に力を――」


 お前には私に渡す魂などもうないというのに。


 人は何故こうも力しか求めないのか。


 魂があるから、肉があるから一つなのだから


「はやく、はヤくちカラを――

チカラヲ―


チ…カラ……――」



「―ん。

サーさん。

もう朝ですよ。」


 医務室の看護士がサーのことを起こしてくれていた。

 サーはガバッと起き上がる。


「夢?あの男、契約の時の男に……いや、考え過ぎか。」


 サーは夢の事を考えていると、昨日交わしたシードとの約束を思い出し準備し始め、大忙ぎでシードのもとまで走って行った。




 □ □ □




「ハァハァハァ。

シード様ただいま、参りました。」


 サーは乱れた呼吸を整えようと深呼吸する。


「来たか来たか。

そなたが逃げ出したのではないかと三人で話していたところじゃ。

のう“サン・トラクト”・“アッシュ・ブラッド”。」


 シードに名前を呼ばれると二人は出て来た。


「これが噂の少年ですな、シード様。」


 初めに話し出したのは小柄な髭面老人の“サン・トラクト”と言われた人だった。

 もう一人のアッシュ・ブラッドと呼ばれた赤く長い髪を後ろで一つに結んでいる人はじっと黙って立ったままだった。

「そうじゃ!

早く行って修業をしてやってくれんか。

コイツは力はあるが完全にはまだ扱えてないからのう。」


「はい、分かりました。」




 二人の会話が終わるとトラクトはサーの手を引っ張り、部屋を出て行った。


(なんて握力なんだ!)

「おじいさん、俺一人で歩けますから、その手離して下さい。」


 トラクトは急にサーを睨み、怒鳴る。

「誰がおじいさんだ!」


「ご、ごめんなさい!」

 サーは突然の怒鳴り声に驚き、謝っていた。


「うむ、分かればよい。

わしのことは、師匠と呼べ。」


(なんかここの人ってすごい呼び方を気にするな。)


「返事!」


「はい!」


 トラクトはそう言い終わるとアッシュ・ブラッドのもとにより、何か小さな声で話し合いをし始めた。


 サーには何を話しているのか全く聞こえてはない。


 話し合いが終わるとトラクトが急に走って何処かに行ってしまいアッシュがサーに話し掛ける。

「おい、こっちへ来い。」


「えっ、あ、はい。」


 サーはアッシュの後に付いて行った。




 □ □ □




 二人は木が生い茂る広大な森のような庭にいた。


 世間では、もう春だというのにこの庭にはまだまだ雪が残っていた。


「今から俺とお前はチームになって、師匠が造ったゴーレム三体を倒さなければならない。

それに失敗すればお前はナイトにはなれなくなってしまう。」


「ゴーレム?それにナイトになれない?」


「あぁ、ナイトに簡単になれると思うな。それでゴーレムとは魔力で動く土人形のことだ。

師匠が操るゴーレムは砂、泥、岩の3体だ。

で、作戦だが、お前の使える魔法を教えてくれ。師匠が来る前に作戦を作り上げなくては。

あと俺は火と風が得意だ。」


 サーは使える魔法全てを教え、一緒に作戦を考えた。






「よし、これでいくぞ。」

 ブラッドはトラクトが来る前に作戦がたてれて満足そうにしていた。


「よし、道具の点検をしていつでも迎え撃てるようにしておけ。」



 ドゴォーンドゴォーンと地響きがし始めると二人は振り返った。


 二人が見た方向には小さな影一つと大きな影三つがゆっくりと近付いていた。


「ふぉ、ふぉ、えらく待たせてすまなかったな。」


 トラクトはそう言うと腕を開き言う。


「ゆけ、我がゴーレム“(ロック)”“(サンド)”“マッド”よ!」


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